↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/1

黒澤の子種

舞台がすだれまいとしたのは、のちのちの映画の終末と同じである。

花は、二十才になり、祇園はメジャーになった。


誰だって過去があろう。

だが「リセット」を持ってして、ここ京都は明るい。


「交通事故ナンバーワンは、名古屋じゃけ」

「それ!それなんじゃが、車の蔓延に比例するじゃけ」

「猫も杓子もじゃなぁ」


ここ祇園で息の長いのは、花の店となった。

「岐阜の長良川の鵜飼いは、誰もが見れるものじゃないじゃけ」

これは、祇園のおかみを持ってしても例外はない。

今では、サスペンスは薄れ、公安が幅をきかす。


黒澤修二は、その素性を名古屋の黒澤組と明かした。


忙しさにかまけていると、女は股の快感より、精神の快感に溺れる。

幾度となく得た快感は、それ以上にならないとしていたが、それよりも花には目的があった。


「酒は、よう酔えるじゃが、カフェインというのは・・」

そのあきんどは、手を変え品を変え、花の店に取り入ろうとしていた。

「いや、これはまた。百聞は一見に如かずじゃ」

その豆は、遠いブラジル産だと言う。

「輸入輸出は、茶番じゃけんど、この店は、よう儲かっとる」

あきんどの風体は、ここ京都にふさわしい、少しささくれた着物もどきのはんてんだった。

「少々、湯を拝借」と、そのあきんどは、勝手にポットのお湯を使った。

「昨今のインスタントじゃが・・」

そう言いながら、あきんどは花にカップを渡した。

「まず、香りじゃけ」

そういうあきんど自身が、「ふぅ」と言いながら、「良い匂い」と言った。

花がそのカップを受け取ろうとすると、皆伐が横から手を出した。

そして、それを一気に飲むと、「出直し」と言った。

少し、憮然とした表情のあきんどは、それでもまた気を取り直したように、「また」と言い、出て行ったのだが、通りに出てから唾を吐いた。


黒澤は、たびたび、会議に出かけていた。

黒澤と花は、引っ越しはせずに、いまだ狭い2DKに住んでいた。

家に帰り電気を付けると、花はテーブルにあるメモを見た。

今日は帰る。寝ないで待っててね。

カーテンは、レースだけで、二階家のこの黒澤の部屋からは、祇園の商店街が見える。

店はもうすべて閉まっていたが、最終の地下鉄にはまだほんの少し間があった。


「俺は子種がない」と、黒澤は言った。

花は、特に子どもが欲しいとは思わずにいた。

セックスレスとは無縁な夫婦が、黒澤と花である。

黒澤は、花の膣よりも、自分のいちもつを花の口に入れると興奮するようだった。

ペニスが勃起するのは、お前だけだと黒澤は言った。


花は、シャワーを浴びたあと、自分の指を膣に入れてみた。

生理は終ったばかりで、おりものもそうそう多くない。

その指の匂いは、いやな匂いでもないのだが、乳首の先がはるのを感じて花は起き上がった。


窓の外を、ヘッドライトが灯すたび、花の胸に郷愁が起きる。

「巫女と舞妓は、紙一重じゃな」

パソコンを立ち上げようとした時に、花の携帯が光った。

愛してる。

黒澤の言葉に、花は、黒澤のキスを思い出し、その濡れたくちびるを感じた。

エクスタシーは、花にとって、今のところ「心」という精神である。

戸棚の中のウイスキーは、わずかである。

「上等の酒を持って帰る」

黒澤のメールである。

花は、「やっぱり、カフェインより酒じゃな」と、つぶやいた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。