「主婦之友」昭和19年12月号について
さて今回は「まとめ」ではなく「~について」です。
というのも、ワタシ、大東亜戦争中の主婦之友は(状態はともかく)所有している―――から、「まとめ」てるんですが、この号だけがどうしても入手できないのです。
ということで、せっかくWEN上であるので、それについてまとめたブログ等をまずは紹介。
ただしワタシの考え方とは真逆。
特にこういう生活系の雑誌に関しては、ともかく評価が低くなるので、基本的に論説を読んでて「違うだろ」と言いたくなることが多い。のであくまで「こういう号だったんだ」という紹介。
・ブログ 虚構の皇国
第一回 狂気の「ぶち殺せ!」標語
http://tadanorih.tumblr.com/post/426391422/狂気のぶち殺せ標語
第二回 「野獣民族アメリカ」の恐怖
http://tadanorih.tumblr.com/post/427251150/野獣民族アメリカの恐怖
・ツイート
https://twitter.com/hayakawa2600/status/430556154314235904
・陶片窟日記
2010年 02月 13日 昭和19年の「主婦之友」 その1
http://touhen03.exblog.jp/12144470/
2010年 02月 13日 昭和19年の「主婦之友」 その2
http://touhen03.exblog.jp/12144939/
2010年 02月 13日 昭和19年の「主婦之友」 その3
http://touhen03.exblog.jp/12145279/
書籍では、故(!)高崎隆治氏の『「一億特攻」を煽った雑誌たち―――文藝春秋・現代・婦人倶楽部・主婦之友』。その中の最後の章、「「主婦之友」8.15の恐怖」が特にこの12月号が「どうしても見つからない→何かあったんじゃないか」「焼き捨てるようにといわれた」という話がそこに結び付けられている。
……まあ、高崎氏の本は基本的に自分の考えを述べた推測の域を出ないし、ともかくこの時代の雑誌、ジャーナリズムに対する怨嗟の言葉が激しいので、事実と思われることだけを抜き出して読んでいる。実際八間するのが難しい雑誌を所蔵していたのは事実なので。
なおこのひとは、通州事件に関しても「何で語る者がいないのか」と『戦場の女流作家たち』で怒って、本論である吉屋信子をそっちのけにして語っていた方でもある。
あとネットで入手できる論文としては、故山本明氏の「十五年戦争末期の雑誌(四)―――一九四四・四五年の「主婦之友」」がある。
掲載は「評論・社会科学」 (29), p165-190, 1986-03。これは同志社大学の人文学会の学術雑誌とのこと。機関リボジトリ https://doors.doshisha.ac.jp/duar/repository/ir/1988/?lang=0 でファイルが落とせるので、それを読んで検討してみた。
高崎氏を先行研究として参考としてずいぶんと上げている以外は、その期間の記事一覧である。
自分で所有していない分の号は高崎氏に借りたとのこと。とはいえ、正直ワタシ的にはこの記事一覧にページ数がついていないことが、非常に不満だったり。
ともかくこの号に関しては、まだまだ捜索は続けてみるが、折を見て、「絶対に所蔵している」東京の石川武美記念図書館で本物とご対面+全ページコピーをしてこようと思う。著作権法的には、雑誌は全ページ構わなかったか?
主婦之友に関してワタシがいえるのは、「生活のために役立つことを、その時期に合わせて、ともかくできるだけのことを載せる」という姿勢だと思っている。
だからこそ、20年7月号の「新聞社に印刷を頼んだ」とか、8月号の社長の言葉以外は通常運転という姿勢こそが、極限の姿勢であり、一番大切なことだと思っているのだが。
なお、大東亜戦争に入ってからのプロパガンダに関して、攻撃しても仕方がないとワタシは思っている。戦争状態になってしまえば、総力戦体制になってしまうのはどの国で同じで、書けるものも決まってくる。軍から渡された原稿はそのまま出すしかなかったろうし、だれているから締めろと言われれば締めるような内容を書かざるを得なかったろうし、作家が病気だったら穴埋めの記事も入れなくてはならないだろう。
連載ものや、特集記事が当時とのように載せられていたか、というのは、飛ばし飛ばしで読んでいてもわからない。その点で所有していた高崎氏の根性は凄いと思うのだが、ただやはり、青春期をこの時期に過ごしたこの方や、「少国民」系の恨みにも似た当時の評価はやはり受け入れられない。
なのでまあ、ワタシはまずともかく一覧と、あとはその時々に「ワタシの」気づいた違和感等を記しているのだが。たとえば3月号の海軍報道部の佐官の原稿の一部における弱音のようなものとか。
(まとまらず)