エピローグ
3人は事務所のテーブルを囲んでのティータイムだった。
「結局副社長が自供して殺人罪で逮捕されたってよ。子が親を殺すなんて、ぞっとする世の中だねぇ。」
友則は永野刑事から伝え聞いた情報を口にする。十津川も頷いているが、雅臣だけはかぶりを振った。
「…この現代、親と子の絆なんて軽薄なもんだ。稼ぎに出る親も多いし、子は甘やかされて理不尽な怒りを親にぶつける。」
「それはそうかも知れませんけど…。でも、だとしたら寂しい世の中ですよね。」
3人は頷き合う。静まりかけた空気を再び明るい声が切り裂く。
「あ、そう言えば最初疑ってた清掃員もやっぱやらかしてたらしいよ。社内でパソコンから重要データを引き出してたらしいぜ。」
「…そういや言ってたな。結局例の企業が黒幕だったんだろ?」
雅臣が今朝のニュースで聞いた情報を口にすると、十津川は首を傾げた。
「なんで雅臣先輩ってそんなに頭が冴えてるんですか?なんかもうなんでもありですよね。」
今度は雅臣が首を傾げる番だった。
「よせって晴乃ちゃん。雅臣は天才なんだ。分かっちゃうんだよきっと。」
友則の言葉に十津川は頬を膨らませて卑怯だとか不平等だとか言っているが、雅臣には何のことを言っているのかさっぱり心当たりがなかった。
「…よく分からんが、とりあえず事件は解決できたんだし、よかったんじゃないか?」
友則がため息混じりに、この天然が、とか言っていたが聞こえなかったことにしよう。
「それにしても、なんで社長は息子に会社を継がせようとしなかったのでしょうか。」
十津川は不思議そうに呟く。
「ま、死人に口なし。真実は闇の中だ。いずれ死んだらわかるさ。」
友則の縁起でもない物言いに呆れた空気が流れる。
雅臣としては何となく分かるかもしれない。社長の気持ちではなく、副社長の気持ちが。親に信頼が寄せられない子の気分が。どんな手を使ってでも振り向かせようとする必死さが。思い出すのは子供の頃の記憶。あの時の俺は………
雅臣の思考を途中で遮断したのは扉から聞こえたノック音だった。
「おおっと仕事だ。雅臣、頼んだぜ。」
「…任せろ。」
過去を振り返る暇があれば、今を楽しもう。新たな決意を胸に、3人は依頼人を部屋に引き入れた。
ー完ー
あとがき
この度は今作品を最後まで読んでいただき、誠に感謝申し上げます。
今回の投稿は部活動のちょっとしたおふざけで「東京」と「死」というキーワードをあみだくじで引いたことに端を発しております。とは言え、キーワードにはほとんど触れぬまま完結を迎えてしまいましたが、そこは勘弁願います。
初めてミステリー擬きに挑戦するにあたり、シナリオ構成の苦労を改めて痛感しました。しばらく頭を悩ませ試行錯誤を繰り返したにも関わらずこの程度にしかなりませんでしたが、手厳しい意見をお待ちしております。
最後に、改めまして今作品を読んでいただきありがとうございます。既におふざけ第二弾も始まっておりますので、これからも趣味程度でやっていきたいと思います。次回は今作と随分と趣が変わりそうです。これからもよろしくお願いします。




