表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

思ったよりいい先生じゃん

そんなこんなでとりあえず、堺先生は帰った。しかし、今日は日曜日。明日から来るのだ。

「めっちゃ不安だ…。」

こんな愚痴を聞いてくれる人などいない。仕方なく俺は、布団に顔をうずめるのだった。


~次の日~


「ハァ~。」

今日は月曜日なので普通に登校する。しかし、気分がすぐれない。

「どうしたの?朝からため息ついて。」

声をかけてきたのは山本理沙。俺の幼馴染だ。幼稚園のときから一緒に喋っていたのだが小学校の学年が上がるにつれ、気恥ずかしくなり、しゃべらずにいた。

しかし、中学校で同じクラスになり、なおかつ席も近かったので再び話すようになった。

「いや、今日から家庭教師が来るんだよ。」

「へえ、岡村は勉強嫌いだもんね。まあ、その分頭悪いし、しょうがないけど。」

「頭悪い言うな!!」

ついでに山本は五教科平均偏差値が71。かなり頭がいい。

「で、勉強したくないと、そういうこと?」

「いや、違う。勉強は俺もそろそろしなくちゃいけないなって思ってたし、いいんだよ。ただな…」

「ただ?」

「その家庭教師、変わった人なんだよ。昨日来てたけど(いろいろ)すごかった。」

「ふ~ん。まあ頑張りなさいよ。」

ああ、本当にいろいろと頑張んなきゃならないな。そして、今日の授業中眠っていて、山本に注意されたというのは置いておこう。


「じゃあ、また明日。」

「おう。」

山本と別れ、家に帰る。部活は入っていない。なぜか運動系の部活がないからだ。山本も入っていない。本人いわく、「文化部に入りたくない」そうだ。まあ、俺と一緒の理由だな。

「ただいま~。」

「おかえり。先生来てるわよ。」

早っ!!まずい、心の準備が……。といっても行かなくちゃならないので仕方なく二階の部屋へ。


ガチャッ

「堺先生?」

そこには俺の漫画を持って大爆笑している堺先生の姿が。

「アハハハハハハハハ!!あっ!拓也く…」

バタンッ



ガチャッ

「ちょ、ちょっと拓也君!?なんで!?なんで閉めたの!?」

「なんで昨日と同じ光景を見なきゃならないんすか!!服装は変わってるからいいですけど!!」

「えっ?いいの………?」

ああっ!やっぱめんどくさいな!!

「いいです!!!とっととはじめましょう!!!」

「どうせ小さいですよ……」ブツブツ

思いっきり聞こえたが華麗にスルーする。いちいち突っ込んでたらきりがない。


「さて、あなたの成績表見せてもらっていいかな?」

「あ、はい。」

急に真面目な顔になった。よかった。やっぱりちゃんとした先生なんだな。多分。

「え~と、これは1年3学期の成績ね…国語が39点、数学が43点、理科が54点、英語が28点、社会が65点か。社会だけね。平均を超えているのは。」

ああ、自覚してるはずなんだけど改めて聞くとひどいな。俺の成績。

「まあ、英語の28点は私の得意教科だから何とかなるけど…やっぱりひどいのは国語ね。特別授業もしばらくは国語にするわ。」

「あの~、特別授業ってなんですか?」

「これは、私の得意教科を重点的に勉強させる授業よ。つまり英語ね。この授業では応用問題をさせたり、入試によく出る問題を解いたりして能力を上げてもらうための授業よ。ただ、今は基礎ができてないから、受けさせてあげません。」

そりゃ、しょうがないな。国語がまずできなくちゃならないしな。

「えっと五科合計で229点か。今は4月だし、中間テストでは300点を超えるようにしよっか。」

「300…ですか…。」

300点って大きく出たな。俺の五科合計の最高点は242点。250も越えられないのに本当に超えられるのか?

「ええ、まあ、多分余裕で超えると思うわ。頑張りましょ。」

余裕って…この先生、実は相当いい先生なのか?まあ、口だけならだれでも言えるしいいか。

「はい。」

「じゃあ、まずは国語。拓也君。今日から毎日本を読みなさい。ジャンルは特に問わないわ。」

ええ~?俺、本読むの嫌いなんだけど。

「先生、何の意味があるんですか?」

「意味って言ってもやってみたほうが速いわね。本ってどこかにあるかしら。」

確か父さんの部屋にたくさんあったな。

「あ、とってきます。1冊で大丈夫ですか?」

「ええ。いいわよ。」

というわけで早速父さんの部屋で本を取ってきた。

「はい、持ってきました。」

「じゃあ、とりあえずページをめくるわよ。まずここに「その品々を買い集め…。」っていう文があるでしょ?じゃあ、「その」っていうのはどの部分を指してるの?」

「え?え~と。」

「初めから読んでみて。それでもわからないときは言ってね。」

言われた通り初めから読んでみる。だけどさっぱりわからない。

「わかりません。」

「じゃあ、答えを言うわね。答えは「結婚式に使う衣装やごちそう」よ。よく見て、この言葉は「その」っていう言葉の一文手前に書いてあるでしょ。「こそあど言葉」って知ってる?「この」とか、「そんな」とか、「あっち」とか。」

学校で聞いたことがある。この時は寝てなかったもんね。

「はい、知ってます。」

「こういうのは「指示語」っていって、ある部分を指す時に用いる語なの。いい?覚えた?」

「あ、はい。」

「そして「指示語」っていうのはたいてい、その言葉の一文前の語を指すわ。確かに例外もあるけど十行前の語や、先の語を指すことはまあ、少ないわね。」

すごい。いろいろなことがいっぺんに頭に入っていって全くついてこれない。

「まあ、さっきの「指示語」みたいに、本の中にはたくさんの文法表現や漢字が含まれているの。つまり、その分頭がよくなるでしょ。知らない漢字を覚えたり、初めて見た文法表現に気を配ったり、また、登場人物がなぜ、こんな行動をとったのか?みたいに理由を考えて本を読んでみて。これが授業。あと、宿題も先に出しておくわ。毎週、最低二つは本を読み終えなさい。そして、読んだ本と読み終わった日付もここに書いといて。」

そういって紙を渡された。ここに書けばいいってことか。

「あ、そろそろおしまいね。今5時半だから……十分後に社会をするわよ。」

「わかりました。」

何だ、ちゃんと教えてくれるんじゃないか。思ったよりずっといい先生じゃんか。とりあえず、俺はお礼を言い、一階へ。

「そろそろかな。」

十分ほどたったので自分の部屋に戻る。



ガチャッ

「アハハハハハハハ!!」

バタンッ

「ハァッ………。」

今回、岡村君が読んだ本は「走れメロス」です。わかりましたか?(わかるわけないだろ。)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ