表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/32

25話:連続拠点破壊

 夜は、静かなほど仕事がしやすい。


 人の声が減り、灯りが消え、街が眠りに落ちる頃。

 動くのは、盗人か、殺し屋か――俺のような傭兵だ。


 灰色商会の拠点は、思ったよりも多かった。

 倉庫、仮の事務所、昼間だけ使われる商館。

 表の顔と裏の顔を使い分け、責任の所在を分散させている。


 やり口は、商会としては賢い。


 だからこそ、要を潰す必要があった。


 倉庫では、殺さない。

 商館でも、殺さない。


 殴り、縛り、使えなくするだけだ。

 恐怖と混乱を残し、「次はない」と理解させる。


 だが――


 荒事を請け負う連中だけは、別だ。


 あいつらには、逃げ場を作らない。


 俺と同じで、金で命をやり取りをすることを生業としているのなら、生かす理由がない。



 扉を開けた瞬間、空気が変わった。


 逃げ道を塞ぐ配置。

 視線が交差し、誰一人として動かない。


 ――逃げる気がない。


 それだけで、分かる。


 “灰色渦”だ。


 最初に動いたのは、俺じゃない。

 左右から、同時に踏み込んできた。


 速い。

 息が合っている。


 刃が交差し、火花が散る。

 受け止めるだけで、腕が痺れた。


「……港の剣か」


 奥から声。

 出てきた男は、一段低い構えをしていた。

 重心が落ちている。

 逃げない構えだ。


「ここまで来るとはな」


「仲介人の使いに手を出した」


「知ってる」


 即答だった。

 迷いがない。


「だが、引く気はない」


 その言葉通り、誰一人下がらない。

 包囲が、静かに締まる。


 ――今までと違う。


 俺は一歩引き、距離を取ろうとした。

 だが、追ってくる。

 退かせない動きだ。


 刃が肩を掠めた。

 焼けるような痛み。


 血が流れる感覚で、歯を食いしばる。


 それでも、誰一人、怯まない。


 連携。

 交代。

 互いの死角を補う動き。


 商会の下請けというより、

 ――戦場を知っている兵だ。


 俺は踏み込み、最初の一人の喉を裂いた。

 倒れる。


 だが、誰も声を上げない。


 空いた隙間を、即座に埋めてくる。

 死体すら踏み台にする。


 刃が腹を掠めた。

 息が詰まる。


 視界の端で、血が飛ぶ。


 それでも、引かない。


 引けば、終わる。


 俺は刃を低く構え直し、重心を落とした。


 ――ここからは、持久戦だ。


 一人、また一人。

 確実に数を削る。


 だが、そのたびに、俺も削られる。


 腕が重い。

 呼吸が荒くなる。


 奥の男が動いた。


 速い。

 読みが深い。


 互いの刃がぶつかり、鍔迫り合いになる。


「……狂犬だな」


「違う」


 俺は歯を食いしばり、押し返す。


「噛まれたから、噛み返すだけだ」


 男は笑った。


「それでいい」


 刃が離れる。


 次の瞬間、俺は一歩踏み込み、

 相手の膝を斬った。


 男が崩れた。

 その首を、迷わず断つ。


 残りは三人。


 息を合わせて、同時に来る。


 俺は避けない。

 受ける。


 刃を交差させ、体で押し返し、

 距離を殺す。


 一人の心臓を突く。

 二人目の喉を裂く。


 最後の一人は、傷だらけでも立っていた。


 視線が合う。


 逃げない。


 だから、俺も迷わない。


 刃を振るう。


 男は膝をつき、それでも倒れなかった。


「……ああ……」


 何かを言おうとした口を、

 最後の一太刀で塞いだ。


 静かになった。


 息を整える時間はない。


 俺は壁にもたれ、ようやく深く息を吐いた。


 腕が震えている。

 血が滴り落ちる。


 ――逃げなかった。

 誰一人。


 だからこそ、全員を殺した。



 建物を出る頃には、夜が少しだけ明るくなっていた。


 ここには、噂を残さない。

 残るのは、結果だけだ。


 「狂犬に噛みつかれた灰色渦も、全滅した」


 それで十分。


 俺は傷口を押さえながら、歩き出す。


 エリスの顔が、一瞬だけ浮かんだ。


 ――知ったら、一緒に来るだろう。

 だから、知らせない。


 仲介人の言葉を思い出す。


「港の剣は、守る相手を決めた」


 ――違う。


 俺は、ただの狂犬だ。


 噛まれたから、噛み返すだけ。

 それだけの話だ。


 だから――この牙が向く先は、もう決まっている。


 灰色商会。

 そして、その背後にいる連中全てだ。


 俺は歩く。


 次の拠点へ。


 血と影を引き連れて。

チャッピーの凄さ

!灰色商会幹部視点の話が生成されるのを待ったかけたら、ほぼ24話の繰り返しの話になってしまった。荒事屋との戦闘シーンを汚れ仕事専門の下請け灰色渦として、強敵として調整してもらい、その部分を抜き出す様にして作成することができた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ