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理系女子は精霊術を科学する  作者: うみのうさぎ
ここは異世界

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2/10

精霊を科学的に考えてみた

エルザは扉を閉め、陽菜から少し距離を取って立った。

警戒させない位置取りだった。


エルザ「まず、落ち着いて聞いてください」


「……はい」


エルザ「ここは、あなたが元いた世界ではありません」


「やっぱり」


即答だった。


エルザは少し驚いたように目を瞬かせた。


エルザ「否定なさらないのですね」


「レンガの積み方が違うし、電気も感じないし、空気の流れも変です。あと……」


陽菜は宙に浮かぶ光の玉を見た。


「こんなの、物理でも化学でも説明できません」


エルザ「ふふ……やはり」


エルザは頷いた。


エルザ「あなたは転生者です」


「転生……つまり、死んだ?」


エルザ「記憶を持ったまま、別の世界で新しい生を得た存在。その詳細は、私にも分かりません」


「ずいぶん曖昧なんですね」


エルザ「はい。ですが、共通点があります」


エルザは光の玉の一つに視線を向けた。


エルザ「転生者は、精霊に強く認識されます」


「認識?」


エルザ「こちらの世界では、精霊は自然そのものです。火、水、風、土……概念と力の中間に存在しています」


「エネルギー体みたいなもの?」


エルザ「近い表現です」


エルザは続けた。


エルザ「精霊術とは、命令ではありません。契約でも支配でもない」


「じゃあ、何をするんですか」


エルザ「お願い、です」


「……お願い?」


エルザ「精霊に話しかけ、力を貸してもらう。その結果として、超常の現象が起こります」


陽菜は眉をひそめた。


「それ、再現性は?」


エルザ「?」


「同じ条件なら、同じ結果が出ますか」


エルザは少し考えた。


エルザ「精霊次第です」


「……理科的には最悪の答えですね」


だが、陽菜の表情は嫌そうではなかった。

むしろ、興味を抑えきれていない。


エルザ「精霊には階位があります」


エルザは指で宙をなぞる。


エルザ「低級精霊は、あなたが見ているその光の玉」


「形が安定してない」


エルザ「はい。中級になると、獣や鳥など、動物の姿を取ります」


「エネルギー密度が上がると構造が固定される……?」


エルザ「そして上級精霊は、人の形を持ちます」


「人……」


エルザ「彼らは意思も言葉も持ちます」


陽菜は息を呑んだ。


「……じゃあ、さっき私が触ったのは」


エルザ「低級精霊です」


「消えましたけど」


エルザ「親和性が高い場合、触れた精霊は消えます」


「消滅?」


エルザ「いいえ。取り込まれるのです」


「……体内に?」


エルザ「はい。一度取り込まれた精霊は、常に力を貸します」


陽菜は自分の手を見つめた。


何も変わっていない。

だが、確かに――


「……中に、何かいる感じがします」


エルザは微笑んだ。


エルザ「それが、精霊術の第一歩です」


「つまり私は」


エルザ「精霊術の使い手です」


静かな断言だった。


部屋に浮かぶ光の玉が、

少しだけ、陽菜に近づいた。

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