表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月夜の鬼  作者: 南河原 候
2/5

闇市場

「月夜様。今日の夜這はどうしますか?」


「そんなことはどうでも良い。今日の予定を教えろ」


変態結月(ゆづき)に頭を抑え呆れてもう一度聞いた。


「むぅ~月夜様の意地悪! でもー、そんな月夜様が私は大・好・きです!」


俺は更に頭を抱え込み大きな溜め息をついた。


結月は秘書としての能力は高い、高いんだが………………毎回こうして来られると変えたくなってくる。


それでも、結月は以上の優秀な人材は中々居ないため解雇出来ないのが現状だ。


それから結月はちょいちょい夜這いどうのこうのっと混ぜながら今日ある仕事を説明してくれた。


「今日は不凍様との会談があります。それが終わったら街の視察、その後は部屋に戻って資料整理ですね。夜はどんな服で参った方がよろしいでしょうか?」


「はぁ。不凍殿と会談か………」


俺は結月を放って置き不凍殿との会談のことを考える。


あの人はなんと言うか底が掴めない油断大敵な相手で会談も結構肩がこる。


そして、人格者としても俺は絶対に関わりたくない人でもある。


そんな人との会談を俺は終わらせ街の視察に行った。




「ちっ………あの野郎、人の身体をベタベタっと触りまくって………………」


「月夜様。街の視察なんですからそんな怖い顔をなさっては皆が怯えますよ」


結月にそう注意され、あっと気づきわざとらしく咳をしてから前を向いた。


「はぁ、いつ見ても凛々しいお顔………月夜様、やはり結月は我慢出来ませんよ。今日、布団でお供を!」


結月はそう言いながら赤く頬を染めて月夜に寄り添った。


「民衆の前で引っ付くな。勘違いされるぞ」


「なら! もっとします!」


結月は更に引っ付いて来て俺は邪魔だから顔を手で押して離そうとした。


「むぅ、月夜様の意地悪~!」


頬を膨らませ意地悪とか言って来る結月にまたしても呆れて溜め息をつく。


「月夜様? そんなに溜め息をつかれていたら幸福が逃げてしまいますよ?」


(こいつ、いつもの溜め息の半分は自分のせいだと思っているのか)


じっっっっと結月を見るが首を傾げるだけで何も分かってはいない様子だった。


俺は更に溜め息をついて頭を抑えた。


「あ! 月夜様」


チュッと結月は頬にキスをして来て俺は思い切り結月の頭をぶっ叩いた。


「痛い! でも、嬉しい!」


「はぁぁ。お前なぁ」


呆れに呆れてもう結月に言い聞かせる言葉が出てこない。

「月夜様、もし、私の唇が欲しいならプロポーズした後に私の全てをあげますからね」


「………………なら、しないで奪ったらどうなるんだ?」


結月は少し間を空けてから俺の手を取り自分の頬に当てると、


「はい。この身で良ければ貴方に全てを授けます」


どっちにしたって意味無いだろ。


「………………バカを言え。誰がそんなことをするか」


月夜はそそくさに小走りで前に行ってしまい。


月夜は一人になると顔を真っ赤にして口もとを抑えていた。


「………………月夜の意気地無し」


結月は月夜の後を追い掛けて隣まで行くと月夜の顔が真っ赤になってるのに気づいて嬉しくなり月夜と腕を組みながら歩いた。

だが、直ぐに月夜はそれを離して息を整えてから街の視察に二人で行った。


「ん? 結月、ここはなんだ?」


水簿らしい外見で中からはかなり騒がしい声がする。


(酒場………………では無いか、ならここはなんだ?)


見た目からは酒場としてはどうかと思うし、本当にここはなんだ。


「えっと、その~」


言いづらい場所なのか結月は目を逸らして冷や汗をかいている。


「なんだ、 そんな言いづらい事なのか?」


俺は顔を近づけて結月の目をじっっと見た。


そんなもの結月には耐えられなく顔を真っ赤にして言った。


「ここは、闇市場ですぅ………もう、無理~!」


結月はその場に倒れ込み月夜は道の邪魔にならない様に抱っこをして結月が闇市場っと言った建物を見る。


闇市場。

その名の通り普通では販売出来ない物や販売停止が掛かってる物を売っている場所だ。


本来なら取り締まる場所だが、こう言った所を締めるのには裏を取らないと締めるのは無理だ。


もし、仮に取り締まっても反感や敵対組織を作って更にめんどくさくなるから直ぐにやるのでは無く徐々にやって行くのが一番効率の良いやり方だ。


だからなんだって話だ。


俺はこの鬼の都が好きだ。鬼人族が長年掛けて作り上げて来たものを壊す様なことは絶対に許せない。


黒鬼代表として俺は許せる訳もない。


俺は結月を放置するのも悪いからそのまま結月を抱っこをして闇市場とやらに入って行った。


「お客さん、会員証は?」


入った直後に鬼人族では無く人族が居た。


(何で、ここに人族が? と言うか会員証ってなんだよ………)


「ほら、あんちゃん、会員証だよ。早くしてくれ」


ヤバい、そんなの無いんだけど………………。


そうだよな、こう言った場所にはそう言うのは付き物だ。



くそ、そんなのねーよ。



人族も疑う眼差しで俺を見てるから非常にヤバい。


「金貨一枚では入れないか?」


「無理だ。金貨十枚ならどうにかなるが」


くそ野郎………そこまでぼったくるのか。


俺が仕方なく支払おうっとしたら………。


「おいおい、俺の友人から金を取るのか?」


「炎鳳………………?」


ごっつい見た目で赤髪の大男が古くさいマントを着ていて俺の前に現れた。


数少ない俺の友人赤鬼代表の炎鳳(えんほう)が居た。


           ☆


「で、お前………結月を襲ったのか?」

「襲ってねーよ!」


「なんだ、詰まらん」


相変わらず馬鹿馬鹿しい事を言う奴だ。


だが、今はそんなことよりも………………。


「炎鳳、お前ここ知ってたのか?」

「まぁな………………ここには使ったらあぶねー物ばかりを扱ってやがる場所だ」


「あぁ、それは結月からも聞いた。一つ聞くが何故門番に人族が使われている?」


ここは鬼人族の都だ。そこに違う種族の者が居るのは道理が通らない。


(まさか…………奴隷? いや、鬼人族の都じゃあ、それは禁じられ………………そうか、ここはそう言った場所だったか)


「月夜。あいつは奴隷では無い雇われた奴だが、ここではそう言った者達も居るが、我慢しろ」


炎鳳が俺の顔付きを見て気づいたのかそう言ってきた。


「我慢だと? ふざけん………………」


炎鳳は拳を固く握り悔しそうな顔をしていた。


(いつも血の気が多い炎鳳が我慢してるんだ、俺も我慢しないとな………)


月夜も強く手を握り目を瞑って我慢をする様にした。


「うっ、痛い」


結月を抱っこしていたのを忘れていて直ぐに力を抜いた。


「ん?………なんか騒がしいな」

「そうだな。あっちは………………行くのを止めるか」


こいつ、何度ここに来てるんだ。場所まで把握しやがって。


「………………行くぞ」

「いや! お前が行くのは!」


炎鳳が何度も止めて来るが俺はそんなの気にせず騒がしい方に行くと。


「さぁさぁ! 今では世にも珍しい白鬼(はくおに)です! 銀貨千枚からスタートします!」


「おい、炎鳳………………これはどういうことだ?」


「いや、その、お前は特に奴隷制度に厳しいからな~。あはは………」


この野郎、確かに奴隷と聞いたら我慢はならないが、今は我慢を多分すると言ったんだ。


そして、見聞者達が次々に値段を羽伸ばして行き。


「さぁ、金貨百二十枚以上のお方はいらっしゃいますか!」


「炎鳳、結月を任せた」


「え、お前まさか!」


月夜は炎鳳に結月を任せて人混みに入って行きそのまま前まで行ってしまった。


「おやおや、お客さん、お金も払ってないのに商品に手を付けては駄目ですよ?」


白く長い髪、汚れては居るが綺麗な白い肌。白鬼の特徴だ。


俺達鬼人族は一致団結して他の種族に負けない様にしないと行けないのに………この同族に対しての仕打ちは許せない………。


だが、ここで怒っても今は仕方ない………………。


「ん? おっと、これは!? 白金貨!?」


「あぁ、俺はそれでこいつを………………貰う。文句は無いよな」


「はっ! ははっ! 白金貨一枚! さぁ、これ以上の値を付ける者は居ますか!」


流石に白金貨一枚以上を出す者は居らず月夜は白鬼の女の子を抱っこをして炎鳳達のもとに戻った。


「ん。な!? 何で、炎鳳が私を抱っこしてるんですか! 離して下さい!」


結月は起きてはならぬ時に起きてしまい炎鳳から降りた。


「私を抱っこして何を………………え、ななな! 何でぇぇ!?」


「ん? 結月起きたのか。良かった」


「はい、心配なさって下さりありがとうございますじゃありません! 誰ですかその子!」


起きたら、起きたらで騒がしい奴だな。


「こいつは、さっき……拾った?」


「はあ? 拾ったって………………その子に奴隷印紙があるではありませんか」


結月は首もとを指して俺はそこを見ると変な模様があった。


(これが、奴隷印紙? 奴隷である証か………………)


「消すことは出来るのか?」


「出来ますが、その場合逃げられても知りませんよ? それに、夜のお供なら私が居るのに何故その子なんですか!」


またしてもそんな事を言う結月に溜め息をついて。


「俺はそんなことに使わないし、大切な結月もそんな事に使う気も無いから安心しろ」


「ふぇ!? 私が大切………………うへへへ! えへへ!」


結月は何故か気持ち悪く笑いだしてさっきまでよりは良いのでそのままにして俺達は家に帰った。


更新スピードは遅いですがこれから頑張って行きますので宜しくお願いします。


誤字、脱字報告は受け付けています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ