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5話 ~新入会員~


しばらくの間、入希をした新入生は廊下で待っていた。


しばらく経って、扉に紙が張り出された。

そこには『新入会員合格者』と書いてあった。

もう、決まったのか……。



「おーい、泰助、みんな集まってるよ」

そう声をかけたのは『文研』の先輩でもなければ都夢技でもなかった。

「忘れたの?益岡雷鬼(ますおからいき)だよ」

益岡雷鬼…。

確か、同じ高校だった気がする。

と言っても、高校なんてほとんど1人でいたから…

俺のことを泰助って呼ぶ人がいるなんて思わなかった。



「ほら、泰助、正式に新入生歓迎会始めるよ」

次にそうやって部室の扉から顔を出したのは亜歌音だった。






□■新入生歓迎会■□


「さーてと、みんなそろったことだし、自己紹介から」

そう未来さんが言って先輩たちの自己紹介が始まった。



「んじゃ、次一年生よろしく」

「はーい。私は、文藝学部の坂上都夢技です。みんなより早く『文研』に入会しました」

都夢技か…。

余計なこと言うなよ…。

「えっと…俺は新垣泰助です。都夢技と一緒で文藝学部です。よろしく」

周りで「都夢技だって」「付き合ってんのかなぁ?」なんて聞こえたけど無視!

「僕は、文藝学部の天野夏来(あまのなつき)です」

天野夏来…なんか、引っかかるな…。

「この名前だから、『春過ぎて夏来にけらししろたえの 衣ほすてふ天の香具山』好きなんだ」

あぁ、そっか…。持統天皇か…。

「俺は、益岡雷鬼です。脳科学研究学部の1年です」

リリィと同じ学部か…。

「あたしは、水里香(みずさとかおり)です。亜歌音先輩と同じ教育学部です」

「俺は、心理学学部の1年瀬戸川雅(せとがわみやび)です」

6人…。15人から絞ったとしてもすごい多いよな…。



しばらくして、新入生は帰っていった。

残ったのは先輩と俺と都夢技。

「あの…長文と4コマ劇場は何を基準に選んだんですか?」

俺がユウさんとリリィと亜歌音に聞いた。

「ん?」

俺がチェックした記憶によると、あの4人は確実にあの項目は合格だった。

「おもしろいかおもしろくないか」

「伝えられるものがまとまってること」

「言葉のセンス」

3人はお互い違うことを言った。

「って…ことは、3人とも全部読んだんですか?」

「えっ?うん…」

だから、あんなに時間がかかったんだ…。

すごい…。

「それにしてもさ」

亜歌音が口を開いた。

「香って子。すごいよ」

香…。亜歌音と同じ教育学部の子だ。

「どうしたんですか?」

「…満点だよ」

?満点?なにが?

「ココの会員のトップ入会だよ」

トップ入会…。

「えっ!それって、マナーも才能も努力もすごいってことですか?」

俺が気づく前に都夢技がそう言った。

…。確かに…。あの子は特別っぽかった。

と言うのも、チェックをつけてたとき、亜歌音が来たんだけど、この子のときだけ目が違った。

宝石の原石見つけたって感じだったと今思い返してみると分かる。

あの目はそう言うことだったんだ。


持統天皇の俳句にちなんだ名前の夏来。

ひとりぼっちだった俺を『泰助』と呼ぶ雷鬼。

才能・努力共に認められる香。

独特な雰囲気を持つ雅。



俺の大学生活がもっと楽しくなる予感がした。


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