表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/34

「父が死んだ」蛙の子。


夏の陽射しが照りつける。道路には陽炎が揺らいでいる。


石油会社の大きな看板。広大な敷地。

石油タンク、大きな工場建屋がいくつも並んでいる。


ボクは、その敷地でフォークリフトを走らせていた。

前部のフォークには荷物が満載だ。

工場建屋に入っていく。



徳島には3日間いた。


・・・しかし、父は死ななかった。

いつ死んでもおかしくはない・・・・しかし、いつ死ぬのかはわからない。

何日も会社を休むわけにもいかない・・・・何日も病院に詰めているのも、ただ手持無沙汰なだけだ。・・・・ただ、父の死を待っているようで気分がいいはずもない。


4日目には東京に帰った。



父が死んだ。

ボクが東京に帰って1週間後。7月の末に父は死んだ。

世間に迷惑だけををかけた男の、58年の人生が終わった。


葬式には行かなかった。


ちょうど東北に出張中だった。

途中で切り上げるというわけにもいかない。

それに、ついこないだ休暇をとって徳島に行ったばかりだ。葬儀とはいえ、またすぐに徳島に行くというのは気が引けた。


・・・・・まぁ、行きたくなかった。

「仕事」を言い訳にして、行かずに済ませたってのが正直なところだ。


行けば「長男」という肩書から喪主を務めないわけにもいかない。喪主を務めれば、嫌な思いもするだろうと思ったからだ。


ボクを無条件で可愛がった祖父・・・大好きだった祖父の葬儀にすら行かなかった。

なぜに、父の葬儀などに行かなければならないのか。


・・・・・もう、徳島とは・・・・もう、父とは・・・もう、実家とは関わりたくなかった。



フォークを下げて荷物を置いた。

切り返して建屋を出る。

眩しい日差しが照りつける

夏の炎天下での外作業は辛い。

ヘルメットから汗が流れた。

左腕につけたリストバンドで汗を拭った。


荷台から、パレットごとフォークリフトに荷物を積む。

切り返して建屋に運ぶ・・・それを繰り返す。


流れる汗。

リストバンドで拭う。


フォークリフトでの数度の往復。

荷物を全て建屋に運び終えた。

汗まみれだ。


汗を拭って、よじ登るように運転席に乗り込んだ。

ほっと一息つく。

・・・・・いや、その運転席も暑い。まるでサウナだった。


一気に汗が作業服に染み出してくる。


ぬるく・・・・どころか温かくすらなってしまったたペットボトル、スポーツドリンクを飲んだ。

キーを捻ってエンジンをかける。ディーゼルエンジンが唸りを上げた。


・・・・そうだ・・・


ボクは、トラックの運転手になっていた。

父と同じ、大型トラックの運転手になっていた。

総重量20tの車両がボクの担当だ。


ギアを入れて走り出しす。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ