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理系女子は精霊術を科学する  作者: うみのうさぎ
これが精霊術

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7/10

間欠泉を作ってみた

溜池を前にして、陽菜は足元の水面を見つめた。


風はない。

水は静かすぎるほど静かだった。


「このまま温度低下の出力を上げても」


ハウエル「凍るな」


「はい。ただ凍るだけです」


エルザ「問題がありますか?」


「観測できません」


即答だった。


「温度を正確に測るなら、池全体に温度計を設置しないと意味がない。しかも水は対流する」


ハウエル「数が足りんか」


「数だけじゃなく、反応速度も足りません」


陽菜は池を指さした。


「結果だけ見たら、ただの結氷です。出力差が分からない」


ハウエルは腕を組んだ。


ハウエル「では、どうする」


「相変化じゃなくて、運動量を使います」


エルザ「運動……?」


「水流と水圧を制御します」


陽菜は池の中心を見据えた。


「間欠泉を起こせば、出力制御が一目で分かる」


ハウエル「高さか」


「はい」


陽菜は指を立てる。


「到達高度は、圧力と流量の関数です。制御できていれば、毎回ほぼ同じ高さになる」


エルザ「失敗した場合は」


「高さが乱れる。もしくは出ません」


ハウエルは、はっきりと笑った。


ハウエル「実に分かりやすい」


「しかも」


陽菜は続けた。


「池全体を凍らせるより、安全です。局所的に圧をかけて、すぐ逃がせる」


エルザ「精霊に、それほど細かいお願いが通りますか?」


「通るかどうか、確かめます」


迷いはなかった。


ハウエル「よし」


男爵は即断した。


ハウエル「池の中央を使え。周囲は下がれ」


エルザ「柵を張ります」


陽菜は、静かに息を吐いた。


「水の精霊」


声は小さい。

だが、はっきりしていた。


「温度は下げない。凍らせない」


水面が、わずかに波打つ。


「圧を集めて、上に逃がす」


池の中心が、静かに盛り上がった。


「一定量。一定周期」


次の瞬間。


水柱が、真っ直ぐ空に伸びた。


高さは、正確だった。


「……一回目」


水柱はすぐに崩れ、池に戻る。


陽菜は数を数えていた。


「同条件、もう一度」


二度目の水柱。

高さは、ほぼ同じ。


エルザ「同じ……」


ハウエル「再現性がある」


三度目。

四度目。


誤差は、肉眼で分からないほど小さい。


陽菜は、はっきりと頷いた。


「制御できてます」


ハウエルは、深く息を吐いた。


ハウエル「これは……精霊術ではないな」


「現象の科学的な使い方です」


何かがこちらを見ている気配があった。

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