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無音の令嬢  作者: お狐
2章 『無音』の令嬢
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前世の私

《毎日投稿期間中》

「ライラ様っ!?大丈夫ですか!?」


『えぇ、大丈夫よ。』



多分、私は今顔色が真っ白なのではないかしら?全身からサーっと血の気が引いていくことが分かる。

覚悟を決めていたはずなのに、それでもやはり受け入れ難い。



「………ライラ様。無礼なことは承知しております。ですが、一つお聞きしてもよろしいでしょうか。」


『えぇ、もちろんよ。』


「………聖女とライラ様は何か接点がお有りになるのでしょうか。」



それは、疑問と言うよりは断定というのが正しい口調だ。それだけ、ハルの中では私が分かりやすいと言うのもあるのだろうけど。



『そうね。………ルナ、悪いけど外してもらえるかしら。』


「かしこまりました。部屋の外にて待機していますので、何かあればお呼びください。」





「防音と幻影の結界を張りました。ご説明お願いしてもよろしいでしょうか。」


『………私の持っている魔力量、マヨネーズや元から学力が高い、考えが大人びているなーって思ったことはない?』


「はい。」


『実はね、私この世界の人間じゃ無いの。』


「と、申しますと?」


『この世界と違う世界の、聖女と同じ日本って言う国から来たのよ。そして、私と聖女が違う点は……私があちらの世界で死んで、この世界のこの体に魂が入っちゃったみたいなの。』


「成る程。」


『もっと驚いたり、疑われたり……いや、ハルが私を疑うはずがないわね。』


「私の事を分かっていただけていて嬉しいです。……ですが、それだけでは聖女についての説明にはなっておりませんね。」


『その聖女はね、私の前世の娘なの。』


「……………っ!!」


『前世で私はかなり若い段階で子供を授かってしまったの。それでも、相手は年上で、きちんとした稼ぎもあったからそのまま子供を育てようと思ったの。でも、お姑さんや親戚の女の人に散々虐められてね。気付いたら親権を奪われて、結婚もすることができなかったわ。……彼も、必死に私と結婚しようとしてくれたんだけど、お姑さんが彼にとってのトラウマだったみたいで全然逆らえなかったのよね。だから、彼も私と結婚する事を諦めたの。………今思うとひどい話だわ。』


「それは…………許せないですね。あちらの世界に行けたら、その男と姑と親戚は皆殺しにしましょう。」


『ふふ。ハルがそう言ってくれるのは嬉しいけど、私今でも彼のことが好きなのよ?……それに、そのあとは美容師…髪を切る仕事についてね、中々充実した生活だったのよ?』


「そう……なのですか。」


『そう。でも、娘の写真だけは毎年こっそり彼に送ってもらっていたわ。やっぱり、娘と一緒にいることができないのは辛かった。1日だって、娘のことが頭から離れたことはないわ。』


「では、姿の変わっているライラ様を、聖女が実の母親であることに気づくことはないはずですよね。なぜ、殺し屋を放つなど愚かしい事をしたのでしょう。」


『そこなのよね。仮に、顔も覚えていないような母に捨てられたと言う気持ちだったりがあれば憎まれても仕方が無いと思うのだけど……。でも、明日タイミングを見て話してみようと思うわ。娘も、私の事を気にしていると思うもの。』


「そうですね。……お話ししてくださってありがとうございます。お辛い事をお話しさせてしまい、申し訳ございませんでした。」


『いいのよ。ハルの私を思う気持ちに報いたいって私いつでも思っているから。』



そう、私はさっきの話で前世の彼をまだ好きなのだと言ってしまった。これはハルの告白に対する答えのようなものだ。いうつもりはなかったのだが、言ってしまったものは仕方がない。

それをハルは触れないで置いてくれた、もしくは触れたくなかったのかもしれない。それを問いただしたら、もう後戻りはできないから。 

だけど、私をこれだけ支えてくれて、思ってくれているハルの告白をこれ以上有耶無耶にはできない。


だから、私はエティエンヌ王国に帰ったら、ハルの告白にきちんと答えようと思う。

前は有耶無耶にして先延ばしにしてしまったけど、もう後戻りはできなくなってしまった。


だって、ハルは案外分かりやすいもの。さっきだって、私が前世の彼を好きって言ったら、ハッとした後、悲しい顔をしていた。

もう、これから良いタイミングが訪れることは当分ないだろうことに気づいていた。


それなら、はっきりさせるのが私のせめてもの責任だと思う。








それと、もう一つ、今日のうちに果たさなければならない責任がある。


かなり重くなった空気を壊すように少し明るい声色で私はハルに話しかけた。



『これで聖女に対するアクションが決まったわ。ハル、貴重な情報をありがとう。……それで、早めに済ませなければいけない案件がもう一つあるの。』


「王太子様ですね。」



ハル、つんとした顔を装っているけど、すっごい苦々しい顔をしてるよ。苦虫を2ダース噛み潰したような顔よ。もうちょっとごまかしなさい。



『ええ、だからこれからリュカ様の部屋に侵入しようと思うの。だから、私1人で行って……』


「なりません。」


『いや、でもあなたを煩わせるほどのことでは……』


「なりません。」


『………じゃあリュカ様の身代わりをお願いできるかしら。私が瞬間移動をしてリュカ様を連れ去り、ここに戻ってきて、話をしてリュカ様を元に戻してハルを回収って感じで。』


「………こちらの外にルナをつけて、この周辺に部下をばらまいていいのなら、いいでしょう。」


『えぇ、敵地で無理を言っていることも分かっているもの。防音結界を張るからかまわないわ。』


「では手配をしますので3分ほどお待ち下さい。」




わぁ、そんなに早く手配できるものなのね。もうちょっと時間をかけてもいいのよ?……いや、時間をかければ私の決意が揺らぐわね。


………覚悟を決めなさい!!私!!女なら、潔くあやまるのよ!!

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