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弐 満月の夜

 異能って平等じゃないなぁって思う。


 今時の小説だとさ、弱小からのチート、平凡は見せかけの天才、非モテからのハーレム。そーゆーのが人気になるんだろうけど。現実って案外甘くないなぁって思うんだよね。


 例え話をするならば、友人の友人の親戚の異能「空気清浄(スティアダスト)」(最早誰なのか)。

この異能はあんまりだ。能力はもちろん空気の清浄。地球に優しい温暖化防止異能としか思えない。

 あとは完全上位異能の存在。水を扱う異能に対して、全属性を操る異能…


 これいかに?


 バランスブレイカーにもほどがある。

 もちろん必要なネアの量や体への負担は、下位異能の方がコスパはいいんだろうけど。

 その能力の「差」は明らかだ。

 「異能力は、彼らを協力、平等の道へと導いたものでもあると言える」なんてあれはないなって。


 教科書はやっぱり所詮上流階級の作った紙くずだな。


 まあかくいう俺の異能は強いのだが。強い…よね?

 …見栄じゃないもん。


 それはそれとして、ここは異能学校(シューレ・プロパエル)

 異能者の学ぶ学校で、13歳から18歳の異能者は義務的に入る必要がある。異能政府に次ぐ戦力を持つこと、世界を揺るがすような秘めた異能者がいることから独立した権限を持っており、敵対組織とは独立して戦うことも多い。

 技魔術世界紛争の伝説に基づく由緒ある学校でもある。


 完全寮制で四つの寮があり、寮名を覚えるのはまあなんと簡単、勇者、賢者、黒王、従者。伝説の四聖だ。

 寮印は動物がモチーフにしてあり、勇者からそれぞれ、猫、熊、蝙蝠、犬となっている。なんとなくご察しの通り、彼らは四聖を表す動物たち。


 厨二患者(俺)が興奮しそうなことに、寮印には、これも勇者から、自由、賢さ、優しさ、無欠とシューレ語が彫ってある。シューレ語は魔力の籠る言語とされ、古代では高貴な魔術者たちが使っていたらしい。

 バチくそかっこいいとしか言いようがない。なんせ今じゃ使わない言葉なんだぜ?シューレ語って。ものすごく興奮する。

 んあ?興奮しないって人もいる??

 俺がするからおーけー。


 で、極めつけは紋章のデザイン。猫がモチーフの勇者は眠る猫に地を刺す剣。熊がモチーフの賢者は本を読む熊。蝙蝠がモチーフの黒王は逆さ玉座で笑う蝙蝠、犬がモチーフの従者においては装甲を身につけた犬がデザインされている…


 カッコよすぎんだろ‼

 もはやハリーポッターの世界かと思う。

 てかハリーポッターだろ。

 J・Kローリングさんの世界観パクっちゃってるよ。

 いや違うな。この学校のほうが昔にできたから、技術世界にこの世界観が漏れてるわけだ。

 えええ⁉大問題じゃん。


 しっかし、あっちの、技術者の世界線もよく分かってるもんだ。《魔法》じゃなくて《魔術》だったらここはハリーポッターと世界観ほぼ一緒なのに。魔の法則と魔の術式とでは天と地ほど違うからな。

この世界において、一つはっきりしてるのは、魔法はエルフやフェアリー族のものってことだ。

 内に魔力を持たない人族に、魔法なんて使えっこないからな。


 ふと時計を見る。時間にして午前二時。丑三つ時だと言われる時間だ。あっちでは。

 「ほんとに電気って大発明だぜ」

 今夜は満月。それでも電気という概念のないこの部屋は薄暗く、隣で灯の影がゆらぐ。

 あれ?灯に影ってあったか?

 そんなことは気にしてはならない。


 今日はやけにオオカミの遠吠えがうるさい。

 月の明るさは増すばかりであったが、荒城白夜は寝ることに決め、日記を書くのを終えた。


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