序文・どうして僕は魔法少女へのインタビューを始めたんだろう?
『ネクロノミコン騎士団』が日本を混乱の渦に巻き込んだ『バルザイ戦争』の終戦から5年が経過した。
本作はあの戦争を戦った魔法少女達の声を記録した、おそらく唯一のインタビュー集である。
彼女達はメディアへの露出を拒むのだが(変身前の姿をメディアに公開するのは極めて稀だ)特殊な事情から、快く協力してもらうことができた。その事情は本書の中で明らかになると思うので、ここでは書かずにおく。
1章は『バルザイ戦争』以前に各地で暗躍した悪の組織に、各地域の魔法少女達が対抗した『黒魔術大感染期』について。
2章は過去に類を見ない大規模な悪の組織『ネクロノミコン騎士団』の攻撃によって始まった『バルザイ戦争』の開戦から中盤まで。
3章は『バルザイ戦争』の終結について。
4章はこれから起こる戦いについて。
それぞれ前後する話もふくまれているが、大まかにこのようなテーマで魔法少女達にインタビューさせていただいた。
どうして僕、渡辺僚一が魔法少女にインタビューをしようとしたのか、最初に書いておくのが、筋、だろうと思う。
それは、普通の人なら誰もが思うだろう違和感だった。
自分達の平和の一端を年端も行かぬ少女達が守っていることに対する違和感だ。
この違和感はずっと僕の胸の中にあったと思うのだが、インターネットのとある相談掲示板に掲載されていた「娘が魔法少女に覚醒してしまいました」という読者投稿を読んでから、はっきりとした形を持つようになった。
その投稿は娘の将来への不安だけでなく、今後の自身の生活への不安までもがつづられていた。そこでようやく僕は当たり前すぎる事実に気づいたのだ。
魔法少女達も僕と同じ世界で生きているのだ、ということに。だというのに、なぜ僕ではなく彼女達が化物達との戦いに向かわなくてはならないのだろうか?
愛と勇気と正義を信奉する彼女達が、どのように生きているのか? 何を思って僕達の平和を守ろうとしているのか?
その疑問は違和感としか言いようのないものだった。僕の中の違和感を解消するには、彼女達に直接会って話を聞くしかなかった。
高尚な理由や目的があるわけでなく、自分の中の違和感を放置できなくなって限界を迎えてしまったのだ。
これはタケル出版を退社し、フリーとなった僕の初めての仕事だ。大勢の方々の協力がなければこの本は完成しなかっただろう。特に多くの情報を提供してくれた『魔法庁』と『さわやか魔法少女事務局』には心からの謝意を。