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影の探偵  作者: 猫平
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現地訪問



(くだん)のオフィスは中心部から少し離れたビルにある。中心部から離れているとはいえ、やはり新宿、かなりの高層だ。


一夜明けて今日は、事務所を挙げて初の殺人事件ということで、支倉、十津川、吉佐の3人で調査に出向いた。普段であれば友則一人か十津川同伴で、雅臣が現場に赴く機会はあまりないのだが、十津川の強い要望もあり、引っ張り出された次第である。雅臣としても、考える上で現場検証は極めて重要なことなので、特に渋ることもなく付いてきた。


車を運転中の雅臣に向けて、なにやらご機嫌な友則に反して険しい顔をした十津川が口を開けた。


「お忙しいのにすみません、雅臣先輩。友則先輩と二人となると、私止められる自信なくて…。」


十津川は心底申し訳なさげに謝意を示している。とはいえ、雅臣としても一日中事務所で事務作業というのも、なんだか社畜になったようで気にくわないので時々の外出を実は楽しみにしている節がある。


「晴乃ちゃんって本当オレと雅臣で態度違うよねぇ。一応俺も先輩なんだし、少しくらいは敬意を…ごめん、なんでもない。」


助手席に座っていた友則は十津川から氷点下の視線を浴びせられ、撃沈させられた。端から見れば痴話喧嘩に見えないこともないが、そんなことを口にすれば絶対零度の視線が待っているのは言わずもがなだ。


「…これから仕事なわけだし、友則だって殺人現場ではしゃぐような不謹慎なことはしないだろう。それに、今回は自分が必要だと思ったから付いてきたんだし、十津川が気にする必要はない。」


「そう言ってもらえると助かります。」


十津川は再度申し訳なさげに頭を下げた。






オフィスに到着すると、受付の前に依頼人である社長秘書、葉山侑子(はやまゆうこ)さんが待っていた。


「お待たせ致しました。」


化けの皮を装着し終えた友則が、丁寧な口調と仕草で会釈をする。続いて、雅臣と十津川が見ている中で、友則と依頼人が社交辞令の応酬を展開する。これには雅臣も十津川も慣れており、特に苦もなくこれを見守った。あらかた応酬が終わると、早速本題に入る。


「それでは現場にご案内いただけますか?」


「はい。許可は取ってありますので、付いてきてください。」


そう言って依頼人は踵を返した。周りの社員の目はあんな事件があった後だからだろうか、好奇と警戒が少なからず見て取れる。後ほど話を聞いてみよう、と頭の中に書き込んでおく。






エレベーターの中で依頼人は続けて状況を説明してくれた。


「最上階が社長室のあるフロアです。本日の調査は刑事さんと副社長の同伴の元行うのを条件とさせていただくことになってます。」


「分かりました。ところで、副社長とはどんな人物なのです?」


友則の質問はおそらくただの興味か、もしくは話のタネくらいなのかもしれないが、話の流れを汲んでないな、と雅臣は思った。次の言葉を聞くまでは。


「副社長は社長のご子息でいらっしゃいます。」


3人ははっと息を呑んだ。話のタネどころか、被害者の近親者は事件においても重要な証人になることがある。要するに、超がつくほどの重要人物だ。友則は確かに馬鹿だがこういった妙な所で勘がいい。


「御曹司というわけですね。ちなみにその御仁にお話を聞くことは可能ですか?」


嘆息を漏らしながら発した質問に対する答えは早かった。


「ええ。本人もそのつもりでいらっしゃいます。」


言葉を重ねようとした友則の口を、エレベーターが最上階に着いた事を知らせるベルが遮った。お話はあちらで、とでも言うように依頼人は奥に向かって歩き出した。特別火急な話というわけでもなかったので、3人は黙って後に続いた。


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