忍者の村
「もー、なによ?」
かわいかった。そのセクシーな格好にも負けない妖艶さを持ちながら、なおかつ可愛い、しかもちっちゃい。先ほどまでこの老人の空気に呑まれていた浪江の目が輝いている。やっぱこいつ、変態だ。
「牡丹、この人たちを知っているか?最近この国に仕え始めたと聞くが・・」
「え・・・・」
牡丹はやばいという顔をしながらこちらのほうを見た、俺は軽く会釈する、浪江はもう鼻血が出そうな勢いである。
「え?なんであなたは微動だにしないの?」
俺のほうを見てわけのわからないことを言い出す。すると、老人も驚いたような顔をしている。いつの間にかその老人の後ろに並んでいた忍者たちも同様である。
「ふぅ、まさかあなたも忍者なのね?」
なんという誤解だろうか、しかもどうしてそういう結果にいたったのかが不明である。ジョークにしてももう少し何かなかったのか。
そうしているとなぜかわからないが、また彼らの警戒心が上がったように見えるんだ・・・・
「こいつ、敵の国のスパイでしょう。」
「牡丹の術が効かないなんておかしいですって」
何か術をかけていたらしい、何の術だかさっぱりわからないが・・・・
あ!おいこれってもしかして、
思わず横を向く。明らかに様子がおかしいのに気づく、浪江は目が離せなくなっているのだ。これは・・・・あれか・・女の忍者の定番であるお色気の術ってやつか!
ん?じゃあ何で俺には効かないんだ?これでも健全な男子だぞ。
『いや、お前の中に俺がいるせいかもしれないな。』
え?
おいおい、ちょっと待ってくれ。
何でお前が俺の中にいるんだよ?
こう考えていると、すべてお見通しのようで
『何でってだってリーダーの目線で見たほうがどうなってるのかわかりやすいからさっ!。大丈夫、女子の中で一番かわいいのが美樹ちゃんってことも賛成だから!』
こ、こいつ予想以上にうぜぇぞ・・・・
「おーい勝篤!聞いてるのか?」
『おっと、俺は少し引っ込んでるぜ!』
「うん?何だ?」
「おいおいボーっとするなよー。家に招待してくれるってさ、行ってみようぜ」
大丈夫なのか?一瞬そんな考えが頭をよぎったが、大丈夫だろうと確信した、なぜなら、目の前には子供のようにいい笑顔を浮かべた老人がしっかりと立っていたからだ。それは自分の子供を見るような、それでいてまるでライバルを見つけたかのようなそんな本当に面白いものを見つけたときに見せるような笑顔だった。