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30/32

30話:灰色商会の完全崩壊

30話、31話、32話(最終話)を連続投稿しています。

 剣を握っているのに、振るう相手がいない――。


 それが、終わりの形だと知ったのは、いつからだっただろう。


 港の朝はいつも湿っている。

 潮の匂いに、魚の血の匂いが混じる。

 樽の軋み、滑車の鳴き、怒鳴り声。

 生きるための音が、耳を塞ぐほどに溢れている。


 だが、その日だけは違った。


 灰色商会の倉庫街――いつもなら荷が動き、人が走り、帳簿係が怒鳴り、荒事屋が目を光らせる場所が、

 妙に静かだった。


 焼け跡はない。

 煙もない。

 血も少ない。


 それでも、空気が死んでいる。


 扉は閉じているのに、守る者がいない。

 見張りがいるのに、眼が泳いでいる。

 帳簿係がいても、紙が回っていない。


 “壊れた”というより、“動かなくなった”――そんな感じだ。


 俺は角の影に身を寄せ、通りを眺めた。

 手袋の下、右手の指が勝手に動く。

 剣の柄を確かめる癖が抜けない。


 必要がないと分かっていても、身体は準備を続ける。


 ……狂犬の癖だ。



 崩壊は、剣で始まったわけじゃない。


 もちろん、俺は噛んだ。

 倉庫を荒らし、昼の商館を潰し、裏の拠点を連続で叩いた。


 殺さない場面も増やした。

 あえて、残した。

 恐怖を残すために。


 だが、灰色商会がここまで静かに死んだのは――

 剣だけじゃ足りない。


 政治。外交。裏社会。

 三方向から、糸が切れた。


 まず、政治。


 ルデラン卿が落ちた。

 議会の場で、言い逃れできない二つの証拠が突きつけられ、椅子から落ちた。


 金の流れ――灰色商会の契約帳簿。

 帝国との繋がり――学匠ギルドを経由した技術供与の書状。


 ヴァロス卿が言っていた通りだ。

 疑いは、重なると断言になる。


 ルデラン卿の失脚は、灰色商会の“表の顔”を奪った。

 評議会の庇護が消える。

 王都の役所が、商会の荷を通さない。

 税の猶予も、検査の免除も、すべて消える。


 次に、外交。


 帝国は……切った。


 最初は、帝国の使者カイエンが背後にいるという噂を、向こうも利用していた。

 王国の民衆が恐れれば、王国は過剰に反応する。

 過剰な反応は、帝国に“正義の遠征”という口実を与える。


 だが、ルデラン卿が落ち、学匠ギルドがヴァロス卿の監督下に移った瞬間、状況が変わった。


 帝国は、灰色商会を守る理由を失った。

 守れば、外交問題になる。

 切れば、火種は小さくなる。


 そして帝国は、戦争をしたいんじゃない。


 戦争を“起こしたい誰か”がいるだけだ。

 それは帝国の中にもいる。

 王国の中にもいる。


 帝国は、必要なら手を引く。

 都合が悪ければ、部下を捨てる。

 それが帝国だ。


 最後に、裏社会。


 仲介人が言った。


「“割に合わない”って言葉が広がった」


 荒事屋が仕事を受けない。

 運び屋が荷を運ばない。

 倉庫番が鍵を渡さない。


 裏の連中は、正義で動かない。

 だが、損得で動く。


 灰色商会に関わると、死ぬ。

 関わらなくても、死ぬ。


 なら――関わらない。


 その瞬間、商会は“裏”でも呼吸できなくなる。


 政治が止めた。

 外交が切った。

 裏社会が見捨てた。


 俺の剣は、その三つの背中を押しただけだ。



 俺は静かな倉庫街を歩いた。


 昼だというのに、扉が閉じている。

 船荷が動かない。

 波止場の縄が緩んでいる。


 この街は、港の街だ。

 動かなければ死ぬ。


 灰色商会は、ここで死んでいく。


 そして――俺も、少しだけ死んでいく。


 狂犬の役目が終わると、何が残る?


 噂だけだ。

 “港の剣”。

 “狂犬”。


 そんな名が、俺の腹を満たすわけじゃない。


 だが、いま俺が食っているのは、腹じゃなく――

 怨みと恐怖と、義理だ。


 ……くだらない。


 そう思って、俺は小さく息を吐いた。



 ヴァロス卿の使いとすれ違ったのは、倉庫街の外れだった。


 従騎士ではない。

 もっと地味な、役所の男だ。


 顔に疲れが張り付いている。

 紙の束を抱え、目だけが忙しい。


「ラカム殿」


 声を潜めて、男が言う。


「評議会は灰色商会の資産を凍結。

 倉庫の一部は差し押さえ。

 関係者の拘束も始まっています」


「……動きが早いな」


「ヴァロス卿が、“遅れると火が広がる”と」


 火。

 確かに、灰色商会は火種だった。


「カイエンは?」


 俺が訊くと、男は目を逸らした。


「……帝国側が“把握していない”と」


 つまり、切った。

 そして、存在を消した。


「あなたが動き続けたことで、商会は焦りました。

 焦って、証拠を隠すより先に、逃げようとした。

 その隙をヴァロス卿が――」


「分かった」


 俺は男の言葉を切った。

 礼はいらない。

 仕組みは理解した。


「伝えてくれ。

 俺の牙は、ここまでだ」


 男は一瞬だけ躊躇い、それでも頷いた。


 政治の手続きの中に、俺の言葉が入る。

 それは奇妙で、気持ち悪い。


 だが必要だ。



 俺は、倉庫街のさらに奥へ進んだ。


 人通りがなくなる場所。

 潮の匂いが濃くなり、木材が腐り、海鳥の声が響く。


 そこに、小さな商館がある。


 灰色商会の“舳先の仮倉”――

 仲介人が言っていた場所。


 扉の前には、男が二人。


 見張りだ。

 だが、荒事屋ではない。

 目が違う。


 怯えている。


 俺は影に身を沈め、息を整えた。


 ここで剣を抜く必要はあるか?


 ……ある。


 扉の向こうに、まだ“芯”が残っているなら、

 ここで終わらせる。


 俺は踏み出した。


 足音を消す。

 距離を詰める。

 見張りが気づく前に、拳で顎を打ち、沈める。

 もう一人の喉元に刃を当てる。


「声を出すな」


 男の目が見開かれる。


「……狂犬……」


「その呼び方は嫌いだ」


「……助けてくれ……」


「助ける理由がない」


 俺は刃を引いた。

 殺さない。


 今日は、殺す必要がない。


 扉を開け、中へ。



 中は暗い。

 灯りが少ない。

 だが、人の気配がある。


 奥の部屋――小さな執務机。

 書類の束。

封蝋の箱。


 そして、そこにいた。


 カイエン。


 帝国商会の使者。

 その仮面。

 その笑み。


 彼は逃げていなかった。

 いや――逃げられなかったのかもしれない。


 彼は椅子に座り、俺を見た。


「……来たね」


 声は落ち着いている。

 いつもの軽さはない。

 だが、恐れてはいない。


 俺は剣を抜かなかった。

 抜いたら、会話が終わる。


「終わったぞ」


「終わったのは、灰色商会だ」


 カイエンは静かに言った。


「僕はまだ終わっていない」


「帝国に切られたくせにか」


 俺が言うと、カイエンは肩を竦めた。


「帝国はいつでも切る。

 切られるのは、承知の上だ」


「なら、何のためにここに残った」


 カイエンは少しだけ笑った。


「君が来ると思ったから」


 ……相変わらず、嫌な男だ。


「話がしたい?」


「違う。確認だ」


 カイエンは俺を見据えた。


「君は、どこまでやる気だ」


「潰すと言った」


「潰れたよ」


「まだ芯が残っている」


 俺は周囲を見渡した。

 書類の束。

 封蝋。

 逃げ道の地図。


「これが芯だ」


 カイエンは頷いた。


「正しい。

 構造は壊れても、記録が残れば再生する」


 まるで研究者のような言い方だ。

 エリスを口説いた男らしい。


「……エリスのことを言いに来たのか」


 俺が言うと、カイエンの目が僅かに揺れた。


「彼女は惜しい」


 ため息のような声。


「研究者として、誠実だ。

 静かに燃えている。

 ああいう人間は、環境さえ与えれば世界を変える」


「金や名声じゃなく?」


「君も分かっているだろう」

 カイエンは笑う。


「彼女に通じるのは、“研究できる未来”だけだ」


 ……分かる。

 だから腹が立つ。


「お前は、彼女を帝国の道具にするつもりだった」


「道具ではない」


 カイエンは即答した。


「帝国は研究者を道具にしない。

 “環境”にする。

 研究者は自分から走る。

 だから速い」


 気持ちの悪いほど正確だ。

 エリスは、確かにそういう女だ。


 自分の研究が公に役立つなら、

 危険も汚れ仕事も、静かに受け入れて前へ進む。


 だから――俺は隠した。

 俺の汚れ仕事を。

 知れば、一緒に噛みに来る。


 それは、彼女に必要ない。


「君は彼女を守るつもりだ」


 カイエンが言った。


「守るために、彼女の意思を遠ざける」


「……」


「それは、優しさじゃない。

 傲慢だ」


 俺の胸の奥が、少しだけ熱くなった。


 図星を刺されるのは嫌いだ。


「お前に言われたくない」


 それだけ返すと、カイエンは目を細めた。


「君は僕に似ている」


「似てない」


「似ているよ。

 君も、構造を見始めている」


 ……確かに。

 昔の俺は、噛まれたら噛み返すだけだった。


 だが今は違う。

 噛んだ後、火が広がらないように考えている。


 ヴァロス卿の言葉。

 政治の手続き。

 外交の火種。


 俺は、嫌いなものを理解してしまった。


「君は、僕になりたくない」


 カイエンは静かに続ける。


「だから、僕を殺すんだろう?」


 俺は黙った。


 殺すべきか。

 捕らえるべきか。


 ヴァロス卿なら、“捕らえて証言させろ”と言う。

 外交の武器になる。

 帝国に突きつける証拠になる。


 だが、帝国はカイエンを切っている。

 切った相手を、帝国は守らない。

 むしろ、消したがる。


 生きた証人は、危険だ。

 俺にとっても、エリスにとっても。


 カイエンは、その逡巡を読んだように笑った。


「迷っている。

 君は、まだ“英雄”になり切れない」


「英雄になりたいわけじゃない」


「知ってる」


 カイエンは立ち上がった。

 両手を見せる。

 武器はない。


「君に提案がある」


「聞くだけ無駄だ」


「君にだ。彼女じゃない」


 俺は眉を動かした。


「僕をここで殺せ。

 そうすれば、帝国は喜ぶ。

 “切った駒が消えた”と」


「……」


「だが、その代わり」


 カイエンは机の上の封蝋箱を指した。


「そこにある書類を持っていけ。

 灰色商会の残党が再生しないように」


 俺は一瞬だけ目を細めた。


「お前が、俺に親切を?」


「親切じゃない」


 カイエンは言った。


「君が構造を壊した。

 なら僕は、その壊れ方を確認したいだけだ」


 狂っている。

 だが、妙に筋が通っている。


 俺は封蝋箱を開けた。


 中身は――

 取引先の名簿、暗号化された連絡網、資金の逃がし先。


 これがあれば、残党狩りは早い。

 ヴァロス卿も動きやすい。

 裏社会も切りやすい。


 そして――灰色商会は、再生しない。


 俺は息を吐いた。


「お前は、最後まで厄介だな」


「褒め言葉だ」


 カイエンが笑った。


 俺は剣を抜いた。


 刃は静かに光る。

 血を吸うための光じゃない。

 終わらせるための光だ。


「最後に聞く」


 俺は言った。


「お前は、何を望んで踏み込んだ?」


 カイエンは少しだけ驚いた顔をした。

 そして、すぐに笑った。


「……同じ問いを持ってるんだね」


「答えろ」


「望んだのは、“勝つ”ことじゃない」


 カイエンは静かに言った。


「望んだのは、

 世界がどう動くかを、正しく証明することだ」


 ……研究者みたいな答えだ。


 エリスの対極であり、同類でもある。


「君は?」


 カイエンが訊き返す。


「君は、何を望んで踏み込んだ?」


 俺は――答えられなかった。


 答えがない問いは、まだ俺の中にある。


 ただ、今は。


「……終わらせる」


 それだけ言って、俺は剣を振った。


 カイエンの首が落ちる。

 血が床に広がる。


 音は小さい。

 命が消える音は、いつも小さい。


 俺は封蝋箱と書類を抱え、部屋を出た。


 扉を閉める前に、ふと振り返る。


 ――この男がいなければ、

 俺はもっと楽に生きられたかもしれない。


 だが、この男がいたから、

 俺は自分の問いを握り直した。


 気分が悪い。


 だが、それでいい。



 翌日からの動きは、早かった。


 ヴァロス卿が、学匠ギルドの再編を宣言する。

 ギルド内部の“研究費”の流れが精査される。

 帝国語の書状が押収される。

 議会が動く。

 外務局が動く。


 灰色商会の残党は、名前を変える前に潰される。

 倉庫は差し押さえ。

 帳簿係は拘束。

 荒事屋は逃げる。


 逃げた者は、裏社会が拾わない。

 もう割に合わない。


 港は、少しだけ息を吹き返した。

 船が動き始める。

 縄が張られる。

 魚が運ばれる。


 生活が戻る。


 それが、勝利だ。



 俺は学匠ギルドの前を通った。


 正面の門は、以前よりも厳しくなっている。

 だが、閉じてはいない。


 中からは、紙の擦れる音がする。

 議論の声がする。

 あそこは、また回り始めている。


 エリスは――たぶん、そこにいる。


 俺は呼ばない。


 呼べば、来る。

 俺の横に立つ。

 そして、汚れ仕事も引き受ける。


 あいつは、そういう女だ。


 尊敬できる研究者馬鹿。

 静かに情熱を抱き、ブレずに進む。


 その背中を、俺は守りたい。

 だが、守り方が正しいかどうかは分からない。


 俺は苦笑した。


「……俺も大概だな」


 傭兵が、研究者を守りたいと思うなんて。



 裏市場の端。

 いつもの場所に、いつもの姿で、仲介人はいた。


 短く刈り込んだ髪。

 男物の外套。

 無骨な靴。


 声も、立ち振る舞いも、誰が見ても“男”だ。


 ――だが、俺は知っている。


 昔からだ。

 港が今ほど血と金に塗れていなかった頃から。


「終わったかい、港の剣」


 低い声。

 だが、語尾がほんの僅かに柔らぐ癖は変わらない。


「その呼び方はやめろ」


「じゃあ、“狂犬”で」


「もっとやめろ」


 仲介人は、喉の奥で笑った。

 誰にも見せない笑い方だ。


 俺は硬貨を二枚、木箱の上に置いた。


「整えろ。

 噂も、尻尾も。

 火種が残らないように」


「ずいぶん丁寧だね」


「今回はな」


 仲介人は硬貨を指で弄びながら、ちらりと俺を見る。


「……で?」


「?」


「“終わった”って顔じゃない」


 さすがだ。

 昔から、誤魔化しが通じない。


 俺は息を吐いた。


「ここには、もう居られない」


 仲介人の指が、止まった。


「……そう」


 一言だけ。

 余計なことは言わない。


 それが、こいつのやり方だ。


「名が広がりすぎた」

「剣が目立ちすぎた」

「噂が勝手に歩き始めた」


 そんな理由はいくらでも並べられる。

 だが――本当の理由は、別だ。


「次は、俺の周りが削られる」


 仲介人は視線を落とした。

 外套の影に、指先が隠れる。


「……守る気かい」


「決めた覚えはない」


 即答する。

 その方が、まだ楽だ。


「ただ――

 ここに居れば、あんたも削られる」


 仲介人が顔を上げた。


 その目に、一瞬だけ、別の色が宿る。

 昔、港で一緒に酒を飲んでいた頃の色だ。


「私を、弱く見たね」


「見てない」


 俺は首を振る。


「強いから言ってる」


 沈黙。


 市場のざわめきが、遠くに聞こえる。

 誰も、ここで交わされている言葉の意味を知らない。


 仲介人は、ふっと肩を竦めた。


「……昔から、そうだ。

 あんたは、自分が消える方を選ぶ」


「生き延びる方だ」


「同じことだよ」


 少しだけ、声が低くなった。


「ここはね、ラカム。

 女が“女”で居られない場所だ」


「知ってる」


「剣が抜かれる前に、

 噂を嗅ぎ、金を動かし、血を避ける。

 そうやって生きてきた」


 仲介人は外套の襟を直す。

 癖だ。

 昔から、気持ちを整える時にやる。


「でもね」


 その視線が、俺を射抜く。


「“ここに居られない”って言葉を使うのは、

 本当に居場所を捨てる覚悟を決めた奴だけだ」


「……」


「戻らないんだね」


 質問じゃない。

 確認だ。


「戻るかもしれない」


 俺はそう言った。


「だが、今じゃない」


 仲介人は、しばらく俺を見つめてから、鼻で笑った。


「変わらないね。

 昔から、全部を持っていかないくせに、

 全部を置いていく」


「悪いか」


「いいや」


 仲介人は硬貨を懐にしまい、言った。


「だから、付き合ってきた」


 それ以上は、言わない。

 言えば、別れになる。


「噂は、綺麗にする」


「頼む」


「港の剣は?」


「知らない」


「狂犬は?」


「……それも知らない」


 仲介人は微かに笑った。


「じゃあ、またね。

 “ラカム”」


 名を呼ばれたのは、久しぶりだった。


 俺は一度だけ振り返り、手を上げた。


 それ以上はしない。

 それでいい。


 ここに居られない。

 だが、忘れるわけじゃない。


 港は、今日も動いている。

 仲介人は、今日もここにいる。


 そして俺は――

 去る。



 港の外れに戻り、荷をまとめた。


 剣を研ぐ。

 刃はまだ使える。

 だが、すぐには使わない。


 必要がないなら、抜かない。

 それが本当の意味での“終わり”だ。


 夜、波の音を聞きながら、俺は考えた。


 切り捨てられると知りながら、なぜ踏み出す?

 その問いはまだ答えを持たない。


 だが――問いは、確かに形を変えた。


 噛まれたから噛む。

 それだけじゃない。


 守りたいものがある。

 守りたい未来がある。

 守りたい背中がある。


 それを口にする気はない。

 口にすれば、それは鎖になる。


 だから俺は、黙って歩く。


 狂犬は、吠えない。

 噛むだけだ。


 そして――噛む必要がなくなった場所から、去る。


 灰色商会は崩れた。

 政治の手で裁かれ、

 外交の刃で切られ、

 裏社会に見捨てられた。


 俺の役目は終わった。


 だが、世界の歪みは残っている。


 明日、港を出る。

 名を捨てて、またただの傭兵になる。


 必要なら、呼べ。


 港の商人に伝言を残せ。


 エリス――

 研究に集中しろ。


 俺は、影で噛む。


 そうして俺は、灯りを消した。

チャッピーの凄さ

!タイトル通りの結末はともかく、カイエンの決着をつけることや、仲介人の設定を絡めることの指定でこの話を生成する。

!仲介人の設定内容と言っても「男装の女性であり、ラカムは旧来の知人」のみ。

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