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元オタクの動画配信者が結婚して嫁3人の主夫になる  作者: 龍田まや


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第39話 みんな家族

父親に説得してもらうという手段も失敗してしまった。

麦さんから予想だにしていなかった養子にして会社を娘たちと一緒に任すという提案も、どこまで本気だったのか不明だが、それも不発に終わった。

幸いなのが彼女は特別何かをするわけではなく、宮尾家を今すぐ出るわけではない。

これまで通り宮尾家で生活をするわけだが、ルナは人間に戻れなければ何れは寿命が尽きる。

そうなると会社のことは麦さんが中心になってやらなくてはならず、そうなると人間の姿で活動する時間が長くなる。

すなわち寿命に直結する。

そうなると会社は潰れてしまう。

もう成す術がない。

考える時間があるようで残された時間は限られている。


俺は家に帰っていつものように猫たちにエサをやる準備を始めた。

アヤさんは昼間あんなことがあったので、まだ帰ってきてない。

そりゃそうだ。

鋼のメンタルでもそうなるだろ。


「あれ?元気ないね」


モカがバイトを終えて帰ってきた。

彼女と二人きりで絡むのは久々かも。


「モカはどの程度まで知ってるの?」

「何のこと?」

「この家で起きてることだよ」

「まぁ、何となくは知ってる。大変なことも分かってるつもり」

「ルナのことも?」

「うん。私もそうだから」

「そうって、もしかして…」

「この間体調悪くして寝込んだ時にね、お母さんから聞いたの。そして見せてもらったの。ビックリだよねー。まぁ、それも運命だから」

「実はさ、ついさっきも家族総出で説得に行ったんだけど失敗してさ」

「家族総出って、お母さんとノアで?」

「それとお父さんと俺で」

「お父さん?!お父さんどこにいたの?」

「あ、それは聞いてないのね」


俺はお父さんの消息と佐藤アヤの正体も全てモカに話した。

一番重要な変身にまつわる寿命のことについてもだ。

さすがに驚いた様子だ。


「てことは、アヤさんが私の異母姉妹ってなるわけだ」

「まぁ、そうなるよね」

「お父さんに似てないから母親似なんだね。よかったよかった」

「そこは否定しないけど」

「みんな家族なんだから仲良くできたらいいのにね」

「そんな簡単な問題じゃないと思うけどね」

「で、何か説得する方法はあるの?」

「それがないから困ってるんだよね。これを踏まえて何か考えはある?」

「うーん、手っ取り早いのはルナの動画を取り戻せばいいんだけど、それが難しいから苦労してるんだよね?だったら何かしら交換条件出すのは?」

「例えば?」

「もっと恥ずかしい動画とかは?」

「それがさ、俺がここに来る前に動画サイトに上げてた佐藤アヤのアイドル時代の未公開動画あるんだけど、アカウント乗っ取られてそれが公開できないんだよね」

「そんなことやってたんだ。変態だね」

「いや、別にエロい動画じゃなくて、今見られると恥ずかしいものがほとんどだから」

「新たにアカウント作ってその動画上げればいいんじゃないの?」

「それがそのアカウントにしか保存してないんだよね。どっちにしても今の彼女にはこの程度の動画を公開したところで条件に応じてくれないと思う」

「そっか。また考えておく」

「頼むよ。さっきも話したけど時間がないんだ」

「それじゃ、美味しい夕飯お願いね」


モカはそう言うと部屋に戻っていった。


モカから提案された動画の件だが、実はそれは俺も考えの一つとしてあった。

だが、彼女の生い立ちなどから踏まえると俺がこれまで公開してきた彼女のアイドル時代の動画は恥ずかしいものでも何でもないのでは?と思い直したからだ。

いわば、宮尾家に引き込むためのエサだったのかもしれない。

そのエサにまんまと釣られてきたのが俺だったわけだが。

数ヶ月前の俺に戻りたいよ。


そして、夕食の時間。


アヤさんは家に戻っており、いつも通り俺と接した。

そして、いつも通りの家族揃っての夕飯となった。


「ねぇ、お父さん見つかったんでしょ?」


食事中、モカが大きな声で言った。

いや、空気読めよオマエ。


「そうなの。今まで黙ってたけどノアの陶芸教室の先生やってるの!」


ずっと話したくて話したくて仕方なかったのだろう。

声のトーンからそのことは伝わってくる。


「陶芸教室なんて行ってたんだ。若いのに渋いね。そこではお父さんどんな感じなの?」


「基本的には何も言わないけど、上手に作れたらスッゴク褒めてくれるよ」


「へぇ~。私も一度陶芸やってみたいな。今度連れてってよ」


「いいよ。お母さんも行ってるから。もう2回もだよ」


「ええっ?お母さんホントなの?2人してズルい!」


「ごめんなさい。実は最近そのことを知って、ノアに誘われて行ったらお父さんがいて、ビックリしちゃった」


「今度は私も一緒に家族みんなで行こうよ。あ、もちろんルナも一緒でさ」


『バシッ!』

「ごちそうさまでした」


静かに会話を聞いていたアヤさんが箸を音が出るように置いて立ち上がった。

彼女にとっては虫のよい話ではない。

すぐにでも立ち去りたいだろう。


「家族の中にアヤさんも含んでたのになー」


モカがボソッと言った。


そういうことはもっと分かりやすく言えよな。

でも、家族想いのモカらしいと思った。

なんとか実現させてあげたい。

こんなふうには数ヶ月の俺は思わなかっただろう。






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