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元オタクの動画配信者が結婚して嫁3人の主夫になる  作者: 龍田まや


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第28話 夫との出会い

翌朝の食卓にもルナは姿を見せなかった。

家族には心配しなくても大丈夫と連絡はあったようだが。

食事中、誰もルナのことについては一切触れなかった。

俺が後片付けを終えると、佐藤さんがニャンコたちの朝飯の準備をしていた。


「佐藤さん、俺がやりますよ」

「あぁ、すいません」


この仕事はいつも俺が担当なのだが、この日は彼女が率先してやっている。

彼女もルナがいなくなって動揺しているのだろうか?

久しぶりに彼女が朝飯の準備をしてくれているからか、ニャンコたちもたくさん集まってきた。また新しい猫増えてないか?


「今日は私がやっておきますから」


俺は彼女の言葉に甘えて他の仕事に取り掛かった。


俺が部屋の掃除をしていると麦さんが現れた。

心配そうな顔をした俺に対して彼女は笑顔でこう言った。


「(ルナの)気配は感じるから大丈夫ですよ」


気配ってどういうことだ?

続けて麦さんはこうも言った。


「小谷さん、家に来てもうどれくらい経ちますか?」

「3カ月くらいですね」

「そろそろ頃合いですね…」

麦さんはそう言うと髪留めを外した。

「小谷さん、作業を終えたら私についてきてもらえますか?」

「え?どこかへ出かけるんですか?」

「ええ、ちょっと」


俺は家事を終わらせ麦さんと車でとあるところに向った。

「この上です」

階段を登って着いた先は古い神社。

「夫とはここで出会ったんです」

夫って中川先生のことか?

「少し昔の話をさせてもらいます」

歩きながら麦さんは語り始めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私には帰る家がなくていつもお腹を空かせていました。

雨の日も風の日もふらふらふらふら。

姿もみすぼらしかったと思います。


ある日、一人の男性がお参りにやってきました。

何をお祈りしていたのか分かりませんが、真剣な表情で何度も手を合わせて祈っていた姿を私は遠くから見つめていました。


彼はその日から毎日毎日お参りに来ました。

すると彼は遠くから見つめていた私に気付いて近付いて来ました。

彼はカバンに入れていた飲物と食べ物を私に差し出し、私は無言でそれを頬張りました。

翌日から彼はお参りを終えたら私に食事をさせてくれるようになりました。

彼は私に自身のことを話し始めました。

付き合っている彼女が病弱で今度手術をすると、その手術が成功するように毎日お参りに来ているのだ、と。

私には彼の言っていることがよく理解出来ませんでしたが、次第と彼に惹かれていきました。


それから数日経ったある日、彼から家に来ないか?と誘われました。

行ってみると女性がいて私を迎えてくれました。

どうやら彼が言っていた彼女のようで、手術も無事に成功したようでした。

そして彼から一緒に住まないか?と提案をされました。

しかし、私はそれを受け入れることが出来ず、そのまま家を出ました。

私は彼のことが好きになってしまったのです。


家を出てからも彼への想いは消えることがありませんでした。

行くところがなくフラフラしてると足は自然と彼と出会った神社に戻ってきました。

彼に会いたい、彼と一緒に暮らしたい、そう思いながら境内で眠りにつきました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ここで俺はおかしなことに気付いた。

家がなくてお腹を空かせていたってホームレスだったのか?

別れた夫には当時彼女がいたのにホームレスを迎えいれたのか?


この疑問に麦さんはこう答えた。


「私をよく見ててください」


すると麦さんの身体が光り始めた。

眩しくてとても目を開けてられない。

光が収まり俺は徐々に目を開けた。

すると目の前に一匹の猫が現れた。

俺はあっけにとられた。


「え?どういうこと?」


猫は俺を真っ直ぐ見つめた。

そして、猫は眩い光を放ち、その光に包みこまれた。

今度はさっきよりも優しい光だ。

猫の身体が人間のフォルムに変化していく。

俺の目の前には麦さんが現れた。

猫が人間に変身した?!


「これでお分かりになられましたか?」


麦さんはそう言うが全くもって理解が追いつかない。


「あの…麦さんはその…人間ではないのですか?」

「こんな姿をしてますが猫ですね。私自身、何故人間の姿になることが出来るのかまではハッキリ分かりませんが、あの人を好きになった強い思いがそうさせたんだと思います」


そういえば家でルナの気配を感じると言っていたが、それってもしかして?


「ピンときましたか?そうです、ルナは猫の姿で家にいます。私たちの前に姿を現しこそしませんが、私にはルナの気配を感じることができるのです」


あの動画のショックで猫に姿を変えてしまったのだろうか?


「ルナの身体に異常が現れたのは彼女が二十歳過ぎの頃です。私の血を受け継いでいるので、いつかこの日が来るとは思っていましたが、純粋な猫として生まれた私と人間と猫とのハーフとして生まれたルナとでは、身体の変化が異なるのです。異常が現れてから数日間の間に肉体の変化に耐え得る耐性を身に着けました。今は自分の意志で変身できます」


てことは、動画の件がきっかけで猫に変身したということではないのか。


「あの、ルナのお父さん、つまり麦さんの別れた夫というのは…?」

「話に出てきた彼です。私は人間の姿になり、彼と結婚しました。今風に言うとNTR(寝取られ)というやつですね。恥ずかしい話ですが、猫の私にとってはそれが悪いことだとは思っていませんでしたから」


じゃあ、ルナはなぜ猫の姿で行方をくらましてるのか?


「しかし、このまま何年も猫の姿だとマズいのです。人間が猫に変身するには大きなパワーを使います。変身の期間が長ければ長いほどです。すなわち寿命に直結するのです」

「てことは、猫のままだと死期が早まるってこと?」

「そういうことです」


ん?待てよ。

ということは麦さんはどうなんだ?

ずっと人間の姿で生活してるけど。

頭が混乱している俺の顔を見て麦さんはこう言った。


「私は今では人前以外では猫として過ごすことが多いのです。ですが、女手一つで子供3人を食べさせるために人間の姿で四六時中働いていたので、相当パワーを使いました。おそらく残された寿命も残り僅かだと思います」


なんてことだ…。


「猫たちの朝食の時間に猫に変身した私もいたんですよ。気づきましたか?モカとイイ感じだったのも親として嬉しく思って見てましたよ」


麦さんは笑ってそう言った。

俺が心配そうな顔をして気を遣ったのか。


そういえば、今朝佐藤さんがニャンコたちへ朝飯の準備してるときに見慣れない猫がいたような。

まさかあの中にルナがいたのか??





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