一枚の写真
《毎日投稿期間中》
んーよく眠れた。
馬車の旅ってもっとガタガタ揺れて、荷物も余り持てないから不便なものかと思ってたわ。
まぁ、空間魔法があれば荷物なんていくらでも持てるけど。
さて、今私はクロスマリナ王国に入国して、用意されたお部屋に向かっているところです。
快眠の旅から一転、ハルとルナの殺気が凄いです。般若みたいな顔でこわい、こわいです。
まぁ、2人とも私に恩義があると思ってるみたいだから、恩人が殺されかけた!ってなった相手のホームに来てるわけだしね。その気持ちも分からなくはないわ。
「この部屋のようですね。ルナと待っていてください。私が確認してきます。」
『ええ、お願い。』
やっぱり確認するわよねー。そもそも殺し屋が潜んでたり、なんか盗聴器的なものとかあるかも知れないし。
そういう物の確認も出来るなんて、ハルはやっぱり有能ね。
「この部屋は大丈夫です。」
『ありがとう。』
ハルのチェックが入った部屋は、各国の要人を迎えるだけあって豪華な部屋でした。メインルームの他にバス、トイレ、使用人部屋が付いていて普通の家と同じくらいの大きさがあります。
「《ガードバリア》……ライラ様、この空間は防音なのでお話しさせていただきますが、この部屋には盗聴魔道具と映像記録魔道具が仕込まれていました。なので、この部屋には私達に変装させた者に残ってもらい、私達はライラック商会所有のホテルに移ろうと思います。よろしいでしょうか。」
あーー、やっぱりあったの?まぁ、人が潜んで無いだけマシ……かな?
『私たちの身代わりになる人が危ないんじゃ無いの?私より強い人がそう多くいるとは思わないわ。』
「そうですね。ですが、隠密に特化している者達を潜ませた上で、逃げ足の早い者に身代わりになってもらうので危険は最小限だと思います。それに、この部屋はライラ様が過ごされるにはグレードが低いです。私にはこの部屋でライラ様が過ごされるのは耐えられません!!」
『そ、そう。分かったわ。瞬間移動するから方角と距離を教えて。』
「はい……《ウィンドバレット》……方角は南南東、距離は2.56kmです。」
『《ウィンドバレット》が建物にぶつかるまでの時間から距離を測ったのね。その応用は思いつかなかったわ。』
「い、いえ。お褒めに預かり光栄です。」
ハルは頭が柔らかいわねぇ。そんなの思いつかなかったわ。
『もう移動していいの?』
「はい。幻影で私が幻を映しているので、大丈夫です。」
『じゃあ行くわよ』
あぁ、ぴったりホテルの前につけて良かったわ。失敗したら恥ずかしいもの。
「今私たちは幻影で見た目が変わっていて、金持ちの商人と言った姿になっていますが、一応周りには気を付けて行動をお願いします。」
そう言ってハルが案内させた部屋は、先ほどの部屋とは打って変わってシンプルで可愛らしい、私好みの部屋でした。……でもきっと、えげつない価値の物ばかりなんだろうな。壊さないようにしないと。
ソファに座って、ハルが入れてくれた紅茶を飲んで一息ついたところで。
「さて、ライラ様。この後はどうなさいますか?」
『そうね。聖女の情報は集まったかしら?』
「はい、ではお話しさせていただきますね。現在、王城で教会の者による監視下で儀式の準備などをしているようです。最初は見知らぬ世界に来て泣き暮らしていたようですが、今は安定したようです。魔術は全属性に適性があり、特に回復魔術は最上級までを1日で使えるようになったそうです。他の属性は未だに初級止まりです。」
『なるほど。聖女ならそれくらい容易でしょうね。』
“聖女はこの世界を癒し、豊かにする存在で、世界を混沌から救う”と言うに対しての知識は持っていたので、成る程としか思わなかったけど、最初から最上級を使える位の魔力量があったのは反則よね。
………ん?そう言えば神様知識とこの世界の最上級は違うのよね。てことは、私で言う上級ってことかしら?
『その最上級の回復魔術はなんで名前なの?』
「《スーパー・ヒール》です。」
スーパー・ヒール……うん。神様知識でいう上級ね。このズレは何なのかしら?まぁ、いいか。
「そして、こちらが聖女の写真になります。」
写真……。そんな物まで手に入れてると思わなかったわ。
………あぁ、写真を見るだけなのに、手が震える。ローテーブルまでの少しの距離に手を届かせるのがこんなに大変なことだって思いもしなかった。
……………あぁ、だめだ。これは……。
その写真に映った愛らしい少女は私の娘だった。




