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真・恋姫†無双-獣達の紡ぐ物語-  作者: わんこそば
前日譚 群れない狼
5/117

前日譚5

イタリア、ミラノ。

マフィアの一組織が世間から姿を消したにも関わらず、大したニュースにもならずに2日が経過した。

高層ホテルの最上階の一室には2日前にマフィアが消える原因を作った者達が慌ただしく、ある事を行なっていた。



「ワタシ ハ スシ ガ スキ デス」


「片言過ぎる。やり直し」



日本語の勉強である。

作戦に参加した人数の半数が参加しており、教本を片手に四苦八苦しながら、発音練習をしていた。



「寿司はスシでも許すけど、妙な間はやめろ。気持ち悪い……」


「ならこうか?んん!……私ハスシガ好キデス」



妙な上達の仕方に、空は微妙な顔をしながらロボットみたいな発音する仲間にこうじゃないだのと色々教えながら、横にいる葵には英語を教えている。

そんな中、仲間である1人、ファングが空の肩を叩く。



「なぁ。何で、「好き(ライク)」が先に来ないんだ?慣れてなくて違和感しかないんだが……」


「諦めろ。慣れたら気にならない」


「慣れろたぁ、また大雑把なことで」


「なら、もっときちんと説明をしても良いけど?」


「なら仕方ない。慣れるとしますか」



空に睨まれながら皮肉られ、嘆息しながらファングは諦めて教本に向かい合う。

葵の英語の勉強には簡単な絵本が使われおり、他の日本語を勉強中の者達と違った。



「ねぇ、空。何で私だけこんな簡単なものなの⁉︎」


「基礎はあるから、単語さえ覚えたら後は話せるようになる。単語を覚えるのは読書が一番早い。もっと手っ取り早く英語を話したいなら、日本語を話すのを禁止にして、そこら辺にいる奴にでも会話の相手になって貰えばいい」



このぐらいの本なら私でも分かると言う抗議のつもりが、空に簡単に言いくるめられてしゅんとなる。

それぐらいにそこら辺の日本語勉強中の人と話すのには勇気が必要だった。

先日の容赦の無さを見たから尚更である。



「ねぇ、空はどうやって英語覚えたの?」


「どうやってと言われても……気付いた時には英語は話していたし……強いて言うなら読書としか」



参考までに聞いたつもりが、全く参考にならない天才系な発言にガッカリと肩を落とし、大人しく絵本と向き合った。

空が付きっきりで教えてくれているおかげか、絵本自体は問題無く読めている。

時折、何故こうしたのか?と質問を投げかけられるが、難易度は葵に合わせてくれているのか詰まる事なく英語で答えられた。

疲れた誰かが「これも葵ちゃんと仲良くする為!頑張るぞ」と言えば、部屋が笑いに包まれる。

この人数相手に英語と日本語を使い分けながら教えられている空の技量に改めて感心する葵だった。



それから数時間。

ちょうどお昼時になった辺りだろうか。

部屋に戻って来たメンバー達が驚いた。

結構な人数相手に教えていた空が再起不能とまではいかないもののバテていた。



「……疲れた」



原因は、妙に上達の良い数人が英語と日本語を混ぜながら話し、どこかで見た事あるなと嘆息しながらも空はツッコミを片っ端から入れ回った挙句の果てである。



「よう、お疲れ先生!」


「そう呼ぶのはやめてくれ……」



気力がエンプティー状態の空は睨む事もせずにソファーの上で屍のように動かずに喋った。

部屋に戻って来た者達は笑いながらも、空の弄って遊んでいた。

このオンとオフの違いには、葵は苦笑いするしかない。

何故こんなにもだらしない人達が強いのか疑問に思うほどだった。

だが、腰の辺りが衣服越しだが膨らんでいるのを見て、やっぱり傭兵なんだなーと理解した。



紅茶(ティー)はいるか?」


「ティーよりコーヒーを……」



戻って来た組のファントムは屍状態の空を気遣ってか、コーヒーを淹れに行った。



「葵君。ちょっと手伝ってくれるか!」


「はい、今行きます!」



フェルカーモルトに呼ばれた葵は空の弄る雰囲気から脱出する為、そそくさと部屋を出て行く。

残されたローンウルブズメンバーはそれぞれの休日を過ごしていた。



「ん?なんか揺れてないか?」



誰かが揺れている事に気付いた。



「爆発か?テロじゃなければ良いが」


「それは単にお前が仕事したくないだけだろ?」



ここは地震大国日本ではない為、揺れる=地震と言う考えはない。

揺れる事自体、ケースが限られる。

誰かが、テロを心配するように言えば、誰かが突っ込みを入れて笑う。

いつもならそんな日常だったのだろう。

ただ、今回だけは違った。

揺れが大きくなると同時に足元が光る。



「何だコレ⁉︎」


「何が起きてやがる⁉︎」


「とりあえず、何かに掴まれ!」



対ショック姿勢のような何かに掴まり、咄嗟に体を庇うが、引き込まれるような感覚に、その場にいた全員が気を失った。



揺れが収まった時、15人は神隠しにあったかのように姿をくらました。


これにて前日譚は終了です。

この後の1話とは繋がりはしましたが、無理矢理の部分もあるので矛盾は生じますが、そこは召喚により空達の記憶混濁と思ってください。……お願いします。



先に前日譚を読まれた方へ。

ここから先は更に読み辛くなっております、十分に注意してお進みください。

今と昔のギャップを楽しんで頂ければ幸いです。

そんな変わんない?またまたご冗談を!ハハ………

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