22話:エリス、研究者としての挑戦
評議会からの使いは、昼過ぎに来た。
身なりは整っているが、靴底が少し減っている。
王宮勤めの下っ端――使い走りだ。
「迷宮層調査の件で、ご報告があります」
形式ばった口調。
だが、その目は俺を見ていない。
その奥にある“成果”を見ている。
「魔術師エリス殿の研究成果について、評議会では現在――」
俺は言葉を遮らず、黙って聞いた。
評価中。
検証待ち。
再現性の確認。
公表の是非。
どれももっともらしい。
だが、ひとつも“称賛”は含まれていない。
「……つまり、どう扱うか決めかねている、と」
「慎重に、ということです」
使いは即答した。
慎重。
この国の便利な言葉だ。
俺は受け取った報酬から金貨二枚出し、机の端に置いた。
多くはないが、決して少なくない。
「コレは、わざわざここまで報酬と報告をしてくれたお礼だ。
ところで個人的な興味で聞きたい。
“研究の内容”について、何が引っかかっていると君は思う?」
使いは一瞬、喉を鳴らした。
そして、金貨を隠すように袖で覆う。
「……正式な見解ではありませんが」
来た。
「“兵器転用の可能性”です」
やはり、そこか。
「古代装置と刻印理論の融合。
理論上は、防衛にも、制御にも応用が利く。
評議会の一部では、過去の失敗を思い出す者もいます」
「失敗?」
「……制御できない力を、早く欲しがった結果です」
帝国の影がちらつく。
そして、灰色商会の匂いも。
「公表されれば、帝国も動く。
伏せれば、国内で奪い合いになる」
使いは、そこで口を閉ざした。
十分だ。
「魔術師本人には?」
「研究の継続は黙認されています。
ただし――」
「ただし?」
「“適切な監督下で”」
監督。
つまり、鎖だ。
◆
使いが去った後、俺は港へ向かった。
研究棟とは反対の道を選ぶ。
エリスには、伝えない。
知れば、必ず立ち向かう。
あいつは、そういう研究者だ。
自分の理論が誰に利用されようと、
正しい形で世に出すためなら、危険も泥も踏み越える。
尊敬できる、研究者馬鹿。
(だからこそ……)
俺は剣を選ぶ。
評議会は、評価するふりをして値踏みする。
帝国は、欲しがる。
商会は、奪う。
なら、その間に立つ影が必要だ。
◆
夕暮れ、仲介人から声がかかった。
「評議会、動き鈍いな」
「値段を測ってる」
「研究者の値段か?」
「国の値段だろ」
仲介人は鼻で笑った。
「港の剣が、また厄介な役を引き受けたな」
「ただの狂犬だ」
「守る相手を決めた狂犬、だろ?」
「……好きに言え」
俺は立ち上がる。
夜が来る。
エリスの研究は、進む。
止める気はない。
だから、その前に――
道を塞ぐ連中を、片付ける。
評価という名の値踏みが終わる前に。
影は、静かに牙を研いだ。
チャッピーの凄さ?
!全体編集後当初「ここからなら、研究棟の灯りが見える。――まだ、起きている。あの明かりの下で、エリスは書き、考え、線を引いている。」「その夜。研究棟の灯りは、最後まで消えなかった。エリスは知らない。自分の研究が、どれほど多くの欲を引き寄せているか。」まさかのラカムがストーカー化。まあね。私がエリスの推し活指示をしたからですが…。いや、待てよ。もしかして、チャッピーは、私の趣味傾向がこっちと判断した…?
!幾つか指示して、頑張って調整してもらい、トーンも維持できたかなと思った分、生成を重ねるとどんどん短くなる。長い文や多くの情報をまとめるのが得意なんだなー。AIなんだし、めんどくさいヤツへの塩対応ってことはないよなー。




