サバサバ女~GETWILD~
「んんん~私ってぇサバサバしてるからぁ!嘘とかつけないのよねぇ!」
俺の上司の自称サバサバ女。こいつウゼェ。
「男ウケするメイクとかしてぇ。加工写真あげてSNS気にしてるなんてしんじらんなぁ〜い」
おいおい。部署の空気が悪くなるって。
SNSの話で盛り上がっていた女子達が怒りでプルプルしてるって。
「ねぇん。あんたー飯奢ってやるから付いてきなぁ〜?」
しかもこの自称サバサバ女は俺を狙っている。
冗談じゃない!俺には愛する妻がいるんだ!
でも俺はこいつに弱みを握られている。
逆らえねぇよぉ。
せめて二人きりにならないように彼女たちには悪いが付いてきて貰おう。
.
「かんぱーい!」
オシャレ女子達はフレンチに行きたがったが、結局居酒屋になった。
「なっがいカタカナのおしゃれメニューとか読めないっての〜。私は肉とニンニクがありゃいいの!よく美人なのに性格が男みたいって言われるの〜ウケるー」
肉とニンニクが交互に刺された焼き鳥。
餃子。ニンニクチャーハン焼きニンニク乗せをクチャクチャ食いながら喋るな。
くせぇよぉ。
「カシスオレンジとか甘ったるくて飲めなぁい!私はバーボン!」
45度のバーボンをジョッキで飲み干してタバコを吹かす。
「し……しつれいしまーす」
あっ!女の子たち!帰らないで!二人きりにしないで!
「何よノリが悪い女たちぃ。まぁいいわ。私サバサバしてるから男と話す方が楽なのよねぇ」
「ひゃっ!どこ触ってんすか!?」
俺の股間をモミモミしながら小賢しくも転がしてくるサバサバ女。
くそっ!こんなババア好みじゃないのに!
悲しいかな上手に扱われると男として当然の生理現象が発生してしまう。
「うふふ。……出よっか?」
.
ピンチだ。
ニンニクをたらふく食わされ、酒を一気させられ酔っ払っているし、この先はホテル街。
妻と最後にしたのは何ヶ月前になるだろう?
なんか……意識が朦朧として隣にいるサバサバ女がデブじゃなくてグラマラスないい女に見えてきた……
「終点無くなっちゃいそうだし。うちに泊まってく?大丈夫。私達って異性ってより男友達みたいなもんじゃん?なんも起きないって〜♪」
おっぱいを押し付けるな。
揉みてぇ。吸いてぇ。
……でも
「俺は妻を愛してるんで。何もなくても女性の家にはいけないっす……おぇぇ」
ヒステリーを起こしてぶん殴られるぐらいの覚悟はしていたが女は穏やかだった。
微笑んでいる。
……酒のせいとかじゃなく……本当に綺麗だなと思った。
「……あの。貴女には借金があって。貴女の私への好意も理解していますが……あなたとは寝れませんから」
俺は病気の妻の手術代300万円をこの女に借りていた。
これが俺の弱み。
「ヴァァカ!なーに勘違いしてんのぉ!?ぜーんぶ冗談なんですけどー!ウケるぅ!童貞かよ!このスケベ!ほら走りなさい!走れば終電間に合うよ!」
えっ?冗談だったの?マジで?やばい顔がめちゃくちゃ熱い。
俺。自意識過剰勘違い男じゃねーか。
「……借金は絶対お返ししますから」
妻は……裏切れない
「んぅぅぅん?私ぃ?サバサバしてるからぁ。過去の事なんか覚えてなぁい!
借金ってなんのことぉ?そうやってカマチョとかやめてくんなぁい?」
「え?」
「あんたと私の間に貸し借りなんてないの!明日からも仕事がんばろ!ほら!ダッシュ!」
「……はいっ!」
俺は5秒間最敬礼してから駅に向かって走った。
誤解していた。なんて。なんてサバサバした人なんだ。
.
「……フラレちまったか」
本気……だったんだけどな。
勝負下着と300万が無駄になっちまった。
ちっ。どうしてあんな男に惚れちまったんだか。
絶対に浮気なんかしないタイプなのに。
……そういう一途なところか?
「……おっといけねぇ。……涙が」
私はサバサバ女。
涙なんかウェットなもん似合わない。
明日からもサバサバするためにこの涙を乾かさなくてはいけない。
胸の谷間からタバコとマッチを取り出して火をつけた。
「ふぅ〜」
潮風でも浴びるか。
私はコンビニでバーボンを3本買って海へ向かった。
※~GETWILDが流れる~
テンテンテン……テン、テンテンテンテンテン………




