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46話 突然の来訪者

4日の時が過ぎ、義賊の決死の突撃まで時間が刻々と迫っていた。

そして、4日目の日も暮れ辺りが暗くなり、義賊の根城としている炭鉱跡地からは笑い声や叫び声などが響き渡っていた。

それを確認するかの様に、真っ黒なコンバットスーツを身に付けた一匹狼達(ローンウルブズ)のメンバー達は作戦指示を出すファントムの合図を待ち侘びていた。



〈こちら、レインとソラのA班。準備オッケー〉


〈こちら、余り物のB、C、D班。いつでも行ける。指示を頼む〉


〈本命はそっちでしょ!余り物ってこっちの方だよ〉


〈なに言ってんだ?俺達は悲しい事に捕縛と言う面倒臭い仕事があるんだよ。気絶させて混乱させるそっちの陽動の方が気が楽に決まってる〉



しかし、合図が中々出ない事でいきなりの言い争いが始まる。

無線で会話していると言う事は指示を出すファントムにも聞こえている訳で、ファントムは溜め息を吐くと、首に手を当て無線のマイクのスイッチを入れると。



「無線で喧嘩するな」



とだけ言い、会話を無理矢理に打ち切らさせる。

そして、ファントムの横にいる一刀もその無線を聞いていたのだが、当然苦笑い。更にその後ろで固唾を呑んで見守る(リー)と天の姿もあった。

ファントムが居る場所には拠点らしきものが作られ、機材が音を上げながら稼働している。そして、その機材を動かしているのはストライカーのバッテリーだ。

こんな、目立つ拠点を作るのだから、当然義賊の根城となっている炭鉱跡地から1キロは離れていた。

無線の話し声が静まったのを確認したファントムは、今回の状況を実行部隊へと伝える始める。



「今回は一刀君が同伴する事になった。まあ、今回は見せ場も兼ねて、各自に無線カメラを付けて貰った。動き辛いかも知れんが、我慢してくれ」


《うぃ〜す》


「その返事に関して今は言いたい事が山ほどあるが、今は置いて置こう。今回の作戦内容は好きに暴れ、敵は生け捕りに、だ。シンプルの方がお前達には伝わり易いから、面倒な詳細の確認は行わないが、こちら側から各自に指示をだす。聴き漏らす事の無いように、以上。暫く待機だ」


《了解!》



実行部隊の返事が返って来たのを確認すると、無線を終了させ、一刀達の方へ向き直る。

そして、ノートパソコンを取り出した。

その画面には14人分の目線の映像が写し出されていた。



「済まんな。画質は荒いがこれで我慢してくれ」


「こんな物、いつ準備したんですか?」


「秘密だ」


「秘密ですか」


「ああ」



それ以上会話が無くなり気まずくなる一刀は何か話題は無いかと考え始めた。

しかし、そう簡単に話しの話題など出てくる筈も無く、無言の時間が続く。



すると、木陰からガサゴソと不気味な音が鳴った。

一刀や李、天は驚き、お互いの身体を抱き合い震える中、ファントムはSIG P229を構えるとその不気味な音がした方に構えた。



「出て来い!さもなくば撃ち殺すぞ」


「ひやぁ⁉︎ちょっと待って⁉︎」



慌てた様子で出てきたのは桃香だった。

これに一刀は目を丸くする。



「桃香⁉︎ どうして来たんだ?」


「えへへ、ついて来ちゃった♪」


「そ、そうなんだ…」


「はぁ……」



桃香の反応に困る一刀と、溜め息をつくファントム。

徐州のトップ2人がこうも無防備だと心労をかなり大きい。

ただし、来てしまった事は仕方ないとファントムは割り切った。



「この際、仕方ありませんが自重をお願いしますよ」


「分かっていますよ」


「一刀君。あまりガールフレンドを心配させない様に」


「はい。肝に命じます」


「あまり時間が無い。桃香君をしっかり見て置け一刀君」


「分かりました」



一刀へと注意すると、ファントムは腕時計の時間を確認しながら無線のスイッチに手を掛ける。



「状況を開始するぞ。空、レインの2名は行動開始。他は2分30秒後に突入開始だ」


〈〈了解!〉〉


〈了解。カウントダウン開始〉



無線の返事が返って来るを確認したファントムはノートパソコンを弄り始める。

そして、1人の目線の映像を拡大する。



「よし一刀君、空の目線カメラを拡大して置いた」


「ありがとうございます」



一刀は空の目線を映し出したカメラ映像を見る。

そこには走っている映像が映し出されていた。



「映像だけでは空が何を考えているかは分からんが、空の目は何を見ているのかは分かるだろう」


「ありがとうございます」



お礼を言うと、一刀と桃香はノートパソコンの画面に映し出された空の目線の映像を見始めた。




正面から突撃した空とレインの2人は暴れたい放題に暴れていた。目に付いた敵から片っ端にゴムスタン弾を撃ち、気絶させて行った。

銃声に気付き、ゾロゾロと集まってくる義賊の集団だが、空とレインの2人の勢いは止まる事を知らず、それどころか勢いが増して行く。



「ウヒョヒョヒョ。弱過ぎ」


「殺したら隊長に怒られる、よ!」


「そっちこそ!」



2人は更に奥へと走った。

大分奥まで進むと、空はAK-74を担いだ義賊の集団がこちらに迫って来るのを見つける。

そして、その集団が攻撃して来る前に突っ込んだ。



「来るぞ!撃て!撃ちまくれ!」



義賊の1人が叫ぶと、AK-74を空へと向けるが、空は背中に預けてあったベネリM3を取り出すと、地面に向けて発砲した。

一瞬、何をしたいのか理解し難い行動だが、全て空の中では計算され尽くされている。

発砲の反動を起爆剤としたジャンプをすると、義賊の集団を空中で通り越し、一瞬で義賊の背後へと回る。

AK-74を構えた義賊達は一瞬で空を見失い、探そうとするが、見つけるよりも早く空のゴムスタン弾が背後から襲い掛かる。

当然、背後からの攻撃に避ける事など出来なく、撃たれた苦痛で気絶して行く。



「弾切れか………」


「何今の⁉︎ 凄い飛んでたんだけど!」



ベネリM3の弾が切れると、空はベネリM3を放り捨て別に用意されている魔改造M4を取り出した。



「次行くよ」


「オッケー、レッツゴー!」



2人は制圧を続ける為に別の場所へと向かった。



また別の場所ではある人物が暴れていた。

数人が1人を囲むが、1人の周りを取り囲んでいた義賊達は瞬殺されていく。

白い戦闘服を纏い、白い髪、色白の肌。

瞬殺した者は真っ白と言えるぐらい白い格好をしていた。



「「「ぐはぁ⁉︎ 」」」


「なんだこいつ⁉︎ どっから湧いて出た?」


「まだここまで来てないんじゃないのかよ⁉︎」


「俺は支配者の異名を持つ死神、ルーラー。」



その白い格好をした者はルーラーと名乗ると、自身の武器である死神鎌を振るう。

別の場所では空達が暴れている為に、義賊達はまだここまで敵は辿り着いて無いと思っていて、混乱が起きていた。

しかし、ルーラーはパッと現れ、3人を斬り付けたと言う敵対意識を見せている。

よく分からないが敵だと判断した義賊達はルーラーに斬りかかった。



「「「らぁぁ!」」」


「諦めろ、弱き者よ。死神に命を捧げろ」


「下がっていろ、お前達!」



ルーラーに斬りかかろうとした3人はある人物の一言で止まった。

ルーラーは声が聞こえた方を見やると、大剣を構えた男が立っていた。



「ほう、お前が来るか?」


「俺の家族を傷付ける奴は誰であろうとこの俺が許さん!」


「どうやらお前が頭らしいな。丁度良い。あいつと戦う前の準備運動にな」


「お前達!さっさと柊に逃げろと伝えろ!ここは俺が時間を稼ぐ!行くぞおぉ‼︎」


「暑苦しい奴だ。お前ぐらいなら非活動状態(ディアクティブ)で充分だな。見せてみろ、凡人の力」



大剣を持った義賊の頭はルーラーを捉え、大剣を振り下ろすが、一方のルーラーは眠そうに片手で持った死神鎌で簡単に弾く。



「チッ……これならどうだぁ!はぁぁ!」


「遅過ぎるな」



頭は渾身の一撃と言わんばかりの振り方で大剣を振るった。

高速で迫る大剣だが、ルーラーにとっては遅かった。

振り下ろした大剣を蹴りで弾き上げると、後ろ回し蹴りを頭にお見舞いする。

蹴りが胸に直撃した頭は飛ばされ、壁に背中を打ち付ける。



「その速さで戦えると思ったか?残念だったな、その程度で俺は捉える事は出来ない」


「まだまだぁ!」


「威勢は良いが、甘い」


「ぐっ⁉︎」


「負けてたまるかぁ!」


「お頭ぁ!」


「ひ、柊⁉︎」


「油断したな」



突然聴こえて来た声に頭は驚き、反応が一瞬だが鈍った。

その一瞬の反応の鈍りをルーラーは見逃さずに死神鎌での攻撃をした。

ルーラーが振るった死神鎌は義賊の頭の腹に喰い込み、深刻なダメージを与えた。

頭は痛みで顔が歪み、手で患部を抑えて膝を地面につく。



「ゔっ……馬鹿が、逃げろって言ったろ……」


「いやぁぁぁ‼︎」


「チッ!準備運動にもならんな」



悲痛な悲鳴を上げる柊と言う少女。

ルーラーは詰まらさそうに死神鎌を振り回しながら柊へと向いた。



「戦闘中に味方の注意を向けるとは愚かな奴だ。喜べ女。お前も直ぐにこいつと同じところに連れってやる」


「……よくも。よくもお頭を‼︎ 」



怒りで前が見えなくなった柊は刃が欠けている槍を力強く掴むと、ルーラーに向かって走り出した。



「怒りは強くするが、思考を鈍らせる。覚えておけ女。まぁ、直ぐに死ぬから意味は無いがな」



しかし、柊が攻撃を繰り出す前にルーラーはカウンターで槍を弾き、容赦の無い蹴りを柊へと放つ。

当然、槍を弾かれガードも出来ず吹き飛ばされる。

偶然か必然か、柊はお頭と呼ぶ義賊の頭の横に飛ばされていた。



「お、お頭……」


「あの世で会えると良い、な!」



柊は諦め、目を閉じる。

ルーラーは死神鎌を振り下ろした。

しかし、それは飛び込んで来た疾風に防がれる。



「ようやく来たか!兄さん!」


「兄さん?」



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