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元オタクの動画配信者が結婚して嫁3人の主夫になる  作者: 龍田まや


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第21話 お弁当でも食べながら

陶芸教室に到着。

今日はお昼前からなので、近くのコンビニで昼食を買い、終わってから食べることにした。

ノアは1人分にしては量が多い。

きっと先生の分も買ったのだろう。

野暮なことは聞かない聞かないっと。


「先生こんにちは」

「こんにちは。今日は2人で来たんですね」

「どうしても一緒に行きたいとせがまれて」

「ちょ!そんなこと言ってないから!」

「ハハハ。さぁ、席に座ってください」

「(小声で)変なこと言わないでよね」

「別に変じゃないでしょ」

ノアは不満気な顔をしたが、俺は純粋にこういうやり取りを楽しんでいた。

学生の頃にこんなこと出来てたら毎日が楽しかっただろうなぁと妄想しながら。

おっとと、余計なこと考えてたら手元が狂うぜ。

このひんやりとした土の感触。

頭の中を空っぽにしてろくろを回し形を整える。癒し効果抜群だわ。

俺は無心になって土と相対した。

そして、あっという間に時間は経った。


「腹減ったな。お昼お昼っと」

俺は買ってきた弁当を取り出した。

ノアはまだ仕上げに取り掛かっている。

集中してるから先に食べることにした。

「電子レンジ奥にあるから使ってください」

先生も休憩するようで、お茶を飲みだした。

俺はこの間を利用して宮尾家のことに聞いてみることにした。


「先生、お聞きしたいことがあるんですけど、差し障りなければ教えてもらいたいんです」

「その言い回しは陶芸のことではなく別のことですね?」

「はい、宮尾家のことです」

「私が話せることでよければ」

「ありがとうございます。さっそくですが、娘さんのルナのことなんですけど、どういったお子さんでしたか?」

「ルナですか…そうですね、彼女はとっても頭が良くて、勉強が出来るという意味もありますが、子供ながらに非常に頭がキレる、そんな子でしたね」

「離婚したときは中学生くらいですかね?」

「そうですね。確か受験勉強をし始めていた頃だと記憶しています。私は勉強のほうはあまり出来なかったので、きっと麦に似たんだと思います」

「麦さんは優秀な方だったんですか?」

「実は彼女の学歴等はよく聞いてなくて、でも普段の会話や要領の良さから頭が良い女性だとは思っていました」

「その頃から麦さんは今の仕事に繋がるような仕事をされてたんですか?」

「麦が今やってる仕事のことはよく知らないのですが、当時は専業主婦でした。子供も3人いたし、私の稼ぎだけで暮らしていました」

「その頃は陶芸教室ではないですよね?」

「長距離のトラックドライバーです。休みの日は単発でバイトもやってました。子供が3人になってからはあまり構ってやれなかったですね」

「仕事で毎日忙しかったのが離婚の理由なんでしょうか?」

「…。それは…違いますね」


そこからしばしの沈黙。

離婚の理由が今の宮尾家の現状と関係してるのだろうか?

そこまで踏み込んで聞いてもいいのだろうか?

思い切って言葉を発しようとしたその時、

「あー、スッキリした!完成完成」

ノアだ。

「あれ?もうお昼の時間だ。お腹減ったー」

言うタイミングを逃してしまった。

「あ、私先生の分もお昼買ってきたから食べて食べて」

「ありがとう。それじゃ遠慮なくいただくとしますかね」

先生は席を外してノアの方へと向かった。

「先生どっちがいい?」

「じゃあ、こっちのカレーハンバーグ弁当貰おうかな」

「またカレーなの?たまには違うのにしなよ」

お前が言うなとツッコミ入れたくなったが、彼女の無邪気な笑顔を見たらそんなことどうでもよくなった。

理由を聞くことで今の親子関係を壊したくないからだ。

あの短いながらも長く感じた沈黙にはきっと何か意味があるに違いない。

今の時代、親が離婚するなんて珍しいことではないのだが、娘が家族に黙って別れた父親に会いに来てるってよっぽどのことだと思う。

俺は両親とも健在でごくごく平凡な家庭でひとりっ子として育ったからその辺のことは正直分からないが、健全な親子関係ではないことは確かだ。

何れにせよ、中川先生には宮尾家のことについて深く教えてもらう必要がある。

この間の言い回しだと宮尾家の女性には何か秘密があるようだし。


「先生、ほっぺたにカレー付いてるよ」

「え?どこどこ?」

「私が拭いてあげる」

ノアはティッシュを1枚取って先生の頬を拭いた。

微笑ましいバカップルに見えなくもないが、いかんせん歳の差がありすぎる。

試しに俺もわざとほっぺたに焼肉のタレを付けてみた。気付いてくれるかな?

「この焼肉弁当美味いな。特にタレが絶品だわ」

「ホント?今度私も買ってみようかな」

焼肉に目が行って俺の顔には目もくれなかった。そんなもんか…。

さっさと食べよう。


「それじゃ、今日はこれで。さようなら」

「はいさようなら。いつでもお待ちしてます」


車に乗り込んで数分後、ノアは俺の顔を見てこう言った。

「いつまで顔にタレ付けてるのよ?」

「え?気付いてたの?」

「そんなの気付くに決まってるよ」

「じゃあ、何で言ってくれなかったの?」

「だって、お父さんの前だし恥ずかしい」

ノアは顔を赤らめた。

よかった、嫌われてるわけじゃなかった。

「ほら、これで拭いて拭いて」

ノアはティッシュを差し出した。

「運転中だから拭いてくれない?」 

「信号で停まったときに拭けばいいでしょ?」

「こんなの誰かに見られたら恥ずかしいよ」

「大丈夫、もう私に見られたから」

「いやいや、そんなこと言わずにさぁ」

「ちょっと!前見て前!」

そんなやり取りを続けながら家に帰った。

他人から見たら恋人同士に見えてるだろうか?










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