プロローグ
人間の価値はどう決まるのか。
俺はそいつの持つ能力で決まると思っている。
身体能力が異常に高ければネズミだって天下取れたと思ってるし、頭脳が異常に発達していれば、今頃ゴキブリが世界征服してただろう。
そして生まれて22年、彼女居ない歴=年齢で引きニート。ブサイクで童貞。
気付いたら人生詰んでた俺は、どうやら数値の振り方を間違えたみたいだ……
今日もネットの世界に浸る俺に、現実での居場所は無い。
「いっそ、ネットの世界に入れたらいいのにな……。」
それが今の俺の本音だった。
儚い、叶う事の無い理想。夢。描く未来。
現実での未来はもう自分で摘んでしまった。
もう俺の未来に光は無い。
あるのは無限に広がり道を覆う、照らす事の出来ない破滅の闇……ただ、それだけだった。
何も得ることの出来ない日々を延々と続けて終わりを迎えるのならばいっそ_____
「死にたいと、思っているのでしょう?」
「……えっ?」
急に頭の中で声が聞こえた。
俺が好きなアニメのキャラクターの声だった。
引きこもりの生活で、頭がおかしくなってしまったのだろうか。
「たまに居るんですよね、こういう人。」
「何の話をしているんだ……?」
落ち着け、俺!
こんな展開、あり得ない!
夢に決まってる!
「なんなら、私達のいる二次元の世界に来ます?」
「……行けるのか?」
俺は何を言っているんだ!?
落ち着け、俺!
「その代わり、この世界には一生戻って来れませんが……それでいいなら。」
「いいよ!いいに決まっている!!!」
心が動く。
心が揺れる。
落ち着けるわけが無い!!!
「そ、そうですか。なら、15分後に迎えに来ます!」
「お、おう!」
「ではまた!」
プツン、と音がした。
おいおい、たった1分程で、俺の夢が叶う事になり、俺の現実での生活が終わる事になったぞ!
普通の引きニートなら少しは心残りがあるであろう現実世界だが、完璧に人生が詰んでいる俺には、心残りなど1ミリも無かった。
「さらばだ現実世界!俺は二次元に行くんだあああああああああああああ!!!」
大声で引きニートがこんな大声で意味分かんないこと叫ぶなんて、全く今日の世界はどうかしてるぜ。
特に俺な。