第1話 火水風土光闇。火水風土光、……、あれ。ひとつ足りない。
ミーティアとラグナロク。逃げ出した闇の精霊を追いかける。精霊を保護する光の騎士と光の魔法使い。
火水風土光闇。火水風土光、……、あれ。ひとつ足りない。
きらきらと光り輝くクリスタルの鳥籠みたいな小さな六つの檻の中に、火、水、土、風、そして光の五つの元気でわんぱくな精霊たちが楽しそうに笑いながら閉じ込められている。
小さな檻は六つあって精霊たちは五つ。
つまり一つの小さな檻はからっぽのままになっていた。
くるくるとまるで精霊たちを喜ばせるみたいにして、淡い金色の光を放ちながら自分の周りに六つの小さな檻をふわふわと浮かせてゆっくりと回転させながら、光の魔法使いの少女、ラグナロクは「はぁー。逃げられてしまいましたね」と困った顔をしながらそう言った。
「うん。相変わらず闇の精霊くんはいたずらっ子のままだね。全然ぼくたちの言うことを聞いてくれないんだから」
ラグナロクの隣で優しい顔で笑いながら光の騎士の少女ミーティアは言った。
光の騎士の少女ミーティアは澄んだ緑色の瞳をしていて、金色の長くて美しい髪をしていて、翼の飾りのあるカチューシャをつけて、黄金色の動きやすい鎧を着ていて、その手には光り輝く黄金の槍を持っている。
光の魔法使いの少女ラグナロクは深い青色の瞳をしていて、金色の癖っ毛の長くて美しい髪をしていて、大きな魔法使いの帽子をかぶっていて、その手には白い魔法の杖を持っていて、黄金色の魔法の使いの服を着ている。
二人は精霊の森の奥深くにある、なんだかとっても不気味な洞窟の前にいて、お互いの顔を見ながらどうしようかと悩んでいるみたいだった。
「やっぱり闇の精霊さんはこの深い深い『闇の洞窟』の中に遊びにいってしまったんでしょうか?」
「うん。そうだと思う。どうしよう?」
ミーティアとラグナロクは火水風土光闇の六つの精霊を保護するためにこの精霊たちの暮らしいている精霊の島にまでやってきたのだけど、六つの精霊たちをなんとか頑張って全部捕まえたあとで、闇の精霊だけがいつのまにかこっそりと小さな檻の中から逃げ出してしまったのだった。
そして逃げ出した闇の精霊は今、二人の目の前にある危険すぎて絶対に入ってはいけないことになっている『闇の洞窟』の中に遊びにいってしまったみたいで、闇の精霊をもう一度捕まえるためには、そんな危険なところである闇の洞窟の中に入っていかなくてはいけなった。
「本当はだめだと思うけど、闇の精霊くんのことをこんな危ないところひとりぼっちで放っておくわけにはいかないよね」
「ええ。まあ、そうですね。やっぱり行くしかないですよね。あとで怒られると思いますけど、仕方ありません」
ミーティアとラグナロクはにっこりとお互いの顔を見たままで笑い合ってそう言うと、それから手をしっかりとつないで、真っ暗な深い闇の広がる大きな蛇の口の中みたいな闇の洞窟の中にゆっくりと歩いて入って行った。(闇の洞窟の中は外よりもとても寒くて、二人はぶるっと冷たい空気にその体を震わせた。なんだか目に見えない透明な蛇の舌に舐めなれたみたいなとっても嫌な感じがした)




