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真・恋姫†無双-獣達の紡ぐ物語-  作者: わんこそば
第一章 外史に落ちた一匹達
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5話 襲撃

11月14日 以下同文

村に来た賊は一週間前に空達を襲撃した人数の倍はいた。



「おりゃしてってるんだぜ、この村に仲間を殺った奴が匿われてるだってな」



そして、この一言が復讐に来ているのだと理解した。

威張ったかのような喋りに村人達は口を閉ざすしかない。

抵抗や反抗的な態度を取ればただでは済まない。

それを知っているが故だった。



「俺達はこの腐った国を変える為に戦ってるんだよ。すこしゃ、支援してくれたってバチは当たらないってもんだぜ。だから叛徒を匿うって罪は重いのさ」



その一言で素知らぬふりをしていたローンウルブズのメンバー達の目付きが変わった。

流石に銃には手を伸ばして無いものの、いつでも戦える準備を整えていた。



「さぁ、出てこい叛徒ども!今なら殺しはしないからよ」


「一つ聞く。何の用だ?」


「んだぁ、このガキィ」



賊の頭の前に出て来たのは空だった。

殺気も武器も隠し、頭に脅威では無いと思わせていた。

ただ、気に入らない態度に頭の額には青筋が浮かぶ。



「ガキが、大人を舐めてるとどうなるっての、を⁉︎……」



頭が空の胸ぐらを掴もうとした刹那、視界が反転する。

あまりに一瞬で自分が投げられたなど理解していなかった。

空は地面に頭を押さえつけると、その首に容赦なくナイフの刃を立てる。



「動くな。自分の体とお別れする事になる」



暴れようとした頭の首に浅く刃を沈め、本気なのだと理解させ黙らせる。

村人達はおっかなびっくりで空を助けてもらうように他のメンバーを探すが、まるで最初からいなかったように姿が消えていた。



「頭ぁ!」


「……動くな。動けば斬る。お前達の頭を助けたいなら……」


「おい!何ボサッとしてやがる!」


「この人数相手にどうにか出来るとでも思ってんのかよ!」


「あんな小さい刃物で人が殺せる訳ねぇだろうがよー!」



数的有利を覆せるものでは無いと数人の賊達が空へと襲い掛かった。

空は頭を足蹴りで意識を奪うと、地面を蹴って賊達へと立ち向かう。

村人達は空が死ぬだろうと思い、顔を手で覆い隠す。

しかし、そうはならなかった。

空は賊の槍の間合いに入るやいなや、槍の一撃を躱わし更に間合いの奥へと入る。

賊が驚き何も出来ずにいるとナイフで両脇の下を斬りつける。

腕を動かす筋肉を綺麗に切断し、行動を奪うと更に太腿にナイフを滑らす。

まるで流れ作業のように簡単に四肢の自由を奪い、残りを左手でバレッタ90-twoを抜き放つと同時に全員の腹部を撃ち抜いた。



「もう一度言う。同じ目に遭いたくなければ素直に従え」



空は目で腹を押さえ倒れる賊達を見て警告する。

その目は次はお前達だと言っているようだった。

賊達は怯み、一歩、一歩と後ろへと下がる。

だが、空の行動を見ていなかった後衛の賊達が何が起きているのか分かっていない。

弓を持つ賊が空に向け矢を放とうと弦を引き絞った。

その刹那、地面が割れ、その場にいた賊達が衝撃によって宙を舞う。

巨大な爆音が聞こえた時にはもう遅かった。

爆発と同時に、14人が一斉に木陰から現れ銃を撃つ。

14人それぞれが射線に被らないように配置され、効率良く賊の命を奪って行く。断続的にあちこちから銃声が鳴り響き、10分も経たずに射線にいた賊で立っていた者はいなかった。



「隊長が用意した大量の弾を分解し、火薬と弾丸に分け即席の爆弾を作る。実に簡単な爆弾だ」



戦闘が終わり、メンバーの1人であるファットマンが空に近づいて行く。

ファットマン。彼はデブやぽっちゃりと言うわけではない。

周りに比べガタイがかなり良い。

今は空の銃を持っているが、銃が小さく見えるほどだ。

そのガタイに似合わず繊細な作業を得意とする彼は即席爆弾と起爆装置を作り、爆破した張本人だ。

爆発の規模や爆発の方向など計算され尽くされ、賊以外に被害は出ていない。



「しっかし、お前の銃の反動重いな。流石にビックリしたぞ」


「そう」



興味なさそうに返事をしながらファットマンから愛銃を返してもらう。



「さて」



まだ意識を失っている賊の頭をファットマンは足蹴りで起こす。

突然の衝撃に頭は意識を体に無理矢理戻され飛び起きる。

空は返して貰った銃を頭に向ける。



「うわぁ⁉︎」


「起きたか」


「ヒッ……!」


「おいおい気絶しようなんてマネはするなよ。こっちはお前達に喧嘩を売られたんだ。買ってやるだけありがたいと思え」



もう一度気絶した頭を無理矢理に起こす。



「い、命だけは!こ、ここに俺達のアジトがある。そこに行けば宝が山ほどある。だから!……⁉︎」



空が引き金を引いた。

空の愛銃、マグプル社製のMASADAの銃口が光り、6.8mmSPC弾が発射される。

ほぼ至近距離から発射された弾丸は外れる事もなく眉間を撃ち抜いた。



「隊長、こっちは終わりだ」


「ああ、聞こえてる。被害報告(ダメージレポート)


「ゼロ」


「で、この地図はどうする?」


「この村に迷惑を掛けたからな。慰謝料という事でカタを付けて貰うとしよう」



そう言うとファットマンから地図を受け取る。

前回の襲撃と周辺の被害状況からアジトの位置はおおよそ見当がついていたが、その地図で場所に間違いがないことを確信出来た。

全てファントムによるシナリオ通りに進んだが、唯一ファントムの計算違いだったのは



「マズッた……賊自身に墓穴を掘らせるべきだったか……」



賊の死体の多さだった。

その死体の処理に彼等は苦労する事となった。

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