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17話:漁村の不安

 朝の集会小屋の前で、怒号が上がっていた。


 「村を守る? 馬鹿言うな!」

 「反撃なんてしたら、次は皆殺しだ!」

 「黙って盗まれてりゃ、生き延びられるのか!」


 昨夜、俺が漁師から聞きだした“規則性”――

 盗賊団が潮の満ち引きを利用し、計画的に襲ってきているという事実は、

 希望と危機の両方を村にもたらしたらしい。


 小屋の中では村人たちが二つに割れていた。

 一方は抗うべきだと叫び、

 一方は従順に見せて命を繋ぐべきだと喚く。


 どちらの言い分も正しい。

 どちらの言い分も現実を見ている。

 だからこそ、対立は深い。


 俺は扉にもたれ、ひと呼吸置いた。


 ――これは、盗賊より厄介だ。


 人間同士が割れ始めるときの空気は、戦場のそれによく似ている。

 剣の音より先に、息遣いが鋭くなる。


 「傭兵、ちょっと来てくれ!」


 年寄りの男が手招いた。顔が青ざめている。

 小屋の中へ入ると、十数人が向かい合って怒鳴り合っていた。


 「お前が煽ったんだろう!」

 「俺は“潮の高さに気をつけろ”と言っただけだ。」

 「じゃあ何で盗賊の襲撃が予測できる! 裏で繋がってるんじゃないのか!」


 まるで疑心暗鬼の鍋が沸騰している。


 俺を見つけた男が声を張った。


 「この傭兵が言ったんだ! 盗賊は潮を利用してるって!」

 「だったら、こいつに何とかさせろよ!」


 いくつもの視線が俺にねじ込まれた。

 助けを求める目もあれば、責任を押しつけたい目もある。


 ――これだから、“食い物にされた村”は厄介なんだ。


 俺は静かに口を開いた。


「昨夜言った通りだ。盗賊は慣れている。潮の満ち引きを利用し、効率よく奪い、速く逃げる。

 だがそれは同時に“動きに規則がある”ということでもある」


 沈黙が落ちた。

 言葉の意味を飲み込む音が、村人の喉から聞こえる気がした。


「規則があるなら、罠も張れる。迎撃もできる。

 ただし――村全員が腹を括らなければ意味がない」


 すぐに反論が飛んだ。


 「無茶だ! 俺たちは漁師だぞ!」

 「逆襲なんかしたら、根こそぎやられるだけだ!」


 俺は淡々と続けた。


「逆襲とは言ってない。

 村が“反撃する意思がある”と伝えるだけでも違う。

 盗賊は“楽に儲かる場所”しか狙わない。

 面倒と感じた瞬間、別の村に流れる」


 今度は別の男が声を張る。


 「じゃあ、お前が何とかしろよ! 傭兵なんだろ!」


 その言葉には怒りではなく、頼りたい恐怖が混じっていた。

 だからこそ、強く突っぱねる必要があった。


「俺は傭兵だ。俺が守れるのは“雇い主”の意志だけだ。

 村が割れているなら、どちらの意志を守ればいい?」


 村人たちは押し黙った。


 ――割れている集団は、何も選べない。

 選べない集団は、守れない。


 そこへ、昨日の村長の娘が駆け込んできた。


「ラカムさん! 砂浜の杭……折られてました!」


 小屋の空気が一変した。

 俺の勧めで仕込んだ“座礁用の杭”――

 盗賊船を動けなくするための数少ない防衛手段だ。


 折られていたということは、盗賊団が村の動きを掴んでいるか、あるいは村に内通者がいるか、そのどちらかだ。


 ざわめきが広がり、恐怖が色を濃くした。


 俺は深く息を吸い、ゆっくり言った。


「……盗賊が読めるのは潮だけじゃない。

 “村の覚悟”も読まれたということだ。

 むしろ、潮を読むよりも得意だろう」


 集まった視線に、俺は短く告げる。


「もう引き返せない。

 この村は“食い物にされる村”か、“牙を見せる村”か。

 どちらかを今、選べ」


 静寂が落ちた。

 扉の外では海が鳴り、村の運命が揺れていた。


 ――潮は満ちる。

 決断の時も、同じだ。

チャッピーの凄さ

!元々は「反撃する方が危険という村人もいて言い争う」程度だった文が、この1話分の演出として自動で生成してくれました。

!元々ない頭捻って、自分が提案した座礁させるための杭の案と、更に上手く行って、その効果の演出をしたのだけれど、編集するとカットされ、駄目だったとの5行になった。

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