まだ
何でも話せて、何でも頼めて、
何でも知ってくれている人がいたら、
ぼくはその人とずっと一緒に
いたいだろうか。
何もかも、思い通りになる相手は、
心地よい気がしても、
次第に、重苦しくなるかもしれない。
栄養が偏り、胸がつかえるように。
なんだろう、人との間にある、
ちょうどいい宇宙ってなんだろう。
この年になっても、まだ、わからない。
まだ、ヒントすら見つからない。
もしかしたら、無いかもしれない。
人との間の、ちょうどいい宇宙なんて。
ぼくは、誰かにそばにいて欲しい、
そう思うことなんてなかったから。
誰かは、誰でもないのだし、
誰かは、誰かでしかないのだから。
だから、記憶の中にずっといる
朗らかな君は、特別な人なんだね。