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真・恋姫†無双-獣達の紡ぐ物語-  作者: わんこそば
第一章 外史に落ちた一匹達
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1話 ここは何処?

今まで小説っぽいの書きたいって言っていた友人が適当に考えたようなプロットをもとに書いてましたが、音信不通になり自分でやり直すかと思いたった為に書き直しを決意しました。



2017年11月14日 大幅改稿

ここは西暦200年の末の世界、舞台は三国志へと時を進めようとしている中国。その舞台である国の森の奥深くで、不知火空は目覚めた。



「んん〜………ん???……えーっと、ここは……何処だ?」



欠伸と背伸びを同時にしながら辺りを見渡す空は早々に頭を傾げた。

ここが何処で、何をする為にここに来たのか一切不明な彼にとって一体何が起きているのか分からない。

自分は記憶喪失になったのか?と考えるが、直ぐにその考えを頭から叩き出した。

空は自分の名前は覚えてるし、話せる言語も知ってる。

それがこの今置かれている状況がより分からなくなる事へ拍車をかけていた。


肝心の部分が頭から抜け落ちているのか、数分前に何をしていたのか思い出すことの出来無い空は、パンクしそうな頭を一度整理するために、覚えている過去をさかのぼって考え始めた。

その結果のお陰か、少しづつ思い出していく。



さっきまで……いや、ほんの数分前ぐらいまで俺は休日でイタリアの街に居た筈だ。

何が起きたのかは抜け落ちているが、俺の目に映る光景はそんなヨーロッパの様な物は一切感じられない。

それどころか、辺りは森の奥深くの様な地形的にもヨーロッパでは無い。

なら、どうしてここに?



腕時計を確認すれば、自身の最後の記憶からまだ10分も経っていない。

一応電波時計であるために信用性は高いと高を括る。

なら拉致された訳でもないし、夢遊病の如く移動したとも言えない。

が、おかれている状況については、説明のしようもなかった。



近くにあるのは木々のみ、一定とは言えない間隔で鳥の囀りも聞こえる。

手で地面を触れば土の感触が伝わってくる。

それは幻覚でもなければ、夢でもないと、空に警鐘を鳴らした。



これ以上考え続けても全く答えは出ないと悟った彼は辺りに痕跡がないか探った。

何も無いように思えたが、木の枝に黒い何かが引っかかっているのを見つける。

その辺からこぶしぐらいの石を拾ってそれに投げつけた。

石は枝をへし折り、黒い物体が落下する。



それは空が愛用しているコンバットベルトだった。

ベルトに繋がるようにバックホルスターと愛銃が入っており、その予備マガシン2個、グレネード一個がついている。

それを身に付け、愛銃ベレッタ90-twoを取り出す。

幸いにも故障や破損は見られず安心するが、状況は身を守るモノが手に入っただけである。



それでもこの安心する姿は普通ではなかった。

弱い18もない少年が銃を持って安心する。

銃社会に生きる者ならともかく、彼はその国で生まれた人種では無い。

特徴的とも言える真っ黒の髪にちょいとつむじあたりにアホ毛が飛び出て、瞳は黒く、背も高過ぎず低過ぎずといったところだ。

日本人であるはずの彼が安心するのはどこか異常なのだ。

しかも火力だけ見れば日本の警察よりも上である。

弾数は17×3、つまり9mmパラベラム弾を51発も所持している。

警察と撃ち合いになれば命中率は置いても数人は殺せるような量だ。



だが、彼は軍人という訳でもない。

着ているのは私服であって軍服ではないのだ。

黒のパーカーにタイガーストライプ柄のパンツ。

センスは置いておいても、戦闘するような格好とは言い辛い。

だが、銃を構える様はプロとなんら引けを取らない。

それもそのはず、今はPMC(民間軍事企業に属)していて、弱冠17歳ながらに戦闘のプロである。

護衛や代理戦闘をこなす彼には銃を持っていると言う事は普通であり、必然である。



空はベレッタのセーフティを解除し、警戒しながらあたりを探索を始めた。

少しでも何らかの痕跡を見つける事さえ出来れば状況は変わるかも知らない。

そんな淡い期待を胸に、森を彷徨う。

だが、数歩あるけば低木をクッションにしながらバックパックが引っかかっているのを見つけた。

あまりの出来すぎた状況にホルスターからナイフを取り出すと、ブービートラップ類を確認する。



「警戒し過ぎか?……いや、警戒して損は無いはずだ」



トラップが無いのを確認出来た空はバックパックを引き寄せるとスライドファスナーを引っ張り、バックパックを開ける。



中身はガラパコス型の携帯電話、分解して詰められたアサルトライフルらしき物体、カロリーメイト。



ケータイがあるか。

ならGPSで場所を……



そう言って空はケータイを取り出したが、電波をみた瞬間から顔色が悪くなっていく。

その携帯電話にはこう表示されていた。

” 圏外 ”だと。



「……仕方無いか」



考える事をやめた空はバックパックから分解されたパーツを取り出し、組み立てを始めた。

手慣れた手付きで次々に組み立て、徐々にアサルトライフルの形になっていく。

だが、後ろに気配を感じた。

空は警戒しながら、ホルスターに手を伸ばす準備だけしながら組み立てを続けた。



「「動くな」」



ほぼ同時に銃を向け合う。

銃口は互いに頭に向けあい、トリガーを引けば頭は撃ち抜ける状態である。

しかし、2人はトリガーから指を離した。



「んだよ。ソラ坊かよ」



ようやく知り合いに会えたファングはホッとしたように銃を下ろした。

空は銃をしまうと、先程の組み立てを続けた。



ファング。彼の名はもちろん本名では無い。

空やファングは同じ民間軍事会社に所属する仲間同士であり、ある専門の強襲部隊の隊員同士でもある。

単独での行動に優れ、一対多の戦闘に優れる彼等は、所属する会社内からは一匹狼達(ローンウルブズ)と呼ばれている。

依頼を受ければどのような敵とも戦い、確実に勝利を収める。

それが例え小さなテロ集団であろうと、絶大な軍事力を誇る大国であろうと一度標的となればどんな手を使っても確実に狩り殺す。



その為に彼等は狼を狩る狼(パックキラー)、とも呼ばれている。

彼等を使うには多額な金が必要になるが、払えさえすれば国に関係無く与する。

それが小国であろうと、過激宗教団体であろうが関係なく力を貸す。

世界からは危険視されると同時、大国同士の衝突避けや、裏の世界への牽制となり、世界の秩序は均衡を保っていた。

その為、彼等を扱う事は暗黙の了解であり、狩られた側も文句は言えないルールが表には出て来て無いが、存在していた。



「何か分かったことは?」



組み立てながら空はファングに付いた葉の擦れた跡を指差して尋ねた。



「何もねーな。木々だらけだよ。地形は残念ながらイタリアではないな。おい!そろそろ出てきていいぞ」



ファングが声を掛けると10人程が姿を現わす。

手には銃が握られ、首にはガスマスクが引っ掛けられている。



「大丈夫ならさっさと言え」



ガスマスクを顔から外しながら嫌味を言うのはゴーストと呼ばれるローンウルブズの隊員の1人だ。



「悪いな。一応クリアだ。そっちはどうだ」


「何にもないね」


「小さな洞窟はあったが、あれは熊の巣だな」


「他に収穫は?」


「特には」


「同じく」


「で、あの木に引っかかってるレインは誰が起こすよ?」



ドッグと呼ばれる隊員が苦笑いしながら木に引っかかっている仲間を指差した。

誰も起こす手段が無く、誰かが近くで叫んで起こそうと行動を始めたと同時に空が近くにあった拳程の石を拾うと同時に投げつける。

投擲された石は木に引っかかるレインの直ぐ側を通り過ぎる。

その刹那、枝がバキッと折れレインは地面へとひっくり返った。



「うごぉ⁉︎ 痛った!なにするのさソラ!」



レインと呼ばれた男は痛みに飛び起きる。

気が無かったにも関わらず起こした本人を当てて、睨んで抗議した。



「おはよ……とりあえず辺りを見渡して」



空は近くに転がっていた彼の装備の中からハンドガンを取り出し、彼に放り投げた。

レインはビックリしながらもそれを受け取るや、その後に飛んできたマガジンを顔面にぶつけられる。



「痛ッ……見渡す? ……あれ?ここ何処?なんで森に居るの? ……えっ???」



空に言われて辺りを見渡したレインは、見た事も無い風景に戸惑う。

空もこのレインの反応は予想済みだったのか、大したショックも受けずにいた。



「多分コレが答え」


「のようだな」



皆、答えなど等に分かってはいたが、それでも何の成果も無かった事に肩を落とすしか無かった。



「で、どうするよ隊長さんよ?」



ドッグが草むらに向けて尋ねる。

すると、川魚一匹を片手に隊長と呼ばれる男が姿を現した。



「どうするも先ずは人を探す他にあるのか?」


「無いな。で、隊長、何か見つけたのかよ?」


「少し北に舗装されてはいないが道は見つけた。足跡から馬を使っているようだが……心当たりは?」


「無いな」


「馬か……後進国のどこかとか言うんじゃ無いだろうな」


「いやいや、待って下さいっすよ。俺達はさっきまでイタリアにいたんすよ。それが後進国ってどう言う事っすか!」



自分達の置かれる状況に気付き始めた彼等は少しパニックに陥りそうになっていた。

信じられない事が続く今は無理も無かった。

ただ、それでもその場にいる14人はどこか冷静さも保っていた。

まるでパニックを装っているかのようにも見えなくは無い。



「で、皆さん。何か見つかりました?」


「うぉ⁉︎ビックリした」


「失礼ですね。さっきからここにいましたけど」



15人目のホーネットと呼ばれる彼が突然現れ、レインは腰を抜かしたように地面に尻餅をついた。

失礼と言いながらも大した気にも留めていないホーネットはレインが引っかかっていた枝を拾うと、自分が拾って来た情報を地面に書き始める。



「現地人はどうやら黄色人らしき肌とアジア系に多い顔立ちですね。見た所、この森も人の手は殆どついてすらいませんね。私が推測するに東南アジアの可能性が高いかと」


「で、俺達はどうしてこんなアジアにいるって説明はどうするんだよ」


「さぁ?私にはさっぱりですね。テレポートか時空の歪みか……」



バイパーの質問にキッパリと分からないと答えてしまう。



「まぁ、現地1人捕まえれば解決しますが。どうしますかファントム」



根本的な解決方法は見つからず、全ての決断を隊の頭へと求めた。

ファントムはどうするか、慎重に判断する他はない。

1分程経過した時、空がピクリと反応する。

まるで何かを感じたような反応に、空を含めローンウルブズ15人が一斉に銃を掴み、セーフティを解除した。

近くにたハルトマンと呼ばれる隊員がファントムへと指示を求めた。


「どうします隊長?」


「避けられそうには無いな。空、敵との距離」


「約150メートル」


「喋れそうな奴は一人だけで良いから残せ。散会(ブレイク)



殺気を容赦無く向けて来る敵に、ファントムは何も臆する事無く、戦えと命令した。

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