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預かり物
暫く経ち、変わり者が真夜中にやって来た。
『少しこの石を預かってくれないか。』
寄越したのは変わったそれであった。変わり者が、変わった時間に、これまた変わったそれを預かってくれだなんて、今日は変わった日なのだなと少年は笑った。
「構わないよ、いつまで預かればいい?」
『三日の間頼む。』
「今夜は霧じゃない。」思わず漏れたその声に少年自身気が付かなかった。
少年を静寂が包む。霧の深い夜は少年に胸騒ぎを覚えさせた。
日が昇ると、少年は真っ先に変わり者からの預かり物を視た。不思議な手触りで、今までにない感覚。形も独特で、少年は取り憑かれたように触っている。
「...!!」少年のか細い指に熱いものがつうと伝った。どうやら預かり物は鋭利なものだったらしい。先ほどの興奮も怪我をしたことで少々冷めてしまった少年は食事の支度をすることにした。
しかし、妙に気になる。変わり者はイシと言っていた以上それなのだろうが今までのそれとは明らかに違う。霧が霧でなくなったのも気にかかった。気がつけば少年は再びそれを視ていた。
目を通していただきありがとうございます。