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熱帯夜

作者: 遠山海月

「おう!げんちゃん、居るかい?」


「なんだい、よっちゃんか。いきなり入って来てから「居るかい?」は無いだろよ。居るよ、居ますよ、朝から居ますよ。あまりに暑くて仕事行く気にもならないから休んじゃったよ」


「だらしないなあ。でもまア、そんなこったろうと思ってホラ、スイカ持ってきてやったよ。知り合いの農家からの貰いもンだけど、どうだい大きくて立派だろう。ついさっきまで桶に氷水入れて冷やしてたから冷たいぜ。食ったらちったア涼しくなるさ」


「おお、そうかい。こいつァありがてエ。じゃあさっそく切ってくるから、適当に座って待っててくれよ」


「ンじゃ遠慮なく、どっこらしょっと。いやぁ大きなスイカだろ。近所とは言え持ってくるのに重いうえに、夕方になってもこの暑さだよ。すっかり汗かいちゃってさ。スイカ食ったぐらいじゃ汗引かないやと持って来たの後悔しかけてたんだけど、げんちゃん家、クーラー効いてて助かったよ。みるみる汗が引いて…って話してるうちに鳥肌立ってきたよ。オイオイ、ちょっと温度下げ過ぎてんじゃないかい?」


「へっへっへ。なんてったって一番低い温度にしてあるからな」


「そりゃいくらなんでも冷やし過ぎだろ。地球に優しくない男だねぇ。よく見りゃその上、扇風機も「強」で首グルングルン回ってんじゃねえかよ。テーブルには団扇に扇子まで用意して。奥の部屋には茣蓙を敷いた布団に氷枕に氷嚢、枕元にはスポーツドリンクをずらっと並べて…何だいコリャ?熱中症対策にしても随分念入りだな。今夜そんなに暑くなるなんて予報でてたっけか?」


「当たり前だろ。今夜は七夕だぜ。一年振りの夫婦の再会だ。さぞかし熱い夜になろうってもんよ」



ー了ー



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