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3話 豚さんと草むしりする生活

「あの……これは彼らを悪く言うワケでは無いのですが……」


 前置きしておずおずと進言するエッチさん。


「ヒナ様のやろうとしてる事は分かりますが、オークたちは魔族の中でも文化レベルが低いのです。人の理屈などでは従いませんよ」


「じゃあ、そういうの相手にはどうするもんなの?」


「知能が低い魔族には本能で分からせるしかありません。獣をムチで従えるように暴力と恐怖で支配するとか」


「え~、ホントに暴力とか振るうとかありえないでしょ」


 脳内で血祭り花火大会を開催するのとはワケが違うよ。

 と、私が顔をしかめているとエッチさん、何やら嬉しそうな顔をする。

 心無しかワクワクしているような。

 彼女がこういう顔をする時はまた何か下ネタを言おうとしている気がする。

 たまになら多目に見るけどこう連発されるとねぇ。


「では逆に褒美を与えるというのはいかがでしょう。ヒナ様は戦乙女。戦乙女や女騎士と言えばオーク。ならばやることは一つです」


「なにかな?」


「もちろんセック……」


「私、あなたのそういうトコ、大っ嫌い」


 冷やかな目で睨むとエッチさんは瞬時に土下座して地面に頭を叩きつけてから流れるような動作で私の靴をペロペロなめ始めた。黙っていれば美人なのに残念で仕方ない。


「調子にのってすいませんでした! 見捨てないで! ぺろぺろぺろろろろ……」


「靴をなめられても汚いだけなんだけど。言っとくけど今、誰も得してないよ」


 まあ私も魔王の靴を舐めようとしたけど、この際それは棚に上げとく。


「はわわわわわわ……すいませんごめんなさいすいません。もう二度と下ネタは一日に一度しか口にしません!」


 一日に一度は言うんかい!


 まぁでも本気でしょんぼりしているようなのでこれ以上は言うまい。

 しかし、恐怖で支配するとはこういうことかー。

 確かに即効性はあるね。


 オーク君たちが今度、仕事に対して不誠実な態度を見せたらガツーンと言ってみるか。

 でもガチの説教とかした事ないんだよね。

 出来るだけそんなのしたくないなあ……とオーク君たちの持ち場に戻ってみるとヤツら寝てやがった。

 豚どもが全員ひっくり返ってスヤスヤ眠りこけている。


 これはもはや見過ごせない。

 うう、言うぞ。ガツーンと言うぞ! 苦手だけど!

 私は寝てるオークの前に立ち、睨み付けながら息を吸った。


「ガツーン!」


 どうだ! ガツーンと言ってやったぞ!


「私、ヒナ様のそういうところ、大好きです」


 エッチさんに褒められた! ありがとう!


 しかしオーク君たちの心には響かなかったのかスルーして眠るのをやめる様子はない。


「ねぇねぇ起きてよぉ。なんで仕事中に寝ちゃうかなぁ」


 ユサユサと体をゆすると「フゴ? おかあさん……?」と寝ぼけながらもライ君が意識を取り戻す。


「すんませんス。なんか急激に眠くなったス」


「だからって寝ちゃダメだぞ! めっ!」


「チッ、うっせーな。反省してまーっス……」


 とトロンとした眼で眠たそうに言う。お、おのれ、この不良豚が……!

 絶対に反省してないのは確定的に明らかだ。


「とりあえず、注意してくれてありがとうございます! ってちゃんと言いなさい」


「はいはいス、ありがとうござ……ま……スゥ~スゥ~」


 いってるそばからスヤスヤ眠りだすライ君。

 むむ? この睡眠欲、いくらなんでも異常じゃない?

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