表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたに起こる奇跡 ~ まだまだ感染する知性『ミーム』 ~  作者: 風風風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/18

奄美へ

「奄美か……。ええチョイスや。沖縄の熱気とはまた違う、深く、濃い緑の鼓動が聞こえる島やな」


湊は、沖縄から北へ。東シナ海の荒波を越え、奄美大島の地に降り立った。そこは、生命の息吹が凝縮されたような、力強い島やった。


湊は、深い森の入り口で足を止める。風がそよぎ、亜熱帯の植物がざわざわと語りかけてくる。湊はふうっと息を吐くと、まるで高座の幕が上がるような間合いで、朗々と歌い始めた。


「〜♪ 赤いソテツの 実が熟すぅ〜 遠い故郷ふるさと 風に聞くぅ〜 ♪〜」


その声は、森の静寂に溶け込み、波の音と重なって、まるで島そのものが歌っているかのように響いた。湊の岡山弁混じりのセリフ回しとは違う、島唄の節回しを意識したその歌声は、力強く、どこか哀愁を帯びていた。


「どうや、結衣。奄美の風は、俺の歌声に合わせて踊っとるか?」


結衣が木陰から覗き込む。「……湊、あんた歌もいけるんやな。今の歌、この島の『魂』に届いた気がするで。ソテツの赤が、夕日に染まって余計に鮮やかに見えるわ」


湊は万年筆を抜き放つと、赤く熟したソテツの実に触れず、その周囲の空気をなぞった。彼がインクとして選んだのは、島を染める夕日の「朱色」と、深く濃い「緑」だ。


「ここ奄美は、命が巡る場所じゃ。島ん衆が大事にしとるこのソテツも、かつては飢えを凌ぐための『命の糧』やったんじゃろ? どんなに苦しい時も、この赤い実は希望として、島を見守り続けてきたんやな」


湊が万年筆を振るうたびに、森の影が琳派の屏風絵のような装飾へと変貌していく。ソテツの葉は金の縁取りを纏い、赤い実はルビーのような輝きを放ち、森全体が神々しい祝祭の空間へと塗り替えられた。


「さあ、奄美の島ん衆よ、出てきんさい! 今夜は、この森を舞台に最高の宴じゃ! 流行りもんは東京に置いてこい。ここでは、この島の生命の力こそが、一番の流行りなんじゃけぇ!」


湊の呼びかけに応えるように、どこからともなく太鼓の音と、島唄の調べが聞こえてきた。集落の若者たちが、手拍子をしながら森へと集まってくる。


「兄ちゃん、ええ歌歌うやんか! 奄美のソテツもびっくりして真っ赤になっとるわ!」


地元の若者が笑いながら三線を弾き始めると、湊はそれに合わせて、さらに高らかに歌い上げる。

「〜♪ 赤いソテツの 実が揺れるぅ〜 命の記憶を 胸に抱くぅ〜 ♪〜」


それは、ただの観光地としての奄美やない。島の人々が抱える誇りや、先祖から受け継いできた「生きる力」を、今、この瞬間というキャンバスに描き出すパフォーマンスやった。


「なあ、これを見ろ。この森の深さ、この島の赤。あんたたちが守り続けてきたこの景色は、世界中のどんな美術館よりも価値がある。もっと胸を張れ。あんたたちは、この地球で一番贅沢な暮らしをしとるんじゃ!」


湊の言葉に、島の人々の顔が誇らしげに綻ぶ。森の奥から吹き抜ける風が、黄金の粒子となって人々を包み込み、みんなが自分の魂のありかに気づいたような、晴れやかな表情を浮かべていく。


「奄美、最高やな!」湊は夜空を見上げ、満天の星を描いた。

「今日の歌は、島中のソテツに刻んどいたで。あんたたちが迷った時、この森に入れば、いつでもこの赤い実が道標になってくれるはずや」


読者の君。

奄美の森に響く、あの歌声は聞こえたか?

「赤いソテツの実」が熟すとき、それは命が新しいステージへと進む合図や。

もし君の日常が淀んでいるなら、この島の赤い色を思い出してみんさい。

どれだけ苦しい冬があっても、必ず赤い実は熟す。君の努力も、必ず鮮やかな実を結ぶ日が来るんじゃけぇ。


「さあ、次は海を越えて世界をハックする準備はええか? 日本の端から端まで、俺らは笑いと彩りを撒き散らしてきた。ここからが、本当の冒険の始まりやで!」


湊の万年筆が、また新しい地図を指し示す。君は、次、どこの風景を塗り替えたい?

俺らはいつでも、君の呼ぶ声を聞いとるけぇな!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ