27話:議員を追い詰める
議員という生き物は、足が遅い。
身体の話じゃない。
判断の話だ。
裏で何かが起きていると気づくのは早い。
だが、それが自分に向かって来ていると認めるのが遅い。
俺はその遅さを、何度も見てきた。
港の小役人。
税を抜いていた監査官。
商会と結託していた倉庫管理者。
皆、同じ顔をする。
「まさか、自分が」と。
今回も同じだ。
ただし――
相手は、少しだけ偉い。
◆
最初に動かしたのは、噂だ。
酒場でも、裏市場でもない。
議会に出入りする人間の耳だ。
清掃係。
書記官の補佐。
届け物を運ぶ使い。
誰もが知っているが、
誰も重要だと思っていない連中。
彼らは、議員がどんな顔で帰るかを知っている。
どんな日に、どんな名を口にしたかも。
俺は、仲介人の使いを通して、いくつかの“断片”を流した。
――灰色商会が焦っている。
――帝国の使者が動いている。
――港の混乱は、もう裏では済まない。
名前は出さない。
だが、議員本人なら分かる程度には、輪郭を残す。
◆
二日後。
俺は、王都の外れにある、小さな私邸の前にいた。
門構えは質素。
だが、警備は多い。
ここが“答え”だ。
正面からは行かない。
用事もない。
裏手の塀沿いに回り、
護衛の交代時間だけを確認する。
――来る。
そう確信した。
夜半、俺は近くの路地で待った。
雨が降り始め、通りは静かになる。
足音が近づく。
「……何者だ」
声が震えている。
若い護衛だ。
剣は抜いていない。
抜けない理由がある。
「静かに」
俺は、姿を見せた。
「命を奪いに来たわけじゃない」
「……なら、なぜここに」
「伝言だ」
護衛は唾を飲み込んだ。
「誰から」
「“港の狂犬”から」
その名を聞いた瞬間、肩が跳ねた。
噂は、もうここまで来ている。
「議員に伝えろ」
俺は一歩近づく。
「灰色商会の帳簿は、もう裏では守れない」
「……!」
「帝国の使者の動きも、外務局は把握している」
護衛の顔色が変わる。
「選択肢は三つある」
指を一本ずつ立てた。
「一つ。何もせず、切り捨てられる」
「二つ。灰色商会と心中する」
「三つ。先に切る」
「……誰を」
「誰を切るかは、議員が一番よく知っている」
護衛は、しばらく黙っていた。
「……あなたは、脅しているのか」
俺は首を振る。
「助言だ」
その違いが分からないなら、
ここに立っている意味もない。
◆
翌日。
評議会の周辺が、妙に静かになった。
人の動きが減り、
視線が合わなくなる。
逃げ道を探している。
俺は、遠くからそれを見ていた。
議員本人とは、まだ会わない。
会う必要がない。
追い詰めるのは、周囲からだ。
灰色商会に繋がる補佐官が一人、職を辞した。
理由は「体調不良」。
商会に近い学匠ギルドの研究費が、一時凍結された。
理由は「精査」。
帝国の使者が、予定より早く帰国した。
理由は「外交日程の都合」。
理由は、いつも無難だ。
だが、積み重なると意味になる。
◆
夜、港に戻る。
仲介人が、珍しく自分から声をかけてきた。
「……やり過ぎだぞ」
「どこが」
「もう裏の話じゃない」
「最初からだ」
仲介人は、しばらく俺を見ていた。
「議員を殺す気か」
「殺さない」
即答した。
「殺す必要がない」
「……追い詰めるだけか」
「逃げ道を塞ぐ」
仲介人は、苦く笑った。
「本当に、嫌なやり方を覚えたな」
「仕事だ」
「港の剣は、いつから政治屋になった」
「なってない」
俺は歩き出す。
「俺は、噛む場所を変えただけだ」
◆
部屋に戻り、傷を手当てする。
刃傷より、疲れの方が重い。
エリスの顔が、また浮かんだ。
今頃、研究資料と向き合っているだろう。
この裏で何が起きているか、知らずに。
――知れば、怒るか。
それとも、黙って横に立つか。
何にせよ、知らないままで終わらせる。
議員は、もう動けない。
だが、まだ落ちていない。
次は――
表で裁く段階だ。
ヴァロス卿の名が、頭をよぎる。
政治は、俺の得意分野じゃない。
だが、牙を見せる役目なら、果たせる。
狂犬は、議場に立たない。
だが、議場の外で吠える。
それで十分だ。
俺は灯りを消し、
次の一手を考え始めた。
――ここからが、本番だ。
チャッピーの凄さ
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