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1話 魔王軍にスカウトされる生活

真面目な小説等の箸休めとかおやつにどーぞ。



 みなさん、はじめまして。


 泉ヒナです。


 彼氏とか一度も出来たこともないまま、先月めでたく二十六歳に昇格して四捨五入でアラサーになってしまった将来不安な派遣社員女子でっす♪

 くそっ。


 本日も無事に仕事が終わったことを天の神さまに感謝しつつ。


 アパートの狭い部屋で一人わびしく一袋9円のモヤシとニラの炒め物と一個18円の半額コロッケをモシャモシャ食べる孤独の貧乏グルメで私の不幸でメシがうまい!


「あっ……」


 モシャモシャとモヤシを食べる。


 モシャモシャモヤシ。


 モシャモシャモヤシ!



「うおおおおおおっ!」



 驚かせてごめんなさい。


 なんだか、ダジャレを思い付いてちょっと嬉しくなってしまった自分がいたたまれなくなって世界の中心で(あい)を叫んでみたよ?


 う~ん、我ながら病んでる。



「はぁ~……まぁねぇ、彼氏みたいなもんは色々、面倒そうだからいなきゃいないで気楽なんだけどさ」


 それならせめて美味しいものたっぷり食べて1日の疲れを癒したい。

 あと旅行とかも行きたい。ネコかトイプードルかアルパカとか飼ってみたい!


 くぅぅ、たまにはなんらかの贅沢して生まれてきた喜びを噛みしめたいよ!


『そうですよ~。だったらたまにはパァ~っと豪遊してやりましょう♪ 貯金だって無いワケじゃないんですから』


 と、私の脳内に悪魔が囁きかけてくる。

 私の気持ちを汲んでくれる優しくて話の合う悪魔ちゃん。


 と、すぐさま凶悪犯みたいな顔した天使さまが脳内に怒鳴りこんできた。


『このバカ! 婚期を逃して生涯独り身なんて珍しくもない時代だぞ! 貯金、大事! そのうえで今のコイツの給料で出来る贅沢など何も無いわ! ペッ』


『ふぇええ……』


 天使さまに唾を吐きかけられた悪魔ちゃんは泣きじゃくりながら退散していきました。かわいそう。

 というか、かわいそうなのは私?


 毎日スーパーで半額になった惣菜やお刺身をハイエナのように狙うサバイバル生活を送っているからナチュラルに天使やら悪魔の幻覚が見えるようになったのだろーか。


 ちなみに天使と悪魔の幻覚は今年に入って週イチで見えるようになりました。

 やばいやばい!



「やっぱり転職、考えた方がいいのかなぁ」


 今の仕事は小さな食品会社のオフィスで電話番と簡単なデータ入力とたまにお茶汲み。

 苦痛な作業もノルマもなく人間関係も悪くはない。


 私、見た感じは大人しめでそこそこ顔面の整った(と思う)メガネ女子で愛想は良くしてる(はず)なので年配な男性社員さん達にはそこはかとなく可愛がられてるのだ(たぶん)。


 そんなワケで長く続けられそうな職場ではあるが私みたいな代わりがいくらでもいる量産型派遣女子に会社が払ってくれるお給料もたかが知れている。



 平和に暮らせればそれが一番。



 なんて思って身の丈にあった仕事を選んだつもりだったけど、平和な生活ってのもそこそこお金がかかるんだよね……


 ならば一丁、なんか資格でもとってやりましょうっ!

 そして厚待遇の職業にジョブチェンジ!


 と思わなくもないけど一日の仕事が終わってようやく自由になれたお疲れさま状態で資格試験の勉強だなんて人間に耐えられる我慢の限界を凌駕している。


 そして休みの日は寝たい、遊びたい、ボーッとしたい!


 ハァ~、とため息が出る。



「これはもうアレだよね。ゲームみたいにストレス解消でモンスターを殺戮してるうちにレベルアップできちゃう、そんな楽しい仕事がない世の中が悪い」


 最終奥義「世の中に責任転嫁」をぶっ放した私はコロンと力なく寝た。



「「そんなアナタに朗報です」」


 あぇ?


 私以外誰もいないはずの部屋のどこからか女の子の声が聞こえたよ?


 また幻聴の類いかにゃ?


 はいはい、といった感じで苦笑しているとですね。


 コロッケとか置いてあるちゃぶ台からまぶしい光がいきなりドシュアアアアアアッと溢れだし、真っ白な光の柱が部屋の真ん中にカッと現れた。



 なんか知らんけどヤバそうだ。


 オラ、ワクワクしてきたぞ!


 一瞬で色んな事を想定した私は慌てずに起き上がって、とりあえず包丁をとりにいく。


 そして包丁を構えて振り向くと、光の柱の中にはすごく高級そうな漆黒のドレスをまとって角が2本も生えてる美しい顔立ちの……まだ十代後半かな? なコスプレ女子がちゃぶ台の上でコロッケを踏んでいたのだった……。



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