見えてきた闇
「最後は...ここだが」
ルイが降り立ったのは港区のとある駅。
世間では高級住宅街とか、何かにつけて騒がれている場所。
そんな場所で、幻想種の密猟が行われているとなると、
「反吐が出るぜ」
ルイは、FALSOCK本社が入るビルへ向かった。
「ほへぇ~」
ビルのエントランスは、三階くらいの高さまで吹き抜けが綺麗だ。
ルイは、手頃なソファーに座り辺りを伺う事に。
現在は、平日の十五時頃。
エレベーターには、次々とビジネスマンが吸い込まれていく。
その中には、人間に交じってエルフや天狗などの幻想種も居る。
その数は全体の約五割くらい。
(眼の下に隈を作り、エナジードリンクでブーストを駆けるエルフなんて見たくないなぁ)
ルイはそう長いながら、エレベーターに吸い込まれる人たちを見送った。
暫く眺めても怪しさ満点の人間の出入りは見えない。
だが、ルイはある一点が気になっていた。
「なんで此処から、幻想種の気配があんだ?」
ルイはエントランスの左端に目立たないように置かれている掃除用具入れに注目した。
そして、何気なく手を伸ばしてみると、ロッカーを通り越し、謎の空間へ手が突き抜ける。
「認識ずらすって...明らかに黒だろ」
ルイは息をのむと、ゆっくりと掃除用具入れに向かって歩き出す。
普通ならば、ロッカーに激突するのだが、ルイは吸い込まれるように消えて行った。
そして、この光景はエントランスに居る誰も目にしていなかった。
ルイは、掃除用具入れでカモフラージュされていた空間で、思案する。
「と言っても、ここ以外の選択肢はなさそうだが...」
ルイは、下へと伸びる階段を見つけた。
そして、その奥から先程感じた幻想種の気配を更に濃く感じた。
その気配は、ルイが良く知っている物に似ていた。
どうとでもなれと、階段を下りていくルイ。
道なりに進むと、何個か部屋を見つける。
そして、やはりと言うべきか、ルイの聞き覚えのある声がとある部屋から聞こえて来た。
「お早い到着ですね下村さん」
ルイがその部屋を覗くと、康太が出迎えた。
「なんか恨みでもあんのか? ワザと此処に居ただろ?」
「ちげーよ。食後の昼寝をしてただけだ」
「あ、奥のエレベーターで最上階に行けますよ」
そう言い残すと、部屋から出ていくドラゴン達。
あっという間に消えたものだから、ルイは問い詰めることも出来なかった。
「んじゃ、最上階か...」
部屋を出ると、フロアの端にエレベータらしく物を見つける。
辺りを警戒しながら、フロアを進んで行くと、
「っ!? なんだよこの数!?」
ルイは驚きに目を丸くする。
今、ルイが通り過ぎようとした部屋の奥に、あり得ない程に密集している幻想種の気配を感じた。
「三十はくだらないぞ!?」
ルイは慌てて、部屋に飛び込む。
辺りを見回し、その場所を見つけた。
山のように積まれた大小さまざまなサイズの檻。
その中には、グレムリンや妖精、カーバンクルなど様々な幻想種が傷だらけの状態で捉えられていた。
血と糞尿の臭いが充満する室内。
ルイが固く握る拳には、赤い涙が流れていた。
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