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無音の令嬢  作者: お狐
2章 『無音』の令嬢
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対決

「お待ちしておりました、グランデ様。ライラ様。本日こちらにいらっしゃられたこと、至極光栄に存じます。」



そう言ってビシッと並んだ人の真ん中から歩いてきたのは、髪を七三に分けた、シルバーグレーの執事さんでした。

とても渋くて、いかにも仕事ができそうな、とてもかっこいい方でした。歩くだけで、様になってます。



「ひさしぶり、ストラス。私も君に会えて嬉しいよ。」



ん?知り合いなのでしょうか?とっても仲がいいような…?

そんなに頻繁に劇を見にきていたのでしょうか?



「さぁ、ご案内いたします。どちらの席がよろしいでしょうか?」


「ライラ、どこがいい?」


『そうですね。先程ずっと室内にいたので、テラス席などはどうでしょう?』


「あぁ、私は大丈夫なのだが、そうなると護衛たちが外側を囲むことになってしまうんだ。それでも大丈夫かい?」



あぁ、そっか。外に面してると暗殺し放題だもんね。

だけど、私にも考えがあるんだよ!!

今日はいっぱい楽しませてもらったから、私も活躍しないとね!



『私に考えがあります。なので、テラス席にお願いします。』


「かしこまりました。」



そんな話をしながら着いた席は、劇場とそこに向かう人たちが一望できる、二階のテラス席でした。

一応、地上からの刺客に気を使ったのでしょうか?



「本当にテラス席でよろしかったのですか?ライラ様。」



少し心配そうに話しかけるのはストラスさん。周りの護衛さんたちも心配そうに見ています。



『ええ。結界を張れば、何者も立ち入ることはできません。』


「なるほどね。でもライラ、ずっと張り続けるのは大変なのでは?」


『そうですね。でも最上級の光魔法で張れば、余裕で3日くらい出来ますよ?強度もドラゴンの攻撃に1日は耐えられますし。』


「そうか。ではお願いするよ。テラス席に座って護衛が居ないなんて、そんな素敵な経験なかなか出来ないからね!」



……とリュカ様は信じてくれたみたいだけど、流石に護衛さんとストラスさん信じてないようだ。

リュカ様が信じてるということで、何も言えないみたいだけど。


えぇっと。確か、護衛さんのリーダーの名前は……



『モスダムさん。心配でしたら、私の結界に攻撃してみますか?そうすれば強度もわかりますし。』


「い、いえ。疑っているわけではございませんので。」


「そうは言っても、私を守らなかったら、モスダムの責任になってしまうから、疑うのは仕方ないよ。だから、ライラに甘えさせてもらったらどうだい?」



そんなリュカ様の一声で、耐久力チャレンジが始まりました。



『取り敢えず、下にありましょうか。ちょうどテラス席でよかったですね。』



リュカ様を除く全員が、首を傾けるなか、私はテラス席から飛び降りました。



「ライラ様っっ!!」



うわぁぁっ!!モスダムが凄いスピードで落下してる私に追いついてきたぁっっ!!

はっや!そんな勢いよく飛び降りれる??躊躇なさすぎでしょ!?


もう少し、落下してる感じを味わいたかったけど、すぐに風魔法を使って、スピードを落としました。(この間0.3秒)



「っ!これは……ライラ様の風魔法でしょうか?もしかして最初からこのつもりで?」



ふわふわと、空を飛ぶ感覚に覚えがないのか、不安そうに浮かんでいる。なんだか可愛い。



『えぇ。心配させてすみません。まさか、飛び降りてくるとは思わなくて。』


「いえ、今思えばリュカ様は動じていらっしゃいませんでしたし、私の判断ミスです。お手数お掛けいたしました。」



すとん、と地面に降り立ってから、頭を下げて謝罪されました。

………今回の場合、リュカ様はわかってるからと、何も言わずに飛び降りた私が完全に悪いと思うから居心地が悪い。



「ふふ。ライラを身を挺してライラを助けようとしてくれたことに、感謝するよ。君のように護衛対象を咄嗟に助けようと動ける人はそんなに多くはない。」


「リュカ様……。ありがとうございます。」



私もその意見に賛同して、コクコク頷いておきました!



「さて、結界を試すために降りたんだ。そこの木に結界を貼ったらどうかな?モスダムなら木ぐらいバターのように切れるだろう?」


『分かりました。では張りますね』



そう言って、高さ10mくらいの木に結界を張りました。

ただ見ていると結界を張っていると分かりません。



「ライラ、ありがとう。それじゃあモスダム、やってみてくれ。」


「はい。……ハッ!フンッ!!ウォリャァ!!」



おぉ!流石、王子の護衛リーダー。凄い剣撃です!

特に火の中級魔法、ファイアーアローを変形させて剣に纏わり付かせた一撃は目を見張る攻撃力でした。


何回か叩き斬ろうとしていると、剣の方が先に寿命を迎えたらしく、バギィッと折れてしまいました。



「ハァハァ……。先程の魔法の展開速度で感じましたが、やはりライラ様は素晴らしい魔術師なのですね。感服いたしました。」



『ありがとうございます。………ですが、剣が折れてしまって大丈夫なのですか?』


「えぇ。予備の剣を部下に持たせています。」


『ですが……。少し、その剣を貸して頂けますか?」


「えぇ。ですが、お気になさらず。私が未熟だったため折れてしまっただけですので。」



そう言って渡された剣を、私は一瞬で直しました。

これには流石にリュカ様も驚いたようで。


………あれ?やり過ぎたかな?







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