表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/13

7話 ~小説作成~


小説コンクール。

その締め切りの日が一刻、一刻と近づいていく。

とても不安だ。

今まで誰にも見せたことがない。

見せるはずがない。

恥ずかしいから。

こんなの見せれるわけないんだ。

というか、俺の周りに見せる人なんていない。

そうも分かってたし…。

俺は、このファイルを誰にも見せたことがない。

でも、未来さんは普通に覗いてきた。

「泰助は?」

後ろから大きい声。

「うわぁ、吃驚した。未来さん、急に話かけないでくださいよ!」

そう怒鳴る俺を無視して、未来さんは俺のパソコンをのぞき込んだ。

「あっ、泰助もうだいぶ書いてるじゃん」

未来さんがそう言った。

その声に「えっ?」とみんな反応したのは想像してたとおりだった。

「えっ、泰助もう書いてるのか?」

そう言ってきたのは、やっぱり、雷鬼だった。

「うん…一応」

「早いな」

「うん…高校のときもこういうの考えてたし…」

「ふーん…」

なぜだか、「ふーん」と言った雷鬼の声がいつもより低かった気がした。

「どーいうの?」

そう俺と雷鬼の話を割って入ってきたのは亜歌音だった。

「って言っても大したもんじゃないですよ?」

「いいの!どーいうの?」

亜歌音は全く引かずそう言った。

「えっと…。中学生14人が上っ面だけのヒーロー。悪い大人達を相手に戦う話です…」

「へぇ…面白そう」

そう言って亜歌音は自分のパソコンに身体を向け直した。



次の日部室に行くと、みんなもう自分の話に夢中で話なんかなかった。

ちょっと話に行き詰まると隣とは話すけどとにかく俺は話さなかった。



帰るときも、都夢技と話さなかった。

都夢技もなにやらブツブツ言ってた。

どうやら、都夢技も小説の設定を考えてるようだ。



家に帰って俺は都夢技に「バイバイ」だけ言って部屋に入った。

俺の部屋は、205で都夢技の部屋は204。

隣同士。

って言っても、薄っぺらい壁が一枚あるだけ。

隣が起きてるか寝てるかぐらいはすぐに分かる。

俺は、パソコンを起動させ、小説の続きを書く。

ネタはたくさんある。

書きためたネタ帳がある。

書きためた小説がある。

そっから発展させればいい。

そう思い、俺は、押し入れから奥の方に入れた段ボールを引っ張り出した。

都夢技はもう寝てる。

あいつはいびきがうるさいからすぐに分かる。

203の人も迷惑だろうな…。

そう思いながら、段ボールの中をあさる。

懐かしいものをいっぱい掘り出しては読む。

なんか、いいネタがあれば、パソコンに書き写す。



最近は寝れてたな…。

大学に入ってからは、寝れてたな…。


いつでも、寝れなかった。

目を閉じても、眠れなかった。

まぶたを閉じるとうつるのはいつもあの光景だった。


最近は平気だ。

まぶたを閉じるといつも『文研』の人がうつる。


だから、安心だ…。

俺はゆっくり眠りにつける。


そう思って、俺はパソコンをシャットダウンさせ、

ベットに入り、ゆっくりと目を閉じた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ