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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。

"感情のうたげ"

掲載日:2026/04/08

はっきり言って、僕は水族館に行きたかった



僕が提案すると、君は「は?男二人で?」「ホモじゃん」と即時却下した


まあいい、君にも君の考え方が有るだろう

しかしそれでも、朝から僕が次々に色んな物を奢らされ続けてるのだけは、なんか納得がいかなかった



「結構これも美味かったぞ」


君が幾らか残りの入った、たこ焼きのパックを手渡してくる

二人とも朝の陽射しを浴びながら、公園のベンチに居る


君は、にこやかに満ち足りた表情だが、僕は君と合流した明け方近くから、ほとんど虚無の表情をして過ごして居た


明け方近くから

そう、まだ朝だが、既に数時間この調子で支配と束縛を繰り返されて居る


今日は君と会うし、本当なら結構可愛い格好とかもしたかったんだけど、僕は今日、ナメられないようにオラついた服装をして居る

言動もだ

『無理』って程の無理はしてないけど、君の前ではいつも僕は「俺」という一人称で会話をして居る


僕は自由が好きだった

故に、既に少し我慢の限界を迎えつつあった



「お前さあ」


たこ焼きを全部食べ終え、怪しまれない程度に口の中の爪楊枝を舌で弄んだあと


僕は苛立ちながら立ち上がると、本日五回目の抗議を行った



「舐めんなよ、マジで」


「なんでここまでの切符まで、僕が買ってるんだよ」



「…………『僕』?」


君が、多少の動揺を視線に込めて僕を視る

頭が真っ白になりそうだったが、それをなんとか表情に出さずに、僕は「とにかく、もう帰るからな!」と宣言した



「まあ待て」


「…………7,296円だ」


立ち去ろうとした背中に掛けられた言葉に、仕方なく振り向く



「ここまでの、お前の出費な」


そんな事を、覚えて居たのか


少し許してしまいそうになったが、ここで許すと調子に乗りかねない奴だ

判断が付きかねた



「で、オレはお前の五倍以上イケメンだから」


「35,000円を上限に、オレが服を選び直してやる」



「てめえ」


「俺が、服ダセェってのか………?」


今度こそ『俺』という事に成功しながら、きちんと腹を立てる事にも成功する



「いや………」


君は少し僕から視線を外すと、


「お前はもっと、可愛いのとか似合う気がしてな」


なんて事を言い始めた



「………あっ、うん……」


「…………選んで?」

 

限りなく、状況は僕の敗北に近かった

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