3話 集落へ
11月14日 大幅改稿 サブタイ変更
一匹狼達のみなさんようこそ外史へ。
この外史は古代中国、後漢時代末期にあたります。
今、この外史が何者かによって攻撃を受けています。
そこで貴方達にこの外史を守って貰いたいんです。
時代や技術の差で皆さんには不便かもしれませんが、助けて欲しいのです。
手始めに貴方達が持っていた荷物をお送りしました。
他に欲しい物がある時は頭で念じてみて下さい。
後悔はさせません。
では良い外史生活を。
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ローンウルブズのメンバー15人+縛られた賊1人はため息をつきながら村へと続く道を歩いていた。
先程見せられた紙切れ一枚のせいである。
丁寧に英語で書かれたその文は残酷な言葉の羅列で古代の中国であると思い知らされた。
発狂待ったナシだが、そんな気力は15人のどこにも無かった。
「おい、この道でいいのか」
「はい…後、2里もすれば見えてくるはずです」
「いい加減その何里とかいうのやめろ……殺したくなる」
空もあまりの衝撃に耐えきれずに言葉で賊に八つ当たりするほどだった。
2里、約1km程の距離だが、その距離は16人とってとつもなく長く感じたのはいうまでもなかった。
「しかし、あなた達は何者なんです?」
「分かりやすくいうなら傭兵だ。あと、気安く声をかけるな。俺は人との会話が嫌いだ」
「わ、分かりました!」
空は気怠そうに賊の質問に答えると再び道をの先に視線を戻す。
「2里、2里ねー。万里の長城って、あれの長さいくつだよ」
「さーねー。万の里って書いて万里。とてつもなく長いんだろう」
空の後ろでは頭の悪そうな会話が聞こえて来て、空は無視するか、正確な距離を教えるか悩んだが、大した考えもせずに無視を選んだ。
メートル換算やインチ、マイル換算など挙げればきりが無い。
国々によってその幅は違う。
慣れる、もしく覚えるしか正確に計算する方法はない。
どうせ、歩けば着く。
そんな問題なのだから。
そして10分も歩けばその村は見えて来た。
◆
「ようこそお越しくださいました。しかし見ないお顔ですな」
「ああ、西から旅をしていてな。宿を探しているのだが、心当たりはないだろうか?」
村についた空達が最初に抱いた印象は来る場所間違えたかな?だった。
集落、もしくは村と呼んでも差し支えないような寂れたものだった。
空は村長と話しをするが、周りのあまりにかけ離れた顔立ちに空は苦し紛れに誤魔化した。
ただ、嘘は言っていない。
本当に西から来てはいる、時代は随分と違うが。
「それならば、空いている家がいくつかございますので、自由にお使いください」
「だがいいのか?名前すら知らないんだぞ」
「申し上げにくいのですが、空いた家の持ち主は先の戦いで皆死んでしまいまして、今は私を含め老害か女子供しかおらんのですよ」
「そうか、失礼した。空いた家は遠慮無く使わせて貰うよ。それとこの辺りで活動していた賊を捉えたのだが……」
空が後ろに隠していた賊を差し出すと、村長は目を見開いた。
空は何かまずったのかと、手を自身の銃へと伸ばすが杞憂に終わる。
「おお神よ。まさか死んだ息子とこのような形で再開出来ようとは……」
「え、えっと……」
村長の反応に空は困る他なかった。
いきなりの反応になんて言って良いのかも出てこない。
「なんと礼を言って良いのやら……まさか官軍になって出世すると出て行ったきり帰ってこなかった息子をこのような形で合わせてくれたあなた達にはいくら礼をしても足りない程。お好きなだけ滞在して頂きたい」
「あ、ああ……」
村長の強い押しに空は首を縦に振るしかなかった。
空は取り敢えず英語に通訳して仲間に事の顛末を話した。
皆驚きを隠せずに村長と賊を交互に見やるが実感など湧かない。
「使わせて貰うとしよう。これからの身の振り方も考えなければならないからな」
「分かった」
「しかし、先にやらなければならない事が一つあるな。日本語の勉強だ」
「隊長。そういえばあんた、日本語話せた筈なんだが……」
空の一言にファントムは黙るしか無かった。