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33話 旅路

2022/03/11 変更部分 内容の一新

小さな街道に永遠と連なる行列。

端から端まで見ようとしても地平線がそれを拒む。

その行列は桃香達一行である。

しかし、そこに白蓮や優二の顔は無い。

今回の内乱により桃香は平原の牧へと出世。

その事により幽州とは離れる事になった。

2人は幽州を離れる訳には行かない以上、それは別れを意味する。

桃香達の独立を祝いながらも、少し寂しそうに白蓮は桃香の背中を押した。



長い行列の先頭、そこには官軍の傭兵として戦ったローンウルブズのストライカー装甲車が走っている。

装甲車に乗るのはヘルメスただ1人、他は護衛するように行列のあちこちに配置されている。

空は桃香と一刀といった主要人物の護衛として、近くを歩いて移動している。



「ねぇ、桃香。平原って後どれくらい?」


「後2、3日で着くと思うよ」


「うへぇ、まだかかるのかぁ。なぁ、空。代わりに歩こうか?」



一刀が話掛けても空は無視をする、と言うよりも声が聴こえて無いようだ。

警戒心を張り巡らさせ敵がいないか、それだけに意識を向けている。

こうなった原因はほぼ空1人にある。

なにせ行列の殆どは汜水関、洛陽での戦闘で空の手によってボロボロだ。

肩や足を怪我している兵士達は武器を持つわけでは無く包帯を巻いている。

戦える人があまりに少ない。

空が腕時計を確認し、定時連絡の為に無線機へ手を伸ばした。


「こちら、ハウンド11。異常なし」



空が無線で報告すると、あちこちで応答がある。

それのどれもが異常無しであり、現状襲われる事は無いと分かっただけである。



『ここから、渓谷地帯だ。伏兵に注意しろ』



ファントムからの無線での注意喚起。

空は目付きをキツくし、人の隠れられそうな場所を銃を向けながら注視する。

襲撃も無くスムーズに渓谷を越え、平原までの距離は少しと迫る。

が、先頭で問題があったのか隊列の動きが止まった。



「どうして止まった?」


「俺に聞くな」



一刀を適当に流し、無線に流れるやり取りに耳を傾けた。



『隊長、どうやらこの先で商人を狙った賊が潜んでいるようです。どうしますか』



無線に流れてくるのはハルトマンの声。

口振りから近くの商人と話したのを隊長へと報告したようだった。

足止めかと、空も伏兵の警戒を行なっている。

無線のやりとりはまだ続いており、話題は賊の潜伏場所を絞る事を話し合っている。



『直近の被害はどうなっている?』


『少しお待ちを…………どうやら、ここ数日で4回あったそうです』


無線越しに住民の声がノイズのように聞こえ、ハルトマンが再度伝わる様に繰り返す。

少しの間の後、ファントムは決断を下す。


『4回か、まだ近くに潜んでる可能性が高い』


『足止めですか』


『残念ながら今夜はここで明かすしか無いな。ハウンド11、ダイヤに状況を伝えろ』


「ハウンド11了解」



空は無線から手を離すと、状況を桃香達へと伝えた。



「残念ながら足止めだ。強行すれば被害が出る」


「分かりました。伝令!」



桃香が伝令に指示を出すと、兵士達がゾロゾロと天幕を張る準備に取り掛かる。

天幕設営には時間がかかり、出来上がる頃には日は傾き始めていた。

ローンウルブズは天幕を護衛する様に展開し周囲の警戒行動を開始した。

だが、全員と言う訳にも行かず半数は休憩に天幕の中で賊の対処について話し合っていた。



「山狩りをするか?」


「規模が広い。山狩りをするにしても人員が足りない」



バイパーが提案を出すと、ドッグがそれを否定する。

ローンウルブズの欠点は少数という事。

それは今の護衛もかなりな無茶と各員の負担の大きさが目立っている。

それでも何とかなっているのはローンウルブズには特殊部隊出身がそれなりに混じっているからである。

一週間を少しの休息だけで戦い抜ける強靭な精神力を持った人員とそれに訓練された人員だからそこ成り立っている無茶である。



「索敵として出てる空、ゴースト、ホーネット3人が帰ってくるまでは動けないか」



ヴァイパーやドッグも行動に移す為に休息を取っており、その入れ替わりで空達3人が索敵に出ている。

そして天幕の外ではコブラが休憩がてら料理を振る舞っていた。

料理を受け取る兵士達は何とも言えないような複雑な表情をしていた。

少し前まで敵として殺し合ったのだから仕方ないのだが、それを全く意に介した様子はないコブラに、どう反応していいのか分からなく困惑するしか無かった。

そしてその料理の出来の良さに、こんな美味しいのは初めてと言う感情と、でもアイツらの所為で怪我をしたと言う負の感情が入り混じった顔で料理をつついており、場の雰囲気は少しだけ特殊だった。

その横をファットマンと交代したファントムが通り過ぎていく。

既に疲労が体を襲っており、目を瞑れば交代時間までは今すぐ寝れる程だ。

地面に腰を下ろし目を瞑ろうとした時にそれを許すまいと無線が鳴った。


『こちらホーネット、ターゲットの痕跡を見つけました。こちらで対処して構いませんね?』


「ああ、潰せ」


朗報に安心を覚えるファントムは許可を出した。

無線で空とゴーストが援護すると入れると遠くの方で銃声が響いた。

すいません…

時間かかり過ぎです、ホント。


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