1話 ~出逢い~
「ようこそ。嵐応大学へ」
そこにいた女性に話しかけられた。
黒のレースのキャミを着てて、上から白い上着を羽織ってる。
綺麗な人だな。
俺は、人と話すことは嫌いだけど、人並みの感情を持ってる。
いや、本で身につけた感情は人並み異常かも知れない。
「どーしたの。彼女もなんか心配してるけど…」
女性が、俺に話しかけたことを今気づいた俺は、咄嗟に反応した。
「あっ、すいません。って…こいつ彼女じゃないです!」
そう喋ったときに都夢技のほっぺたがふくらんでたが、無視をしよう。
「あはは、君、可愛いね」
女性は、俺にそう言うとニッコリと笑った。
「泰ちゃん。もう行こう」
都夢技が来いって行ったのに、俺は袖を引っ張られて、連れてかれそうになった。
「おい、お前、ココ入りたいんじゃないの?」
俺のその一言に都夢技は、肩をピクッっと動かした。
「はぁ…なんで、そんな態度とるんだ?この人たちに失礼じゃないか?」
「そんなの、泰ちゃんに言われたくない」
ん?俺、そんな態度とったか?
「俺は、人と接するの嫌いだけどあんな風には接しない」
「うるさいなー!ちょっと黙っててよ」
都夢技が急に怒鳴ったから俺は、掴んでた都夢技の手を離した。
「はーい。えっと、名前は」
さっきとは違う女性が俺に話しかけた。
「新垣泰助です」
「よし、新垣くん。彼女をそっとしといてあげよう」
「えっ?」
女性はそのまま立ち去っていった。
何がしたかったんだろう…。
でも、後ろから聞こえる声…。
「ちょっと、結衣。あれ、絶対結衣のせいだよ?」
「えっ…ちょっとあたしまずいこと言ったかな…」
「いや、まずいこと言ったって自覚ないんですか?結衣さんもすごいな…」
その声で俺はやっと状況を把握することが出来た。
「えっと…。都夢技?」
「なに?」
都夢技が俺を睨む。
こんな都夢技見るの初めてかも。
「お前はさ、その…ヤキモチ妬いてたのか?」
「……。そーだよ…」
都夢技は俯きながら静かにそう答えた。
仲直りした俺らは、また『文学研究会』のスペースへと戻った。
「あのぉ…」
「あっ、新垣くん!解決はしたぁ?」
さっき名前を聞いた女性がそう言う。
「あっ…まぁ、なんとかなりました」
頭を掻きながらそう言うと、その人は
「よし、2人確保だね」
2人確保?
「なんて顔してんのさ。入るんでしょ?我が『文研』に!」
そうって、彼女はニッコリと笑った。