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13話:任務達成と脱出

 炉の部屋は、まるで巨大な脈管の中心だった。


 壁も天井も、かつては滑らかな金属だったのだろう。

 しかし、今は赤熱した血管のように亀裂を走らせ、脈と同じリズムで微かな光を吐き出している。


 炉本体は、部屋の中央に鎮座していた。

 四方へ伸びる管、開閉する板金、脈のたびに震える光の球体――。


 エリスが息をのむ。


「……稼働状態。しかも自律です。外部からの制御ではなく、炉自身が“機能を保持しようとしている”」


「つまり、生きてるってことか?」


「言い方としては……正しいです」


 若いが、声は揺れなかった。


 だがその指は、杖を握りしめるほどに強張っていた。

 緊張ではない。ここまで来た者にしか触れられない真実への興奮だ。


「どう止める?」


 俺が問うと、エリスは炉を見つめたまま答えた。


「核の刻印構造を反転させます。

 この炉は“命令がある限り稼働する”のではなく、“命令を失っても最後の指示を循環させる”仕組みなんです」


「さっきの鉄の兵と同じだな」


「ええ。兵士の形をした“命令の器”です。

 炉はその源……戦い続けるための心臓部」


 心臓部。

 確かに、脈動が胸板の裏側まで伝わるほど深かった。


「反転させれば、止まるのか?」


「止まります。

 でも……」


 エリスは、俺に向けずに言った。


「反転を始めると炉は抵抗します。

 機械兵が増援として起動し、通路も、周囲の構造も“排除”を目的で動くはずです」


「つまり、時間との勝負ってわけだ」


「はい。

 ……ラカムさん」


 ようやく、エリスがこちらを見た。


 静かだが、強い瞳だった。


「私は炉を止めます。

 あなたは――私を守ってください」


 その言葉は、不思議なほど自然に胸へ落ちた。


「任せろ。

 ……最初からそのつもりだ」


 エリスはわずかに笑い、炉の縁へ歩み寄る。


 杖先が赤い光の球体に触れ――

 瞬間、炉の鼓動が跳ね上がった。


「始めます!」


 光が爆ぜる。

 俺はエリスの背を庇うように一歩前へ出た。


――ガァン!


 通路の奥から、鉄が床を割る音。


「来るぞ……数は――三、いや四!」


 炉が抵抗するように赤光を強め、周囲の金属片が揺れ始める。


 エリスの声が震えた床越しに届く。


「あと……刻印反転が半分……!」


「急げとは言わねえが、生きて帰ろうぜ!」


 俺は迎え撃つように走った。

 機械兵が通路から溢れる。


 エリスが指示を叫ぶ前に、俺の身体は動いていた。


 最初の一体の腕を受け流し、回転しながら脚を断つ。倒れ込む鉄塊を盾にし、背後の二体の動きを遮る。


「ラカムさん、右上!」


 声につられ、反射で頭上を剣で薙ぐ。

 天井から落下してくる脚部ユニットを叩き落とした。


「……なんだよそれは」


「炉が部品を“投下”して補充してるんです! もう少し!」


「笑えねえ仕組みだな!」


 炉の光がさらに強まる。


 機械兵が数を増す。

 斬っても斬っても、赤い光が闇から浮かび上がる。


 エリスの息が荒くなる。


「あと……四刻印……」


「持たせる!」


 俺は踏み込み、すれ違いざまに胸部の核を斬り裂く。

 飛び散る火花が視界を白く染める。


 その間にも、炉は脈を速め――

 エリスの髪が、熱の風で揺れた。


「最後の刻印……!」


 同時。


 正面にいた機械兵の背後から、俺の左側へ抜けた機械兵が跳ぶ。

 

エリスへ一直線。


「させるかよ!」


 俺は、両脚の開き、左膝・足首の伸び、右膝を地面へ突き出すような下腿の内側への引き上げを同時に行った。


 急につっかえ棒が外れた様に、上体が右後方への沈み込みと右回転が始まる。


 空中に剣が固定され、その柄にぶら下がって行くかのような沈み込みと回転の流れの中で、首の骨・背骨の一つ一つ、肋骨一本一本の左の捻りと、肩、腋、肘、手首の溜めを作る。


 流れを止めず一気に加速。


 右下腿を振子のごとき伸びに変える。

 回転と沈み込みの勢いに乗せて、背中、首、胸の右回転を、同期させて繋げて行く。

 その回転に、腕の溜めを解放する。


 刹那の一回転。


 空中に留まっていた剣が、全身の力を刃へ乗せ、機械兵の腰を横薙ぎする。


 金属を裂く音が鼓膜を貫き、機械兵が二つに割れて床へ落ちる。


 ――そして。


 炉から、深い、沈むような音。


 ズゥ……ン……


 赤光がしぼむ。

 脈が止まる。


 エリスが杖を握ったまま、ふぅ、と息を吐いた。


「止まりました。……ラカムさん、やりました」


 その声は疲れていた。

 だが同時に、どこまでも誇らしげだった。


「おう。……よくやったな」


 俺が言うと、エリスは小さく笑った。


 炉が完全に沈黙したことで、機械兵たちも動きを失い、通路は静寂に包まれる。


 だが俺は、剣を納めない。


「撤退だ。まだ終わってねえ。

 この静けさの後には、必ず何かが来る」


「はい……戻りましょう」


 俺たちは炉に背を向けた。

 沈黙したはずの迷宮が、どこかで“軋む”気配がした。


 ここからは脱出戦だ。


チャッピーの凄さ

!今回は生成で会話になった。部品の“投下”して補充の演出と会話まで追加してくれる。指示の仕方や話しの作り方によるのだろうが、何が影響したのやら。

!アクションは、どうすれば良いのかわからない。時間をかけても、色々試してみるが具体的にならないので、時間をかけて、バラバラにできたものやら、他所様からの切り貼りなどで作る。

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