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友の顔は深刻だった。救いがたいものを初めて目の当たりにしたように深く暗い影を落とし絶望さえしていたかもしれない。
では、それを見る、そんな顔をさせている当人はどうか。さすがにばつの悪そうな顔をしている。縮こまって居場所のない素振りを見せてはいるが少しも自分の判断を悔いている様子はないのでこれは駄目だと友は見ていた。
正直腹立たしくはあった。あるいは絶交さえ頭をよぎったので本当にこれはどうしようもない。
そしてそんなどうしようもないこの友人を許してやろうとしている自分もまたどうしようもない。
はあ、と、大きめのため息をつく。
「バカ野郎め。俺は言ったよな自分の選択を他人に委ねるなって」
「……うん。言われたね」
「でも、キーアに付いていくんだろ」
「ああ」
何の躊躇もない肯定だった。まるでノータイムだったのでバッツの方が鼻白むくらいだった。
「俺はキーアを助けるよ」
「……分かった。好きにしろや。全くとんでもないバカ野郎だ」
「ごめん」
「もう謝るな。許した。仕方ねえ」
「ありがとう」
「礼を言われるのもムカつくな……つって、お前一人で霊素獣なんとかなる算段はたってるのかよ」
「……」
「ねえんじゃねえか」
第三段階霊素獣討伐での最も難関は一人での挑戦である。これは二人揃って導きだした結論である。一応試してみたが二人でかかる以上にどうしようもなかった。だからこそ二人は組んでの撃破に勤しんでいたのだがそれでも中々クリアできる目は見えなかった。
だから一人でのクリアは無謀でしかない、が。
「いや……何とかなるかも……しれない……」
小さな声でスオはそう言った。
「……どうやって?」
問い質すが、スオは気まずそうにそっぽを向いて答えない。長年の付き合いでこの反応には覚えがあった。何らかの隠し事があって後ろめたく思っている上で絶対にその中身を口にしない時の顔だ。
つまり、本当に何とかする算段があるのだろう。どういう事だと問い詰めてやりたいが無駄なのでやらない。
バッツは大きなため息を吐くと億劫そうに立ち上がった。
「しょうがねえな。じゃあお手並み拝見させてもらおうか」
スオが顔を向ける。どこか戸惑った、間の抜けた顔だった。
「お前が、どういう風に立ち回るつもりか見せてくれ。オレも今更どっかに加えてもらうって訳にゃあいかねえからよ。参考にさせてもらうわ」
「……」
口を引き結び、言葉につまる。何故か。その理由がバッツには今一つ分からなかった。




