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無キャ人生~何もない高校生の日常~  作者: 文房四宝


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4話 席替え②

「みんな新しい席に移動したみたいだし、朝礼終わり!一時間目の準備しといてね」

「トイレいこー」

「ちょっと宿題見してや」

「やってきてないの?」


 ヤバい、話しかけるタイミングを見失った!何事も最初が肝心というが友達作りはその最たる例だと思う。だって4月にやってれば今頃花の学生ライフを送っていただろうし。

 しかし、新しい席に移動する前は人に囲まれているからいい席なのでは?と思っていたのだが騙された気分だ。某ウィルスが流行して以降、座席位置はソーシャルディスタンスを保った配置になっている。意識して初めて気づいたが、この距離が絶妙に遠い。隣の人に話しかけるためにも身を乗り出さなければいけないのだ、実質隣の人がいないのと同じだろう。

 それに周囲を囲まれているせいなのか孤独感がヤバい!今までも同じ座席位置になったことあるのに気づきもしなかったなんて、完全に計算外。

 ただ、嘆いていても仕方がない。次だ、次のタイミングはどこだ!

 授業の準備もせず、碇ゲンドウポーズで思考を巡らす。あと二分ほどで授業が始まってしまうのに、全く集中できない。周りの視線が、周りの会話が、すべて自分に向けられているのではないかと考えてしまう。


「ちょっと、あれヤバくない」

「確かに!めっちゃヤバい」


 !?

 後ろを振り向いて会話の源を探す。源は教室の隅にあり、そこにはスマホを見せ合う女子生徒の姿がある。どちらも自分には興味もなさそうだ。

 自意識過剰すぎる自分に腹が立つ、周りの反応に敏感になっている。今までこんなことなかったのに、周りを意識し始めたらこれだ。

 自意識過剰の奴はめっっちゃキモいと思っていたが、俺も同じ存在になってしまっている。

 自分が嫌悪している存在、そいつと肩を組んでいる今の状況!クソが、クソがぁ!


「はい、授業始めるぞ。席戻れー」


 中年の男性教師が教室に入り、授業の準備を始める。その姿を見ることで怒りの思考が途切れ、授業の準備をしていないことに気づく。


「ふー、」


 落ち着け、この怒りは、羞恥心は、変わるために必要なことなのだ。落ち着くんだ。

 息を吐き、授業の準備を始めて思考のクールダウン。ひっ、ひっ、ふー、だ。怒っても仕方ないのだ。有意義な思考をしなければ。


 キーン、コーン、カーン、コーン。


「よし、チャイム鳴ったから始めるぞ。日直」


 あれ?


「起立、気をつけ、礼」

「「おねがいします」」


 休み時間終わってる。話すタイミングは!?


「あれ?中田いないぞ、休みか?」

「先生、席替えしたんですよ」

「うぇーい、一番前から一番後ろー!」


 うるさいぞ、と中田に注意をした後、先生は教室を見渡し黒板と向き合う。黒板に「レクリエーション 地域をよくする方法を考えよう!」とチョークで書き終えた先生が振り向く。


「席替えしたばっかだし、ちょうどいいだろ。今日はグループワークをするぞ」


 タイミングきたーー!


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