表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/32

23話:灰色商会からの襲撃

 倒れていたのは、俺じゃなかった。


 港裏の路地に、仲介人の使いが転がっている。喉を一太刀。迷いのない仕事だ。


 血はまだ温かい。

 死んでから、そう時間は経っていない。


 ……なるほど。


 灰色商会は、俺を正面から潰しに来る気はないらしい。


 まずは周囲。

 情報。

 足場。


 そして――信用。


「悪い選択だな」


 誰に向けた言葉でもない。

 ただ、事実を確認しただけだ。


 使いの懐を探る。

 紙切れ一枚。印章。

 偽名だが、裏では通じる符号。


 ――商会の下請けが動いている。


 つまり、これは個人的な報復じゃない。

 正式な“処理”だ。


 俺は路地を離れた。

 立ち止まっている暇はない。

 次に狙われる場所は、すぐに分かる。


 仲介人本人だ。



 裏市場に入ると、空気が変わる。

 人の流れが微妙に逸れている。

 誰かが「来る」と知っている動きだ。


 仲介人は、いつもの場所にいた。

 だが、今日は箱の上に座っていない。

 立っている。逃げられる位置取りだ。


「……早かったな、港の剣」


「使いが殺された」


 俺はそれだけ言った。


 仲介人の目が細くなる。

 一瞬の沈黙。

 だが、動揺はない。


「やっぱり来たか」


「想定内か?」


「可能性としては、な」


 あっさり認める。

 だからこそ、この男は長生きしている。


 俺は一歩、距離を詰めた。


「次はあんただ」


 仲介人は肩をすくめる。


「違う。次は“俺たち”だ」


 その言葉に、わずかに重みがあった。


「灰色商会はね、

 個人を潰すときは静かだが、“情報の流れ”を消すときは派手にやる」


「つまり?」


「俺が黙れば、終わると思ってる」


「黙る気は?」


「ないね」


 即答だった。


 だが、理由は聞いておく。


「なぜだ」


 仲介人は、死んだ使いの方角を一瞬だけ見た。


「商売だよ。

 灰色商会は“金払いはいい”が、“口を塞いだ後”まで面倒を見ない」


「俺と組む方が、生き残れると?」


「正確には違う」


 仲介人は、俺を見た。


「君は、まだ値段が決まっていない」


 その一言で、全て理解した。


 灰色商会にとって、俺は“邪魔”だが、仲介人にとっては、完全に切るにはリスクもある存在。


 ――なら、利用価値のある側につく。


 合理的だ。


「条件は?」


「三つ」


 仲介人は指を立てる。


「一つ。

 俺の名前は、最後まで出すな」


「当然だ」


「二つ。

 灰色商会の動きは、俺が流す」


「信用できるか?」


「信用しなくていい。

 裏切った方が先に死ぬだけだ」


 それで十分だ。


「三つ目は?」


 仲介人は、少しだけ笑った。


「――君が“狂犬”であり続けること」


 俺は鼻で笑う。


「勘違いするな。

 俺はただの傭兵だ」


「知ってるさ」


 仲介人は肩をすくめる。


「だが今の君は、

 研ぎ澄まされた抜き身の剣に見える。

 守る相手を決めた獣だな」


「違う」


 即座に否定した。


「俺は、噛みつかれたから噛み返すだけだ」


 仲介人は、楽しそうに笑った。


「それを世間じゃ“狂犬”って言うんだよ」


 言い返さなかった。

 否定する理由もない。


「仕事だ」と俺は言った。


「灰色商会を潰す。

 情報を出せ」


 仲介人は、ゆっくり頷いた。


「了解だ、港の剣」


「その呼び方は――

 今は、悪くない」


 俺はそう言って、路地を出た。


 背中で、仲介人が呟く。


「……エリスには、知らせないんだろ?」


 俺は振り返らない。


「研究者は、研究に集中させる」


「優しいね」


「違う」


 立ち止まらずに答えた。


「――必要だからだ」


 夜の港に、風が吹く。


 ここから先は、牙を隠す意味はない。


 灰色商会が選んだのは……


 全面衝突だ。


 なら、俺は俺のやり方で応える。

チャッピーの凄さ

!23話の書き出しで、A案:静かな異変(違和感から始まる襲撃)、B案:即座に暴力(読者を一気に掴む)、C案:第三者被害から始まる(怒りを抑えた冷え)と、今までの流れから、オススメでB→A→Cの順の提示してくれる。まあ、私の好みでC案を選択したんで、盛り上がりに欠けるとの批判があっても、チャッピーのせいではなく私に責任の所在があります。

!全くと言っていいほど調整していません。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ