表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

第二話 プレゼント #2

朝の教室。窓から射し込む光が机に斜めの影を落とす。

丸尾はポケットの中でキーホルダーを強く握りしめていた。

有祐「.......(よし、今日は絶対に渡す。昨日みたいに逃げな

   い。自然に“これあげる”って言えばいい。それだけ

   だ)」

扉が開き、多野が入ってくる。視線が合った瞬間、鼓動が跳ね上がる

有祐「お、おはよ」

多野「......おはよう」

その一言だけで、勇気が半分溶けてしまった。


授業中、丸尾はずっと机の下で手の中のキーホルダーを握り締めていた。

休み時間になるたび、机の下で指を絡めたり離したりするだけで、席を立つ勇気が出ない。

有祐「(今なら自然に渡せる・・・・・・・いや、やっぱ無

   理だ!みんなに笑われるかもしれない・・・・)」

(芳賀と一葉は何度も丸尾の様子をチラリと見ている)

芳賀「よし、また座ったな?」

一葉「いつもと違う。なんだその小心者みたいな顔は」

有祐「・・違うんだよ!今日こそ自然に渡すだけ・・!」


昼休み、教室の机を寄せた場所で親友二人が丸尾を囲む。

芳賀「よし!俺が場を作るぞ。タイミングは任せろ」

一葉「丸尾は渡すだけ。簡単だろ?」

有祐「簡単に言うな!俺が緊張してるの見えないのか!」

芳賀「まあ、見えないわけじゃないけどな。面白くなりそう

   だから。」

一葉「せっかくだ。俺も手伝う。」

丸尾は顔を赤くして手の中のキーホルダーを握る

芳賀「よし、タイミングは俺達が作る!まずは作戦名を考え

   ないとな、案はあるか?無ければ【オペレーション・

   ラブ・ミッション】だ!!」

一葉「お前、そういや英語1だったな・・・・・・」

(だが、クラスの女子たちには妙にそわそわしている三人の様子がすでにバレていた)

岡崎「・・あれ、なんか怪しい。腐女子レーダー反応して

   る。恋の香りってやつ?」

鈴木晴「また何かバカやってんでしょ、あの三人」

(丸尾は顔を真っ赤にして顔を背けた)

放課後、帰り支度を済ませた者から各々教室から出ていく。

廊下に出たところで多野に声をかけようとする丸尾。

(だがすぐに鈴木が駆け寄ってくる)

鈴木晴「多野、途中まで一緒に行こー」

(焦る丸尾の前に、芳賀が元気よく声を張り上げる)

芳賀「さあ、鈴木、部活の時間だ!今日のメニューは何だろ

   な?スゲー、ワクワクすっぞ!!」

鈴木晴「えっ、なに急にやる気出してんの・・・・?」

(困惑する鈴木を無視して、芳賀はその手を取って部室へと引っ張っていく)

一葉「あいつ、キャラ違いすぎだろ・・・・・・・」

有祐「・・・・・・・芳賀、演劇部で使う?・・・・・・」

一葉「いらん」

(芳賀の背中が見えなくなるのを確認し、丸尾は胸に手を当

てる)

有祐(心の声)「よし、今度こそ」

多野の方を見ると既に岡崎が田野と話し込んでいた

一葉「よし、丸尾。ここは俺に任せろ」

(一葉が多野と岡崎の方へ歩み寄る)

一葉「多野、悪い。今日の日直、変わってくれ。演劇の台本

   が間に合わないんだ」

多野「えっ、うん、いいよ」

岡崎「多野、あたしも手伝うよー♪」

一葉「いや、岡崎には台本を見て欲しいんだ。丸尾にも応援

   頼んでるから、日直の方は二人で頼む」

岡崎「しゃーないなあ。んじゃ台本ちょーだい」

(岡崎は演劇部の台本を手に取り、一葉と一緒に教室を出ていった)

有祐「(さすが演劇部!よし、やっと二人きり!)」

(日直の仕事をする多野と丸尾。静かな空気が流れる)

多野「丸尾くん。なにかみんな、変じゃなかった?」

丸尾「い、いや!全然!普段通りだよ!それよりさ、

   コレ・・・・・・・た、多野に・・・・・・・」

(丸尾は震える手でキーホルダーを差し出す)

多野「!これ、わたしの好きなの。どうして?」

丸尾「このキャラのハンカチ使ってたろ。この前、俺のギタ

   ー褒めてくれた・・・・・・・そのお礼。」

(頬をほんのり赤く染め、キーホルダーを受け取る多野)

多野「......すごく嬉しい」

(丸尾は胸を押さえながら、静かに息を吐いた。夕日の光が二人の影を長く伸ばし、余韻だけが残る)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ