4話 ~入部審査~
次の日、部室へ入ると、未来さんと結衣さんとユウさんは、
昨日と同じ格好でなにかぶつぶつと言っていた。
「これと、これと…」
「あと、これもいいんじゃない?」
「おぉ、これと、これと、これの三つにしよう」
どうやら、入部審査の内容の打ち合わせらしい。
この3人…もしかして、帰ってないのか?
そう思うと、すげーという意味と大丈夫か?という意味で鳥肌が立った。
「あの…徹夜ですか?」
「うん…」
未来さんがそう答えた…。
徹夜で考えた入部審査って…。
そう考えるとなんだかぞっとした。
「ちわー」
「おはよー」
そう入ってきたリリィと亜歌音。
「遅くない?」
とユウさんは皮肉そうに言った。
「ユウ、ゴメンネー」
リリィはそう軽く言ってソファーに座った。
そこって確か…
「…うげっ!」
やっぱり…俊太先輩いたんだ…。
「俊太ー。起きろー」
そう俊太先輩を押しつぶすリリィ…。
「もしかして…酔ってます?」
「うぃー?よってらいよ」
いや、絶対酔ってますよね?
なんで?
朝まで飲んでたのかな?
「ゴメンゴメン。まったく、亜歌音が寝かせてくんなくて…」
「悪かったって…」
その割には、亜歌音はしゃんとしてる。
亜歌音が強いのか…リリィが弱いのか…。
「どのくらい飲んだんですか?」
都夢技がまた俺の変わりに質問した。
「えっ、本当にちょっとなのよ?」
ちょっと?リリィが弱いのか…。
「ちょっとって?」
「うー…ん。昨日はほんの2、3本ぐらいしか開けてないかな?」
2、3本?缶ビールをか…。
そりゃあリリィ弱いな…。
「ビンね」
えっ?
「いつもなら、5、6本いくんだけどねー」
そうニッコリと笑う。
しゅ…酒豪だこの人…。
「まぁ、それはさておき、入部審査の内容決まったよ」
そう仕切り直したのはやっぱり会長の未来さんだった。
「で、なにやるの?」
「えっとねー。やっぱり時間ははずせないでしょ?」
「それと、才能と努力」
????さっぱり分からん。
「とにかく、面接な感じでやるから」
えっ?
「合否は出すって言ってある?」
「大丈夫張り紙出しといた」
そうして、訳の分からないまま入部審査が始まった。
□■入部審査中■□
「あの子時間合格だって」
そう言う結衣さんの言葉で俺はチェック表に○を打つ。
内容は結局
昨日やった待ちあわせ時間。
それと長文作成と4コマ劇場。
あとは、面接でどれだけの本を読んできたか、お気に入りの本の話。
礼儀・才能・努力という3項目の審査らしい。
俺と都夢技は、合否のチェッカー。
未来さんは面接担当。
結衣さんは時間の合否判断。
ユウさん、亜歌音、リリィ、そして俊太先輩は4コマ劇場と長文作成の合否判断担当だ。
俊太先輩が起きてるなんて珍しいな…。
そう思って俺は一応写真を撮ってみた。
「僕のお気に入りの本は星の王子様で……」
「私は、彼のそういう考え方が好きで…」
「あたしは、この作者が元々好きで…」
ドア越しに聞こえる声。
それがとても安心できる。
人が傍にいる。
それだけで安心できた……。