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24話:反撃開始(狂犬の暴走)

 裏市場を出て、港の外れまで歩いたところで足を止めた。


 風向きが変わる。

 潮の匂いに、油と鉄の臭いが混じる。


 ……いい。


 ここから先は、騒がしくしていい。


 仲介人から直接は何も来ていない。

 代わりに、使いの少年が、息を切らして路地の影から現れた。


「……港の剣」


 名前を呼ぶ声が、震えている。

 無理もない。つい数刻前、同じ立場の人間が喉を裂かれている。


「伝言だ」


「聞こう」


 少年は唾を飲み込み、言葉を選んだ。


「――灰色商会が動き出した。

 荒事下請け連中と“灰色渦”も呼び寄せてる」


 なるほど。


 俺はそれだけで、位置も役割も理解した。

 脅しじゃない。

 交渉でもない。


 力で黙らせる段階に入ったということだ。


「仲介人は?」


「姿を消した。

 だが、あんたが動くなら、情報は流すって」


「十分だ」


 俺は少年に小さな銀貨を渡した。


「帰れ。

 次は来るな」


 少年は何も言わず、深く頭を下げて走り去った。



 最初に向かったのは、灰色商会の直営倉庫だ。


 夜の倉庫街は、相変わらず静かすぎる。

 見張りは多いが、動きに迷いがある。


――商売人の警戒。


 荒事を知っている連中じゃない。


 裏口に回り、鍵を外す。

 音は立てない。


 中にいたのは五人。

 全員、剣を持っているが、構えが甘い。


 一人目。

 顎を打ち、崩れ落ちる。


 二人目。

 腕を捻り、床に伏せさせる。


 三人目と四人目は、背中合わせになったが、

 互いを守る距離を知らない。


 最後の一人は、腰が引けていた。


 ――殺さない。


 刃は抜かず、殴り、縛る。


 血は出さない。

 ここは、“知らせる場所”だ。


「……な、何者だ……」


 答えない。


 帳簿を床に投げ、指で叩く。


「これを見て、思い出せ。

 何を運んだ。

 誰に渡した」


 顔色が変わる。


「灰色商会に伝えろ」


 喉元に刃を寄せるが、切らない。


「港に狂犬が出た。

 だが、牙はまだ血を選んでいる」


 縛ったまま、倉庫を出る。


 恐怖だけを、置いていく。



 次は、昼間の商館。


 日が高く、人通りも多い。

 だからこそ、ここでは“見せる”。


 裏手から入り、倉庫部分だけを荒らす。

 帳簿。

 書状。

 隠し棚。


 商館の人間が騒ぎ始める頃には、必要なものはすべて手に入っていた。


 俺は姿を見せない。

 名乗らない。


 だが、証拠は残す


 引き裂かれた書類。

 刻印の上に走らせた刃痕。


 意味は一つ。


 次は、選ばれる。



 夜が深まる頃、俺は港の裏、破落戸の溜まり場に向かった。


 ここだけは、違う。


 空気が張り詰めている。

 足音を殺す気配。

 殺し慣れた臭い。


 ――汚れ仕事の専門。


 中に入る前から分かる。


 扉を開けた瞬間、刃が飛んできた。


 速い。

 狙いも正確だ。


 俺は身を捻り、刃を弾く。


「……来たか、港の剣」


 声の主は、一歩前に出た。

 構えに無駄がない。


 こいつは、破落戸なんかじゃあない。


「仲介人の使いに、手を出したな」


「仕事だ」


 即答。

 迷いがない。


「灰色商会の命令か?」


「違う。

 だが、商会は文句を言わない」


 ――下請けの判断。


 だからこそ、コイツらは生かせない。


 俺は距離を取り、右脚は一歩前。両手で臍あたりに構えた剣の切先を相手の眉間に向ける。剣身に正中線を隠す。


 相手の剣士は、左半身でやや腰を落とし、剣身を自身の背側、柄頭を俺に向けて腰だめに両手で剣を抱える。


 俺は、股関節をたたみながら右脚へ重心を移しつつ左脚を前に伸ばす。体の入れ替えに合わせて、剣を右肩へ担ぎ上げ、右鎖骨は鍔、リカッソは肩甲骨で支える。柄頭を左腕で高く上げ、右手は後頭部へ向かう。

 剣士の間合いの境界線に、左足先が触れたと同時に袈裟懸けで、剣士の左肘に切り込む。

 

 剣士は右拇趾球を支点に体を入れ替え、左脚を半歩下げる。右構えに移行の中で、右腕を中段突きのごとく前へ突き出しながら、手首を布を絞るように内側へ返し、左手はL字レバーを掴んで引くようして柄を捻り、剣身を回転させながら正面に持って行く。

 

 俺の剣は、横から打ちこまれた剣士の剣の鎬による、捻りで生まれた回転で、はたき落とされた。


 剣士はそのまま平突きに繋ぐ。

 切先を俺の首へ向けて伸ばし――ながら、そのまま崩れ落ちた。


 剣士の首に刺さった小さい投げナイフから、地面へ血が溢れていく。

 左片手の袈裟懸けをする剣の裏側で、右手で投げた、俺の襟首に仕込んでいた投げナイフだ。


「その構え、甲冑剣術だろ? 騎士崩れ。

 裏路地じゃあ、甲冑なんか着てるわけねぇだろ」


 他の連中が動揺して、動き出す前に、二人目、三人目を切り落とす。

 それを見て、逃げようとした一人は、背中から。


 最後に残った男が、震えながら聞く。


「……なぜ、俺たちだけ……」


 俺は答えた。


「おまえたちは、線を越えた」


 刃を振るう。

 ここでは、噂を残さない。



 港に戻る頃には、酒場で囁きが始まっていた。


「灰色商会の倉庫が荒らされた」

「商館もだ」

「だが、死体は出てない」

「……いや、荒事屋は全滅だ」


 噂は、自然に線を引く。


 誰が殺され、誰が生かされるか。


 それを考えさせる。



 裏路地で、仲介人の使いが再び現れた。


「……聞いた」


 短い言葉。


「商会が混乱してる。

 直営と下請けで責任の押し付け合いだ」


「計画通りだ。次は来るなと言ったはずだ」


 少年は、少し間を置いて言った。


「……あんた、本当に狂犬だな」


「違う」


 俺は歩き出しながら答えた。


「選んでいるだけだ」


 少年は何も言わなかった。


 それでいい。


 エリスの顔が、一瞬、頭をよぎる。

 刻印のことを語る横顔。


 ――あいつなら、このやり方に良い顔をしないだろう。


 だから、俺は“俺に”手を出して来たヤツらを、勝手に潰すだけだ。


 灰色商会は、まだ理解していない。


 これは暴走じゃない。

 どちらが生き残るかを賭けて潰し合う、冷静な暴力だ。

チャッピーの凄さ?

!自動生成の剣戟シーン「刃が交わる。一瞬の攻防。

腕は確かだ。だが、覚悟が違う。

俺は一歩踏み込み、相手の重心がずれた瞬間に、喉を裂いた。

床に血が広がる。」…嫌なら頑張って自分で作らないとダメですかー。まあ、そうですよねー。でもねー。剣道とかも知らないし、運動音痴だからなー。記述した動きが本当にできるかどうか、正直わからないなぁ。

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